年間3万人以上にも及ぶ、高校中退者の数。経済的な問題や学校生活が合わないなど理由はさまざまだ。中退後の彼らは、一体どんな人生を送っているのか。『ABEMA Prime』では、高校を2回中退したのち、この春に早稲田大学を卒業した男性に話を聞いた。
【映像】実質1日で自主退学…三谷さんの経歴(画像あり)※9:40ごろ~
高校1年生の1月に高校を退学した、三谷滉一さん(27) 。教育水準が合わず、成績不振や欠席数が多くなったことを理由に、退学処分となったそうだ。「ある日、校長室にアナウンスで呼ばれて行ったら母親がいて(退学届けに)サインさせられてて、その日に知ってその日のうちに荷物まとめて、段ボールを持って校舎を出た」。その後、通信制高校に転入するも、実質1日で自主退学。高校をやめた後、周囲からは「お前、中卒やん」「俺の方が賢いから俺が言っていることが正しい」と言われ、偏見や差別や苦しむこともあったという。
中退者のサポートなどを行うTOB塾代表の山口真史氏によると、一番のデメリットは「中退したという負い目を背負うこと」だという。「周りの“高校ぐらいまで行くべきだ”という話を自ずとプレッシャーに感じてしまう。 “なんでやめているの?”といらないツッコミが延々と入ってくる。そういう生き方は良くないのだと刷り込まれて、退学してダメだったのだと思ってしまい、その先、生きづらくなる」。
さらに、リディラバ代表の安部敏樹氏は「学校生活でコケちゃった時に、適切な教材とタイミングでフォローする仕組みがない。一つドロップアウトするともうサポートされない」と、社会の受け皿への問題点を指摘した。
中退後に16歳で就職した三谷さんだったが、職業の選択肢は限られていたと話す。「俗にいうブルーカラーみたいな仕事しかない。工場勤務や現場作業とかが主になる。18歳未満は残業とか休日出勤を事業者側が要請できない。だから残業もできないし、学歴もない待遇だったので、選べるところはすごく狭い」。就職後も単純労働が多いことで、自分に社会人としての最低限の教養が身についているのか自信が持てなかったという。
さらに、環境の違いから友人関係にもひずみが生じたそうだ。「周りはまだ学生生活でこっちはもう働いているので、金銭感覚がずれてくる。そうなってくると遊ぶに遊べない。キラキラした学生生活をSNSで傍目に見て、僕は工場でネジ打ってると、だいぶへこんでいた。当時の同級生に会わないようにしていた」
学歴を理由に苦労を重ねる中で、三谷さんが知ったのが「高卒認定試験」だった。
■高卒認定試験とは
高卒認定試験とは、満16歳以上になる大学入学資格のない人が受けられる国家試験。受かれば高卒と同等の学力があると認められ、全ての大学を一般受験できるようになる。試験内容は8科目で、それぞれ100点中40点台が合格の目安となる。何度も受けることができ、一度合格した科目の資格は永遠に有効となる。
山口氏によると試験内容は「偏差値の低い高校の子たちが高卒になっていく
レベルに合わせた難易度設定」になっており、難しいものではないという。三谷さんも「まず、参考書を読んだ時にめちゃくちゃ簡単だと思った。やったら意外といけた」と当時を振り返る。
三谷さんはその後、高卒認定試験に合格。通信制の早稲田大学・人間科学部eスクールへと進学して、今年3月に卒業を果たした。
■高卒認定試験の認知拡大を
まだまだ認知度の低い、高卒認定試験。三谷さんは、自信の経歴をふまえて「早く知って動いてたら、もっと早い段階で大学を卒業して、学歴社会のドロップアウトから戻ってこられたはず。高卒認定の情報が、世の中に全然ない。」と話す。
実は今回、三谷さんは自ら番組への出演を志願してくれたのだ。「僕が番組に出ることで当時の僕みたいな人に気づいてもらえれば。高卒認定を知らないだけで、知ってからはハードルが低い。正直普通に高校に行っている人は高卒認定を知らないと思う。周りに知っている大人がいないのが原因だと思う。アンテナを張って周りの大人が教えてあげれば」と、高卒認定試験の認知拡大への思いを述べた。
MCのEXIT・りんたろー。は「僕らの時代も、高校を中退してしまったら人生が終わりということもあった。その子たちに希望を与えられるのはすごいこと。全然終わりじゃないし、どこからでもまた戻ってこられるのはすてきだ」と、三谷さんの思いに共感を寄せた。
高校を中退しても、三谷さんのように自ら人生を切り開いている人もいる。だが、今後は個人の努力だけでなく、社会の側も仕組みや受け皿を用意する事が求められるのではないだろうか。(『ABEMA Prime』より)
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