「上司を不安にさせないこと」 新入社員の“パワハラ予防”に専門家 企業の相談窓口利用時の注意点も
【映像】上司のパワハラを防ぐ方法
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上司「おい、指示した仕事まだできてねえのかよ~」
部下「すっ、すみません…」

 新年度が始まり、約1カ月――新入社員の中には、上司からの指導を憂鬱に感じる人もいるかもしれない。そうした中で懸念されているのが、新入社員に対する「パワーハラスメント(=パワハラ)」だ。

【映像】上司のパワハラを防ぐ方法

 経団連が2021年に行った調査によると、「5年前と比べてパワハラが増えた」と答えた大企業の割合は、回答した400社中44%だという。2020年からパワハラ防止を義務付ける法律が施行されたものの、逆に「増えている」と感じる企業があるのも現状だ。

「上司を不安にさせないこと」 新入社員の“パワハラ予防”に専門家 企業の相談窓口利用時の注意点も
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 もし、新入社員がパワハラに遭遇したらどうすれば良いのか。また、パワハラを予防する方法はあるのだろうか。パワハラに関する、厚生労働省の検討委員などを歴任した神奈川県立保健福祉大学大学院・津野香奈美准教授に話を聞いた。

「新入社員の場合、まだ社会経験が不足している。例えば、上司の言葉をどのぐらい受け流していいのか。そのさじ加減が分からないので、ダメージを受けやすいというリスクもある」

 また、こうした小さなダメージの蓄積が「深刻な精神疾患につながる恐れもある」と津野准教授は訴える。

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 日本で行われたとある調査では、ライフイベントによって感じるストレスを数値化した際、「仕事上のミス」や「上司とのトラブル」、「睡眠習慣の大きな変化」など、新入社員が経験しやすい項目で高い点数を記録した。学生から社会人という環境の激変も影響し、新入社員はうつ病などになりやすい傾向にあるという。

 こうした中、津野准教授は「上司を不安にさせないこと」がパワハラを予防する上では有効だと話す。

「私は過剰に“ホウレンソウ(報告・連絡・相談)”をすることを勧めている。上司は、『部下が今どのぐらいの仕事をどの程度できているのか』が気になる。パワハラを防ぐためには、『今、何がどこまでできている』『次はどこをやろうと思う』というふうに、先手を打って報告する。それをやっておくと上司が安心するので、無用な攻撃から身を守ることができる」

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 上司と密にコミュニケーションをとり、「ホウレンソウ(報告・連絡・相談)」をしっかりと行う。それでもパワハラを受けてしまったときには、相談窓口を頼るのも1つの手段だ。

 津野准教授は、各都道府県の労働局などに設置されている「総合労働相談コーナー」や全ての企業に設置が義務付けられた「パワハラ相談窓口」の利用など、まずは相談してみることが重要だとした上で、注意点を挙げた。

「相談窓口の設置が義務付けられたので、『とりあえず、あなたが相談員をやって』と適当に名指しして、その人を担当者に置いている場合がある。相談対応の経験がない人や社長とツーカー(気心の知れている仲)である人が相談員になってしまうと、ちょっと相談したことが社長に筒抜けになってしまったり、不利益になったりする可能性がある。相談対応の経験がある人かどうかなど、確認をするのもいいと思う」

(『ABEMAヒルズ』より)

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