「ネット契約とのセットでお金を取り続ける仕組みも」Netflix、会員数減少から見る動画配信サービスの未来
家族内でパスワード共有? “無料視聴層”にひろゆき氏「視聴制限はけっこう難しい…」
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 『愛の不時着』『全裸監督』『イカゲーム』など、さまざまなオリジナルコンテンツで瞬く間に成長し、今や全世界で2億2000万人以上の契約者数を誇る動画配信サービス・Netflix。

【映像】世界で2億人以上が契約「Netflix」有料会員数の推移(グラフ画像あり)※0:37ごろ〜

 そんなNetflixが19日、2022年第1四半期(1~3月)の決算発表で、会員が約20万人減少したと発表。さらにこの先、6月までにさらに200万人減少する見込みを示した。契約者数の減少は約10年ぶり。

 これを受け、20日のニューヨーク株式市場では、Netflixの株価が前日に比べ約35%下落。時価総額にして、およそ7兆円が吹き飛んだことになり、世界に衝撃が走った。

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 アメリカのメディアアナリスト、ティム・ノーレン氏も「2年半前にDisney+が参入して以来、さらに激しい競争の場になっている」と指摘している動画配信市場。Netflixに、一体何が起こっているのか。ニュース番組『ABEMA Prime』では、動画配信サービスの今後を考えた。

■ Netflix、約10年ぶりの会員数減少 要因は“コロナ禍”の終焉? 市場競争激化、ロシア情勢も

 Hulu、Amazonプライム・ビデオ、さらにはDisney+といった大手も参入してきた動画配信市場。進む競争の激化がNetflixの会員減少につながったのだろうか。

 ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「動画配信サービスの終わりの始まりではない。単にコロナ禍が終わって、みんな家にいないだけの話だと思う」と述べる。

 フリーライター・ジャーナリストの西田宗千佳氏は、Netflixの会員減少について「3つ理由がある」と話す。

「1つ目はひろゆきさんがおっしゃったように、新型コロナの流行が落ち着いてきたので、減った。Netflixはどのような言い方をしているかというと『コロナ禍があったからこの2年間、会員増加のペースが上がってしまった。だから減るスピードも前倒しになった』と。2つ目はロシア情勢。Netflixはロシアにおけるサービス提供を止めた。そうすると、その分がガクッと減るので、大きく減ったように見える。3つ目は先ほどから出ている“競争の激化”だ」

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 一方で、ひろゆき氏は「結局、Netflixの会員はずっと増え続けると思う」と発言。「日本でもテレビはいろいろな番組が作られているが、やっぱり(配信サービスは)ドラマとかも制作予算が全然違う。Netflixの制作予算はめっちゃデカイ。そうすると面白いコンテンツが好きとなると、映画かNetflixで『家で見るならNetflixだよね』となるので、先進国の会員増加は止まらないのではないか」と語った。

 ひろゆき氏の指摘に西田氏は「会員サービスはいつか伸びが止まる」という。「Netflixが何を考えているか。いかにNetflixを使っている人がサービスをやめないか。これを重要視している。毎月1000円ずつお金を払ってくれる人がいて、それがずっと続けば、継続的かつ安定的にビジネスができる。だから、途中でユーザーが増えたり減ったり、それずっと続くのはあまりよろしくない。一定まで増えたら、今度はいかに安定させるか。彼らが思っていたより安定させるフェーズが早くきてしまったかもしれないが、これからは会員を増やすよりもいかに減らさないか、安定させるかに変わっていくのでは」と述べた。

 お笑いコンビ「NON STYLE」の井上裕介も、動画配信サービスを6つほど契約していると明かす。井上は「新型コロナの影響もあって、根本的に収入が減っている」とした上で、Netflixが値上げしても、解約しようとは思わないという。

「Netflixを使っている側からすると、満足度は下がっていない。どちらかというと、上がっている。ので、そう思うと今は一過性のもので、やめた人も経済的に余裕が出たら、たぶんまた入ってくれるんじゃないか。僕は、会員の満足度を下げてしまうことのほうが問題だと思う。Netflixはオリジナルコンテンツがたくさんあるし、アジア圏の会員を増やすために、バラエティコンテンツにも最近力を入れているように見える。要はオリジナルコンテンツ勝負で、NetflixにはNetflixのオリジナルがある。マーベルやディズニー作品はDisney+に入らないと観られない。HuluもHuluオリジナルが増えていて、オリジナルコンテンツでどこが世界的に面白いものを作れるかになっている」

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 西田氏も「おっしゃる通り。コンテンツが良くなければ“椅子”に座り続けられない」と井上の意見に賛同。続けて「ポイントは、1つの家庭で何個くらいの動画配信サービスが契約されるか」と言及。

「アメリカだったら平均3.7個契約されている。Netflixだけ契約していても全部(の欲求)は満たせない。日本でも所帯によって違うが、少なくとも2個ぐらい契約している家庭が多いのでは。そうすると、世界の家庭の絶対数があって、その家庭の中に“椅子”が2〜3つある。椅子の数が決まっている中、どのように取るか。コンテンツが良くなければ椅子に座り続けられない。そこでの戦いになる」

 西田氏の説明に井上は「6つ入っている人間からすると、リビングではテレビを見たい。お風呂に行ったらお風呂場にテレビがないから、タブレットを持ってNetflixとかを見る。場所によって見る媒体が変わる。新幹線の中だったらタブレットで何か見る。人の生活様式に合わせて見るものが変わってきている」とコメント。

 ひろゆき氏は「アメリカの場合、テレビは地上波がほとんどない。ケーブルテレビと契約して、毎月お金を払いながらテレビを見る構造だ」と、海外のテレビ事情に言及。「フランスでは、僕の場合、インターネットを契約したら、NetflixとAmazonプライム・ビデオがタダでついてくる。インターネットを契約している人はそれが当たり前で、視聴料もかからない。料金はキャリア側が払っている。オプションではない。その形で普及しちゃうと、ある種の安売りだが、ずっとネット回線を引いている限り、入り続けることになる。だから、ネット回線を繋いでいる限り、ずっとお金を取り続けることができる。各国でそれをやり始めるのではないか」と予想した。

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 西田氏も「それは日本でも始まりつつある。もう一部のケーブルテレビ会社がやっている。ケーブルテレビの事例は、オプションではなく、日本でも一緒。あと、動画配信サービスがKDDIと組んで、携帯電話の料金につけるようなプランもある。これからは1個ずつ払う形ではなく、それがベースになっていくと思う」と話した。

■ 多角化戦略? Netflixがネットショップ開設、ゲームメーカー買収の意図は

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 Netflixの事業は、動画配信サービスだけではない。ECサイト『Netflix.shop』をオープンさせ、複数のゲームメーカーを買収し、話題を集めている。

 起業家のハヤカワ五味氏は「Netflixはすでにブランド化している部分がある」と指摘。

「Netflix.shop自体はアメリカなどがメインだと思うが、日本国内でもBEAMSとコラボして商品を出している。それを私も買ったことがある。Netflixのものはイケている。ロゴ自体がかっこいいと思えるくらいブランド力がある。1つのIP(知的財産)とも言えるし、Netflixのオリジナル作品でも人気タイトルが出てきて、グッズも出ている。ある意味、アニメビジネスのようにグッズ展開や円盤を売るような感じになっていくのかなと思う」

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 これらの動きに西田氏は「ECサイトやゲームで儲けることはあまり考えていないのではないか」と話す。

「例えば特定の作品のファンなら、アパレルグッズも欲しいと思うはず。街を歩いていて『あの作品のグッズだ』と思ってくれる人がいれば、コンテンツの認知度も上がる。あと、映画で見るものがないとき、ゲームもやってくれれば誰もやめないのではないかと考えている」

 ひろゆき氏も「グッズなどはある程度売り上げになるが、Netflixが何千億円毎月利益上げているのに比べると、本当に雀の涙みたいな金額だ」と発言。「あくまでも“おまけ”の話だと思う」と述べた。

 放送中、視聴者から「ひろゆきさんなら動画サブスク事業をどんなものにするか?」と質問コメントが寄せられたひろゆき氏は「映画会社のブランド力で価格交渉されない形を目指したほうがいい」と回答。

「僕はNetflixのやり方が正しいと思う。例えば、Amazonプライム・ビデオ場合は、レンタルのような形で1個の作品にお金を払うかどうかを決める。だけど、それをやってしまうと結局、映画会社が強くなってしまう。そうすると、要は強いコンテンツを持っている会社に高い金額が集まる。でも、そうでない形のほうがNetflix(※配信サービス側)は儲かる。なんとなくボーッと見てくれる人たちがいて『こういう作品があったらこのくらい儲かる。だからちょっと安く卸さないか。見られた量によって金額を払うから』と言って、ミニマムギャランティを払わなくていい形で契約する。映画会社のブランド力で価格交渉されない形を目指したほうがいい」

 動画配信サービスの市場競争が激化する中、Netflixが今後どのような戦略を取るか、世界中から注目が集まっている。(「ABEMA Prime」より)

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