「こども家庭庁」設置法案が審議入り…創設を訴え続けた山田太郎参院議員「官僚をただ集め、やってきたことを繰り返すだけでは意味がない」
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 国会で「こども家庭庁設置法案」が審議入りした。霞が関の“縦割り行政”を打破して子育て、いじめ、不登校などの課題を一元化、いわゆる“子ども政策“の司令塔となる新組織だ。

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 その意義について、岸田総理大臣は衆議院本会議で「こども家庭庁は強い司令塔機能をもって、すべての子どもに対して必要な支援や教育等が抜け落ちることがないよう、子どもや子育て世代の視点に立った政策を、総合的かつ包括的に推進することができる体制を実現していくものだ」と説明している。

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 一昨年、その創設を菅前総理に直訴した自民党の山田太郎参議院議員は「日本が『子どもの権利条約』を批准したのが28年前だということを思えば、去年の1月24日からものすごいスピードでここまで来たということは感慨深い。ただ、まだ始まったばかりだ。子どもが救われなければ何の意味もない」と断言する。

 「どうしても行革の議論をされる方が多いが、課題を解決するのがゴールだ。そうでなければ今までの仕組みでもいい。しかし、これまで居場所づくりや学力格差、不登校、産後うつなどの問題を専門で扱っている部署はなかった。そういった課題を抽出し、ひとつひとつプロジェクト型で解決していく組織だと理解していただきたい」。

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 そんな山田議員がとりわけ強い関心を寄せているのが、いじめの問題だ。昨年12月までは議論が“いじめは取り扱わない”という流れに傾いていたため、“信じられない、こんな組織だったら要らない、反対に回るぞ”と激しく抵抗したといい、自身のTwitterでも、いじめを受けた女子生徒が凍死した旭川市の事件に触れている。

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 「教育委員会は自治体から独立しているということで首長も手が出せないという問題があった。そこに政治が介入できるようにしたのは大きいと思う。また、いじめも虐待も、加害者を罰することが議論の中心になるが、大切なのは、いかにその予兆を掴めるかだ。そのための“見守りの仕組み”も議論していて、たとえばITを使い“天気予報で言えば雨の気持ちが続いている”といった形で端緒を掴み、第三者が早めに介入する仕組みを作った。

 また、私が旭川のケースで教育長など現場と話をする中でわかったのは、重大な事案が起きても、専門家がいないのでどうしたらいいか分からない、という実態があることだった。そして、実は先生や子どもたち、一部の保護者たちは知っていた。しかし誰に相談したらいいか分からなかった。あるいは隠蔽の体質があった。しかしほとんど場合、現場が頑張って解決している。だからこそ他の自治体での事例も共有しながら具体的に対処できるような、仕組みを作っていくことが必要だと思っている」。

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 一方、行政から独立した立場で調査や国に勧告する権利をもつ第三者機関の「こどもコミッショナー」に関しては自民党内でも賛否があるようで、制度化が見送られた。

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 「日本ではちょっと過大評価されているところもあると思っている。皆さんが期待をしているのは個別の事案に対しいかに介入するかということだろうが、国がコミッショナーを作ったとしても、現場となる市区町村は1741もある。諸外国の担当者とも議論をしてきたが、スコットランドにおいてもメンバーは15人しかおらず、個別の問題解決はしない。そこで我々は児童福祉法を改正し、各自治体とNGO、NPが連携しながら介入できる仕組みをつった。つまり今回の基本法の中でも、こどもコミッショナーにあたる機能は埋め込んであるということだ」(山田議員)。

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 米イェール大学助教授で半熟仮想株式会社代表の成田悠輔氏は「いじめがネガティブなものである以上、共有の仕組みをいくらつくっても、情報やデータが上がってこなければ意味がない。そのためのインセンティブをどう作るかだ。また、人口数万〜十万人くらいの自治体でデータをかき集めても、いじめの前兆を精度高く見つけてくるのは難しいのではないか。自治体をまたいだ知見の融合も必要ではないか。また、新しい省庁といえば、デジタル庁の組織や民間人登用がうまくいっていないんじゃないかという報道もある」と指摘。

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 山田議員は「私はデジタル庁の政務官もしているが、今までの行政や政治の仕組みは、“何か問題があれば自分から言ってほしい。その場合には対応する”だ。しかし、それではいじめにも虐待にも対処することができない。そういう意味では少しおせっかいかもしれないが、個人情報には最大限配慮をしながら、アウトリーチをしていくために国がユニバーサルサービスをやるしかない」と回答。

 「そして、ゴールをどこに持つのかだ。命にかかわる課題を改善することに対するWhyの部分だ。プロジェクト型の仕組みをしていかなければいけない。官僚をただ集めてくると、今までやってきたことを同じように繰り返してしまう。それでは何の意味もない。行革じゃない。あくまでも課題を設定した上で、それを解決していくんだというのは、デジタル庁もこども家庭庁も同じだ。そこは組織づくりでも気をつけていきたい」と話していた。(『ABEMA Prime』より)

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