武藤敬司、復帰即メインに「いきなり潮崎とぶつけたりするなよ」と苦笑 「潮崎をピンフォールして、小島の前に割り込むかもしれねえからな」不敵な笑みも

 左股関節唇損傷によって、今年1月から長期欠場していた武藤敬司が5月21日のプロレスリング・ノア、東京・大田区総合体育館大会で復帰戦を行うことが決定した。

 4カ月ぶりの復帰戦でいきなりメインイベントに登場し、丸藤正道、小島聡とトリオを結成。潮崎豪、清宮海斗、田中将斗という一線級と対戦することになった武藤に、現在のケガの状況と復帰への意気込みを聞いた。(取材・文/堀江ガンツ)

- 5・21大田区大会で4カ月ぶりの復帰戦が決まりましたけど、現在のコンディションはいかがですか?

武藤 コンディション?  そんなもん、ず~っとよくないよ。

- 今に始まったことではなく(笑)。武藤さんが満身創痍で闘い続けてきたことはファンもよく知っていますけど、欠場の原因となった股関節のケガの状態はいかがですか?

武藤 これも基本的に治らねえんだよ。ヒザのケガと同じで大腿骨と骨盤がすり減っちゃってるからさ。ただ、4カ月前は股関節に水が溜まったり炎症があったりしたけど、休んだことでそういうのは収まってるから、そんなに痛みはないよ。

- 治ったわけではないけれど、痛みや炎症はだいぶ収まっていると。

武藤 だからまた無理すれば再発する危険性はあるけど、そういうことを踏まえてすごい工夫して練習してるんだよ。どこまでの負荷なら耐えられるかとか、自分でテストしながらね。

- 股関節はいつ頃から悪かったんですか?

武藤 本当はね、(2018年3月に)ヒザの人工関節の手術する際にMRIでいろんなところを診てもらった時、医者から「武藤さん、股関節もあんまり良くないよ」とは言われてたんだよ。だけど、その時点ではまだ股関節は無症状だったんだ。それが実際に「調子悪ぃな」と思い始めたのは、去年9月のN-1 VICTORYのとき。リーグ戦を闘いながら「なんかちょっと調子悪ぃな」ってなってたんだよ。

- 久しぶりの過酷なシングル連戦でしたしね。

武藤 で、そっから徐々に悪化していって、今年1月にパンクした感じだよな。

- それが4カ月欠場したことで、痛みや炎症が収まったので復帰を決意した、と。

武藤 まあ、これ以上休んでも休まなくても一緒のような気がするんだよ。だったら試合をやらないと現役を名乗る資格がないと思うからね。

- 休んでいた4カ月間は、客観的にノアマットを見る機会にもなりましたか?

武藤 そんなに観てないよ。他人を気にしたってしょうがない。俺の場合、常に敵は自分自身だから。自分の老いとの戦いであったり、自分のケガとの戦いであったり、そっちのほうがよっぽど重要。ただ、ノアに関しては元気があるリングであってほしいとは思っているよ。そこに俺は復帰するわけだからね。

- 4・30両国国技館大会では、解説者としてリングサイドで今のノアを間近で観てどう感じましたか?

武藤 やっぱりリングサイドでああいう試合を見せられたら、興奮もしたし、いろいろと五感で感じるものがあったよ。だから「よし、復帰しよう!」とあの場で決めたからね。

- 両国大会のひとつ大きな話題として、小島聡選手が「X」として登場し継続参戦が決定したことについてどう思いましたか?

武藤 あいつもきっと必死なんだろうな。でも、小島にとってはいいことじゃないの? 俺は新日本のことはよくわからねえけど、ここ数年、それほどあいつの話題は聞こえてこなかったし。それがノアに来たら、こうやってメディアが取り上げてくれるわけだから。あいつにとったらいい決断だと思うよ。

- やはりプロレスラーは話題になってなんぼ、注目されてなんぼですもんね。

武藤 俺だってそうだよ。プロレスやって、話題になってなんぼだから。言っちゃなんだけど、俺は「復帰する」って言っただけでこうしてインタビューを受けたり、新たにスタジオ撮影したりしてるわけじゃん。たかだか4カ月休んだだけの復帰だよ? 俺はもっと地味~に静かに復帰しようと思ってたのにさ(笑)。

- まずは慣らし運転みたいな感じで(笑)。

武藤 そうそう。それが「復帰する」って言っただけでいろいろ記事になってネットニュースに出たり騒がれるんだから、おもしろいもんだよ。

- 復帰戦も丸藤正道選手、小島聡選手と組んで、潮崎豪&清宮海斗&田中将斗という一線級の選手と対戦するカードになりました。

武藤 俺は「いきなり潮崎とぶつけたりするなよ」って言ったんだけど、ぶつけてきやがったよ(笑)。しかもこれメインイベントでしょ? 俺は地味に中盤くらいのカードで復帰するつもりだったのにさ。

- 武藤さんぐらいのビッグネームになると、そうは許してもらえないわけですね。

武藤 ただ、言わせてもらえば、田中将斗とは(シングルで)やったことねえけど、俺は潮崎にも清宮にも負けてねえからな。

- 昨年2月の日本武道館では、潮崎選手からGHCヘビー級のベルトを奪取しているし、清宮選手にはシングルで2度勝って、去年のN-1でも時間切れ引き分けでしたしね。

武藤 だから本来ならレスラーっぽく、「かかってきなさい」とか「俺の首を刈ってみろ!」とか吠えてもいいシチュエーションだけど、俺自身はそれどころじゃねえんだよ。

- とにかくケガからの復帰戦で自分自身がどこまでできるかが問題だと。

武藤 必死だよ、俺も。その「必死さ」というものが今回の復帰戦のテーマかもしれないな。試合内容で訴えるのも重要かもしれないけど、生き様で伝えることもレスラーとして大切なことだと思ってるからね。今、世の中の人はみんな必死に頑張ってると思うんだよ。だから俺も体は決して万全じゃない中でも、必死になって闘っているところをプロレスを通じて表現できたらと思っているよ。

- では、復帰戦での必死の闘いに期待したいと思います。

武藤 ただ、もし当日めちゃくちゃ元気だったりしたら、俺が潮崎をピンフォールして、小島の前に割り込むかもしれねえからな!

- 調子次第では、小島選手からGHCヘビー級の挑戦権をかっさらうかもしれない、と(笑)。

武藤 試合はナマモノだからわからないよ。自分で「いける!」と思ったら、あいつの目の前に割り込んでいくから。それがレスラーだからな。