姫路城や阪神タイガースファーム施設を“ゼロカーボン”に 「脱炭素先行地域」26カ所が決定 規模の小さな自治体には課題も
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 環境省は26日、2030年までに脱炭素化を目指す先行地域で、第1段となる26カ所を発表した。

 「脱炭素先行地域」は、電力消費に伴う二酸化炭素の排出を、2030年までに“実質ゼロ”にする地域。今回は、さいたま市(埼玉)や川崎市(神奈川)、名古屋市(愛知)などの大都市のほか、町全域の脱炭素化を目指す上士幌町(北海道)や、佐渡市(新潟)など離島の取り組みも入った。このうち、横浜市(神奈川)はみなとみらい地区の約半分の建物を脱炭素化する計画だ。

【映像】「脱炭素先行地域」 漏れた自治体は

 この脱炭素先行地域に選定されるとメリットがある一方で、小さな自治体にとってはハードルが高い面もあるという。テレビ朝日社会部の川崎豊記者が解説する。

Q.そもそも「脱炭素」とはどういうもの?
 地球温暖化の原因となる温室効果ガス、主に二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする取り組みのこと。実質ゼロというのは、排出量と吸収量で“プラマイゼロ”にするという考え方で、「カーボンニュートラル」とも言われる。2020年に菅元総理が所信表明演説で「2050年までに脱炭素化社会の実現を目指す」と演説した。

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Q.「脱炭素先行地域」の取り組みの狙いは?
 2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロにするには、2030年に温室効果ガスを46%減らさなければいけない(2013年度比)。そのためには、まず減らせるところからどんどん減らしていこうということで、脱炭素の志がある地域を募集し、集中的にお金を配分して、最初に目指していく地域をつくっていく事業。環境省は、今後3年で少なくとも100カ所以上を脱炭素先行地域にしたいとしている。第1回となる今回は、79カ所の応募で26か所が選定された。

Q.一般の人にメリットはある?
 行政が申請したりしているので、一般の人への恩恵はあまりないと思われると思うが、交付金も含めてわりと柔軟に設計されている。例えば(先行地域内の)個人や民間施設に太陽光パネルを置くために補助金を使えたり、地域電力を使っている人たちの電気代が下がったりすることにつながる。

Q.どんな地域が選ばれた?

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・北海道上士幌町
 一般家庭の家畜糞尿処理の過程で発生するメタンガスを利用したバイオガス発電の供給などで、町全体で脱炭素化に取り組む。

・兵庫県姫路市
 世界遺産の「姫路城」を中心に、特別史跡指定区域内にある周辺公共施設に太陽光や蓄電池を設置したり、「ペロブスカイト」という薄い太陽電池を姫路城に影響がないかたちで使えないかという検討がされたりしている。

・岡山県西粟倉村
 ここも村まるごと脱炭素先行地域ということで、村全域の公共施設などの屋根に太陽光や風力、蓄電池を導入するなどしていく。

・兵庫県尼崎市
 阪神タイガースファーム施設の移転に合わせて、移転先の公園内の野球場に太陽光発電などを導入する。いわゆる“ゼロカーボンベースボールパーク”を実現して、電源を脱炭素化することで“ゼロカーボンナイター”を開催するとしている。

・鹿児島県知名町
 離島が抱えるエネルギーの災害時の脆弱性の制約も踏まえて、太陽光等を導入する。
(上記、一部抜粋)

Q.今後も継続していく取り組みだと思うが、課題は? 今回選ばれなかった地域は?
 選定基準は、電力需要量の規模やどれだけ地域の合意形成が進んでいるか、モデル地域となるかなど。有識者会議の中で点数をつけて、採択したと聞いている。

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 脱炭素化は最初のコストが大きく、環境省は大きい省庁ではないものの、1年間だけで200億円という予算をこの事業につけている。これを5年間続けて、事業規模では1000億円規模になる。

 今回、選考から漏れてしまった地域の中には、1、2年で取り組める実現性があるとされているところもあって、実はそういったところへは別の補助金や助成金がある。規模は大きくないけれども、積み重ねていくということが考えられている。

 私が取材していた栃木県の那須塩原市は選ばれなかったが、こういった小さな自治体の取り組みがどんどん積み重なっていかないと、2030年の目標、あるいは2050年のカーボンニュートラルは難しい。山口環境大臣は「先行地域の例を見て他の地域もならってほしい」と言っていたが、それぞれ財源の問題などもあり、ここからどれだけ裾野を拡大できるかは課題だと思う。

 もう1つは、今までにこういった取り組みの経験がなかったため、例えば再生エネルギーや電力の仕組みに詳しい人が役場にいないといったことが多くある。そこで政策の質が高まっていかないという人材不足などの課題が、今回の募集で明らかになった。

ABEMA/『アベマ倍速ニュース』より)

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