アニメ「キングダム」は、原泰久氏が「週刊ヤングジャンプ」で連載する漫画「キングダム」を原作とする作品です。第1シリーズの放送が2012年6月から始まり、2024年1月からは第5シリーズが放送されました。原作コミックスは2024年7月の段階で72巻まで刊行され、累計発行部数1億部を超える人気作です。
アニメ「キングダム」に登場する羌瘣(きょうかい)は、主人公である秦の武将・信(しん)が率いる“飛信隊(ひしんたい)”の副長を務める女剣士です。個人の武勇に優れ、特殊な呼吸法を用いて戦う“巫舞(みぶ)”で、舞うように敵を倒す姿は圧巻です。戦術にも長け、武将としても優秀ですが、ふだんは周りが驚くような世間知らずな発言をすることもあります。クールな戦闘時とふだんの天然ぶりのギャップ、さらに美少女的なビジュアルで、ファンから愛されているキャラクターです。
今回の記事では、アニメや原作コミックスよりわかる情報から、羌瘣の強さの理由や、信との絆などを解説します。実写映画のほうは、2019年に公開された実写映画第1作「キングダム」での登場こそかないませんでしたが、2022年7月に公開の実写映画第2作「キングダム2 遥かなる大地へ」にて、羌瘣が初登場。映画の羌瘣のキャストについても紹介していきます。
目次
- 羌瘣が登場するアニメ「キングダム」とは
- 羌瘣の基本情報!声優や年齢などのプロフィールを紹介
- アニメ「キングダム」羌瘣が飛信隊に加わった経緯は?
- アニメ「キングダム」羌瘣はなぜ強い?
- アニメ「キングダム」羌瘣と信や飛信隊との絆とは
- 羌瘣は実在の人物?
- まとめ
羌瘣が登場するアニメ「キングダム」とは
時は紀元前245年。戦国七雄と呼ばれた7つの国が、中国全土の覇権を競っていた春秋戦国時代末期。戦争孤児であった主人公の信は、幼馴染であった漂(ひょう)が秦王・嬴政(えいせい)の身代わりで殺されたことを機に、嬴政に協力して王都奪還を果たします。その後、秦国軍に一兵卒として加わった信は、厳しい鍛錬と強敵との戦いの中で力をつけ、数々の激戦で功績をあげて将軍への道を駆け上がります。
アニメ「キングダム」は、下僕であった信が“天下の大将軍”を目指して躍動し、後の始皇帝である嬴政が史上初となる“中華統一”を果たすまでの物語です。武芸に長けているだけではなく、まっすぐで男気あふれる信と、それを信頼する仲間たちの絆、謀略を巡らす各国の参謀や他国にまで名を轟かす列国の猛者たちなど、見どころが多くあります。
羌瘣の基本情報!声優や年齢などのプロフィールを紹介
羌瘣は、主人公・信の初陣から一緒に戦い、その後に信が率いることになる部隊“飛信隊”の副官として数々の戦場を共にする女剣士です。剣技に優れ、その実力は出会った当初の信がまったく歯が立たないほど。もともと秦軍に入るのを目的としていたわけではなく、個人的な復讐のために旅をしていたことが、アニメ第1シリーズの23話で語られました。
伝説の暗殺集団“蚩尤(しゆう)”の後継者を決める「祭(さい)」において、羌瘣は姉のように慕う羌象(きょうしょう)を卑怯な手で殺されました。その後、暗殺集団を抜けた羌瘣は、羌象の仇を取るために旅を続けています。感情を殺し、その目的のためだけに生きていた羌瘣は、信と出会い、飛信隊の副長として戦っていくうちに、飛信隊に自らの居場所を見つけて、徐々に表情も豊かになっていきます。
剣士としては非常に腕が立ちながらも、天然さも持併せ持っていることが羌瘣の魅力です。第4シリーズの1話では子どもの作り方も知らずに信の子を産むと言って周りを仰天させるなど、突拍子のない行動をとることも人気の要因でしょう。
羌瘣の基本情報【プロフィール】
羌瘣が初めて姿を見せるのは、アニメ第1シリーズ17話で描かれた、信の初陣である“蛇甘平原(だかんへいげん)の戦い”です。コミックス20巻の巻末にあるキャラクターの年齢によると、羌瘣は信よりも一歳年下。蛇甘平原の戦いのときの信は14歳なので、羌瘣の初登場時は13歳ということになります。
身長などは公開されていませんが、他のキャラクターと比べても小柄であることがわかります。巫舞を用いた戦い方から考えても、身軽な体形であることは間違いなさそうです。外見はぱっちりした目にサラサラの黒髪で、とてもかわいらしい顔立ちをしています。飛信隊の仲間たちも、羌瘣の姿に頬を染めたり、ポーっと見惚れたりするシーンが何度も出てきます。
羌瘣の基本情報【アニメ版声優】
アニメ「キングダム」で羌瘣役を演じているのは、声優の日笠陽子(ひかさ ようこ)さんです。他の代表的な出演作品としては、「けいおん!」の秋山澪役や、「戦姫絶唱シンフォギアシリーズ」のマリア・カデンツァヴナ・イヴ役など。クールで凛々しい声の女性を演じることに定評があり、歌が上手い事でも有名です。多くのキャラクターソングを歌っているほか、ソロアルバムも発売しています。
いまでは広く使われるようになった「てへぺろ」という言葉の生みの親は、日笠さんだとされています。もともと持ちネタとして日笠さんがブログで使っていた「てへぺろ」が声優業界で流行り、それが一般的に定着したとのことです。
羌瘣の基本情報【実写映画版キャスト】
実写映画「キングダム」は、信と嬴政が王都奪還を果たすまでの物話を描いていたので、羌瘣は登場しませんでした。続編となる実写映画第2作「キングダム2 遥かなる大地へ」は、羌瘣が登場する蛇甘平原の戦いを描くため、製作が発表されてから羌瘣のキャストに注目が集まっていました。
2月1日に発表された羌瘣役は、女優の清野菜名(せいのなな)さん。とくにアクションシーンに定評があり、プロデューサーが身体能力の高さや演技力を起用の理由に挙げています。
清野さんのこれまでの代表作は、ドラマ「今日から俺は」の赤坂理子役や、「シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。」のミスパンダ役などです。デビューは中1の時の「ピチレモン」専属モデルでの活動ですが、運動が好きで高校では3年間アクション部に所属。「バイオハザード」のミラ・ジョヴォヴィッチに影響を受けて、高校2年生の時に1年間アクション養成所で訓練を受けた経験もあります。2014年公開の映画「TOKYO TRIBE」のオーディションでアクションを認められて抜擢され、その後もアクション系の役を中心に活躍する女優です。
アニメ「キングダム」羌瘣が飛信隊に加わった経緯は?
アニメ第1シリーズ17話で描かれる蛇甘平原の戦いにて、歩兵たちは上官から“伍”と呼ばれる5人組を作って戦うように命じられます。しかし、初陣の信や小柄な羌瘣と積極的に組みたがる兵はなく、余り者として信の同郷の尾平(びへい)たちとともに、冴えない風貌の澤(たく)が伍長を務める伍に振り分けられました。当時の羌瘣は、自己紹介で「嫌いなことはしゃべること」というくらい愛想もなく、周りからも男性と思われていました。
このように、周囲からあなどられていた羌瘣ですが、蛇甘平原の戦いにて卓越した戦術眼をもって大活躍します。アニメ第1シリーズ18話の、魏軍の戦車に攻められて劣勢になった場面では、「死体を積み上げて防壁を築く」ことを提案。さらに、「戦車の車輪を狙う」ヒントを信に与え、味方のピンチを救いました。
羌瘣の見せ場は武のほうでもあり、アニメ第1シリーズ19話にて、魏軍の副将・宮元(きゅうげん)の首を狙う信たちのしんがりで剣を振るい、敵を圧倒していました。
蛇甘平原の戦いの後、第1シリーズの23話にて、羌瘣は象姉の仇を討つという宿願のために信のもとを去りますが、信からは「必ず戻ってこい」と言われます。蛇甘平原の戦いでの活躍で百人将になっていた信にとって、羌瘣は頼れる仲間として、自分の百人隊の頭数に入れていました。この信が率いる“飛信隊”という居場所ができたことで、羌瘣の心境も徐々に変わっていきます。
その後、第1シリーズの26話にて、羌瘣は仇が見つからなかったことを理由に飛信隊に復帰し、活躍を続けることになります。羌瘣は剣技に優れているだけでなく作戦立案にも長けており、軍師として河了貂(かりょうてん)が加わるまでは飛信隊の作戦はほとんど羌瘣が立てたものでした。実際、第2シリーズ34話では、羌瘣がふたたび仇を討つために飛信隊から抜けると、信の無茶な作戦で連戦連敗する場面が描かれています。
アニメ「キングダム」羌瘣はなぜ強い?
羌瘣は、暗殺集団の一族である蚩尤族の後継者候補で、幼少期から剣技を仕込まれていました。「トーン、タンタン」という独特のリズムで舞うように戦う羌瘣の剣技は、蚩尤に伝わる巫舞と呼ばれるものです。独特の呼吸法を用いてトランス状態になることで、人間離れした剣を振るいます。剣を媒介にして荒ぶる神を堕とし、舞いながら敵を切る巫舞をあつかうことから、のちに戦う龐煖(ほうけん)に「お前は“神を堕とす”者か」と言われていました。
非常に強力な巫舞ですが、長い時間は発動できないうえに、使いすぎるとしばらく動けなくなる弱点があります。第1シリーズ31話にて、とくに羌瘣は一族のなかでも「呼吸が深い」と羌象に評されていて、短時間の戦闘では無類の強さを誇ります。一方、第1シリーズ20話などの戦闘時では「呼吸が尽きた」と戦列を離れて休む姿を見せていました。
羌瘣が愛用する武器は、“緑穂(りょくすい)”と呼ばれる柄に宝石が埋め込まれた剣です。戦闘時に語りかけることも多く、第1シーズン31話にて龐煖と戦ったときに、剣にかけた「舞うぞ緑穂」という言葉は、ファンに強い印象を残しました。
アニメ「キングダム」羌瘣と信や飛信隊との絆とは
登場したころの羌瘣は、仇討ちだけを目的に生きていたせいか愛想もなく、信が話しかけても無視したりと、親交を深める様子を見せませんでした。信も打ち解けようとしない羌瘣に文句を言っていましたが、仲間を守るために戦う羌瘣を見て信頼するようになります。その信頼に応えるように、羌瘣は飛信隊の副官に収まり、その戦いぶりを見た仲間たちからも頼られていきます。
その絆を表すエピソードとして、アニメ第2シリーズ30話では、絶望的な戦況の中、羌瘣は羌象の仇討ちよりも飛信隊の仲間を救うことを選び、「ごめん、象姉」とつぶやいて敵の軍勢に突入していく姿が描かれました。信と飛信隊は、仇討ちという目的にとらわれ、心を凍らしていた羌瘣の生き方を変えた重要な存在なのです。
羌瘣は象の仇を討ったあと、飛信隊にふたたび戻って副官に収まります。第2シリーズ26話では、自分の怪我を隠して信の傷の手当てをするなど、信に対して特別な気持ちを持っている様子から、信と恋人関係になる可能性も残しています。
羌瘣は実在の人物?
「キングダム」には信や嬴政をはじめ、実在の人物をモデルとしたキャラクターが数多く登場しています。羌瘣も実在の人物として「史記」に記録があり、王翦(おうせん)・楊端和(ようたんわ)とともに趙を攻めたと記載されています。性別についての記載はありませんが、当時の武将は男性であることが一般的なので、羌瘣も男性だった可能性が高そうです。
まとめ
羌瘣は、「キングダム」の主人公・信が率いる“飛信隊”の副長として信を支える女剣士です。暗殺集団である蚩尤の後継者候補として育ち、巫舞と呼ばれる独特の剣技を身に着けています。戦場では凛々しく戦う一方で、天然な言動も多く、かわいらしいビジュアルも相まって人気の高いキャラクターです。
(C)原泰久/集英社・キングダム製作委員会