クリエイターへの広告収益分配サービスでTikTokが“YouTube化”? 支持されてきた独自のUXが損なわれる懸念も
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 TikTokが先週、特定の広告が再生された場合、その収益の50%をクリエイターに分配する新サービス「TikTok Pulse」を発表した。

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 日本での開始時期は未定、フォロワー10万超のクリエイターや著名人などが対象であるものの、近年TikTokの広告収益は急増しており、アメリカの調査会社Insider Intelligenceによれば2022年は約120億ドルに達する見通しもあり注目が集まっている。

■広告を見たくなければ飛ばせる、というUXが損なわれる?

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 9日の『ABEMA Prime』に出演した電通メディアイノベーションラボの天野彬・主任研究員は「これまでもフォロワーが多いクリエイターについては広告タイアップ案件やギフティングなどの収益化の方法があった。いよいよ競合のサービスとは違うTikTokの強みを発揮し、優秀なクリエイターが投稿にコミットする体制を作っていくということではないか」と話す。

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 「やはり動画はノンバーバルなので、日本語がわからない海外の人にも見てもらえるということで、Junyaさんのフォロワーが4000万人を超えるといったことも起きている。また、TikTokはおすすめの機能が非常に優れていて、ユーザーが見たい動画はもちろん、これから流行ってきそうな面白い動画などを精度高くおすすめしてくれるので、みんなが“沼る”。動画単体では数十秒ほどだが、平均すると1時間くらい視聴しているといわれているので、メディアとしての価値、つまり広告価値も高い。

 さらに、これまでのSNSはフォロワーが多くないと、コンテンツが届かなかった面があるが、TikTokはフォロワー数に関係なく動画が面白ければバズる仕組みになっているので、トレンドを起こす着火点になりやすい。飲料や書籍などで店の棚が動く、という“TikTok売れ”が起きているのも、TikTokの中でバズり始めると皆が試そうとするからだ。運営するByteDanceとしても、機能面の改善にかなりのリソースを割き、巧妙にマーケティングをしてきて今の地位にいるので、並び立つサービスがそう簡単に出てくるとは思えない。今のところ、中国企業だから、といった懸念もないと思う」。

 その上で天野氏は、TikTok Pulseの課題について次のように指摘した。
 

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 「歴史的に、どのSNSもユーザーが増えるまでは広告を入れず、ユーザーが増えてきたら広告を入れるという戦略を採ってきた。今のTikTokも、そういうフェーズにあるということだろう。ただ、YouTube広告が入って以降、みんなが“早くスキップしたい”となり、UXとしては下がってしまい、それに対応する形で広告なしで見られるYouTubeプレミアムを開始した。こうしたことが、ユーザーがより良い視聴体験ができるTikTokに移っていった背景にはあると思う。

 その意味では、TikTokもYouTubeに近い仕組みになった場合、"見たくなければ飛ばせる"という、ユーザーに支持されていたUXが損なわれないか?という問題がある。逆に言えば、他のサービスにとっては、TikTokから離れたユーザーを取っていくチャンスになるということだ。また、若いユーザーにマーケティングしたい企業がどれだけ乗ってくるかという課題もあるだろう」。

■田中アナ「テレビ頑張って、という気持ちもある」

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 SNSアカウントで多くのフォロワーを抱えるeスポーツチームαD代表の石田拳智氏は「ついに来たか、という感じだ。これまでのTikTokは“無名を有名にする”みたいなイメージが強く、フォロワーで言うとヒカキンさんのYouTubeチャンネル登録者数を抜いたTikTokerもいる。TikTokerがYouTubeに行く流れが、YouTuberがTikTokに行く流れにもなってきている。一方、YouTubeがTikTokに寄せた“YouTube Shorts”を流行らせたりもしているので、お互いにやり方を変えていくのかどうかも気になる」と話す。

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 これにTikTokアプリを使っていないという紗倉まなは「TikTokには刹那的な瞬間を見て楽しんでいるみたいなところがあって、私にはハマれない部分があった。でも、確かに“TikTokではこういうのが流行っているんだ”ということをYouTubeで知ることが多いし、YouTubeを見ているのに、TikTokを見ているような気持ちになってくることもある。そして私が気になるのはTikTokに似ていたVineが廃れてしまったこと。YouTubeやTwitter、Instagramなども含めて、いずれ使われなくなっていくのだろうか」と応じた。

 ライターの中川淳一郎氏は「アメリカでの調査では、ティーンエイジャーに最も使われているのはSnapchatで、2位がTikTok、Facebookは非常に少ないようだ。なぜそうなるかと言えば、“親世代が使っているSNSはダサい”ということになるらしい」と苦笑。

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 テレビ朝日田中萌アナウンサーは「Instagramもユーザーの年齢層が高くなっていて、若い人が消えていってしまった感じがある。TikTokも、いずれは若い世代の移動によって、次のSNSに取って代わられるのかもしれないと思う。テレビの世界で生きていて、広告をもらって生活をしている人間としては、インターネットの広告費が、マスコミ4媒体のそれを上回ったという話を聞いて、内心穏やかじゃないというのが本音だ。"大丈夫かな、テレビ頑張って"という気持ちもある」と話していた。(『ABEMA Prime』より)

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