規格外野菜を廃棄から救え!  「チバベジ」の“差別しない”取り組み
【映像】『アキダイ』社長が語る“規格外野菜”の販売方法
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 パスタやサラダなど、さまざまな用途で活躍する野菜「トマト」。栄養が豊富で人気も高い一方、市場で流通されず、私たちが通うスーパーに並ばないものもある。それは、よく見ると変色していたり、傷がついていたりする“規格外”のトマトだ。

【映像】『アキダイ』社長が語る“規格外野菜”の販売方法

 曲がったナスやきゅうり、大きさが違う大根など、市場が“規格外”と定める野菜は出荷されず、そのほとんどが廃棄処分になる。そうした現状を変えようとするプロジェクトが、千葉県で始まっている。

「僕らが使っている野菜は規格外・規格内という差別をせず、1つの野菜として流通させている」(「チバベジ」を手掛ける鳥海孝範代表理事)

 出荷できない規格外の野菜を農家から買い取り、流通させる取り組みを行っている「チバベジ」。規格外だからといって安く買い叩くわけではなく、農家が希望する価格で買い取るのがチバベジの特色だ。その背景には、フードロスをなくすことはもちろん、持続的な農業の仕組みづくりを目指すという強い思いがあった。

「きちんと把握していないが、ベテラン農家でも大体3割くらいは“規格外”といわれる野菜ができてしまう。見た目が違うだけで食べればおいしいし、飲食店ではそれほど形に関係なく調理してくれる。そうした“もったいない”という気持ちに賛同してくれる飲食店で買い取っていただいている」

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 今ではイベント販売などを通じて、一般の人にも規格外野菜の“もったいない”現状を伝えているチバベジ。このプロジェクトのきっかけは、2019年に立て続けに千葉県を襲った台風だったという。

「9月は台風の影響で風が強かったので、梨が完熟前に全て落ちてしまった。農家から『生食では販売できない』という話を聞き、その梨を買い取ったところから活動がスタートした。それから、横のつながりで『うちはこういうトマトがあるよ』『ナスがあるよ』と、どんどん広がっていった」

 台風15号による農林水産業の被害額が600億円を超えた千葉県。ビニールハウスは折れ曲がり、次の植え付け作業の見通しが立たない……鳥海さんたちは、廃業か存続かの岐路に立たされた農家の姿を目の当たりにした。

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 クラウドファンディングを活用するなど、初めは支援という形でスタートしたチバベジだったが、持続的な活動にするために法人化した。現在は、生ものである野菜をより無駄にしないために、スムージーなどの加工品の生産・販売に力を入れている。

「環境負荷ということを考えると、千葉の野菜はできるだけ近郊で消費したほうが良い。私たちのようなプレーヤーが各県にいて、地産の野菜を流通させるのが一番環境負荷にならない。僕らが活動を広げるというよりは、同じような仲間が各地で増えていくことによって、どこかで災害が起きた時にも横の連携でサポートできる仕組みができたらいいなと思っている」

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 ニュース番組『ABEMAヒルズ』に出演したスーパー『アキダイ』の代表取締役・秋葉弘道氏は、規格外の野菜を売る取り組みについて「みんなが喜ぶことなので、とてもいいと思う。規格外野菜を活かすことによって、生産者がさらに農業を頑張ろうと思えるはず」と絶賛した。

 全国で収穫された野菜は約1305万トンあるが、出荷されるのはそのうち約1126万トン。残りの179万トンは、収穫されても出荷されていない状態だという。こうした現状を踏まえて、秋葉氏は規格外野菜が流通しない理由を次のように分析する。

「(出荷されていない野菜を)各産地や農協で活かす取り組みも行われているので、すべてが無駄になっているわけではない。しかし、野菜を出荷しすぎてしまうと、平均単価が下がり価格が安くなってしまう。そうすると、生産者の方がお金が取れない状況になり、むしろお金を払わなくてはならない時もある。そこで出荷すると(利益が)マイナスになるので出荷しない。畑のトラクターで潰してしまうこともある。もうひとつは、規格外の野菜は(形が不揃いで)箱に詰めにくい。物流コストが上がっている中で箱詰めをするというのは難しい」

 市場に流通される野菜には、等級がAからDまであると話す秋葉氏。スーパー『アキダイ』では、規格外野菜を販売しているのだろうか。

「真っ直ぐなキュウリなど、規格外ではない野菜を必要とする人がいるので、そうしたA級品を売っている。それに加えて、B級品のような“規格外とまではいかないが、少し曲がったようなもの”をいくつか袋に詰めてお値打ち価格で販売している」

(『ABEMAヒルズ』より)

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