ひろゆき氏「何をすべきか自衛隊の人たちも分かっていない」ドローンやスマホが活躍する現代に合った軍事研究は
ひろゆき「戦闘機よりドローンに予算を」日本の軍事研究を議論
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 11日、岸田政権の看板政策「経済安全保障推進法」が自民、立憲などの賛成多数で成立した。

【映像】ウクライナ軍の兵器か? 爆撃を受けるロシア艦隊(2:15ごろ)

 経済安全保障推進法の柱は下記の4つ。

・医薬品や半導体など生活に欠かせない製品の供給網の強化
・サイバー攻撃などを防ぐためのインフラ整備
・国による先端技術開発の支援強化
・原子力や高度な軍事技術にかかわる特許を非公開にできる制度 など

 ロシアのウクライナ侵攻による原油高騰や物価上昇、中国の海洋進出による台湾海峡の不安定化などを背景に、法案は大きな反対もなく成立したが、ネットでは「軍事技術の研究促進になるのでは」と疑問視する声もある。

 しかし、インターネットやGPS、携帯電話など、私たちが日頃使っている通信技術は元々軍事技術の研究から生まれたもの。さかのぼれば、ティッシュペーパーや電子レンジ、缶詰、フリーズドライ技術も軍事研究によって開発され、今の生活に根付いている。

 ニュース番組『ABEMA Prime』では、軍事研究の是非、そして日本を取り巻く軍事研究の状況について、専門家と共に議論を展開。ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「軍事研究を日本がやらなくなると、アメリカから型遅れのやつをめっちゃ高い値段で買うことになる。安くてちゃんといいものを、であれば自分たちで研究する必要がある。『軍事研究は良くない』と言っている人たちは、防衛費をまずかけなきゃいけないってことがたぶん理解できてないと思う。『防衛費をゼロにするんだ。だから軍事研究をするべきでない』なら論理的だが『防衛費はあってもよくて、軍事研究はするな』はアメリカにひたすらお金を払いたい人なのかなと思う」と意見を述べた。

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 安全保障アナリストで慶應義塾大学SFC研究所上席所員の部谷直亮氏は「ある意味、そういう人たちは現状を理解していないのだと思う。今の時代、軍事研究はもう成立しえない。民生と軍事の差がなくなってきて、下手すれば民生技術の方がすごい。そういった時代に『軍事研究を禁止しよう』と言っても、民生技術で大量破壊兵器が作れてしまう。『それはいいのか?』と思う」と見解を示した。

 実際にロシア軍の侵攻が続くウクライナでは、アメリカの世界的実業家、イーロン・マスク氏率いる宇宙企業スペースX提供の「スターリンク」が使われている。スターリンクは小型衛星を使うネットシステムであり、民生の技術だ。

 ジャーナリストの堀潤氏は「強い軍事力を持つことと、その軍事力を政治的にどう行使するのか、しないのかは別の話だ」と話す。

「それを切り分けて考えなければいけないのに、それを一緒にして、技術を持った途端にどう使われるのかという話になってしまうのは、稚拙な議論だ。しかも今回、経済安保の観点から考えると、いわゆる共同で、ある程度の高い技術を持ってアライアンスを組める国は限られている。国際社会と日本の西側諸国、自由主義諸国と我々の連帯がどのようなあり方で、しっかりと技術協議をしながら、ある程度適正な価格で取引できる交渉権を得るのは重要だ」

 そもそも軍事研究は何を指し、どのぐらいの予算が使われているのだろうか。防衛省における2022年度の軍事研究開発費の概算要求は過去最大の3257億円だ。F2戦闘機の後継になる次期戦闘機の開発では1000億円余りの予算要求がなされた(予算は858億円に)。

 軍事研究開発費の内訳に部谷氏は「私の主観」と前置きした上で「やはり今までの兵器システムの延長線に多額のお金が使われている。一方で、たとえば今回の予算でドローン開発は約3000万円だけ。兵器も大事だが、将来的なところにはあまり(お金が)使われていないのだと思う」との見方を示す。

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 部谷氏の説明にひろゆき氏は「ドローンってたった3000万円なのか」と驚き。部谷氏は「調査費で確か3000万円だ。もちろん他にもいろいろな研究があるが、そんなに金額がない。次期戦闘機のように1000億円かけるような研究はない。金額はそちら(次期戦闘機の開発)に食われている感じだ」と答えた。

 ここで、ひろゆき氏が「今回のウクライナ侵攻でも戦闘機と0が1個違う価格のドローンがけっこう活躍している。長期的に戦闘機よりもドローンをいかに安く使うかに予算をかけた方が最終的に得をすると、日本以外の軍事研究をやっている人はみんな分かっていると思うが」と投げかけ。部谷氏は「日本はそうではない。私はずっとドローンは大事だと言っていたが『いや、ドローンはおもちゃだ』と防衛省が言ってきた。最近になって変わってきた」と話す。

 ひろゆき氏が「おもちゃが戦争をやっているじゃないか」と苦笑いを浮かべると、部谷氏は「そうだ。スマートフォンもそうだ。ウクライナ市民がスマートフォンで撮った映像を見て、みんなが『ウクライナを応援しよう』となっている。下手すると、極超音速兵器よりもスマートフォンの方が戦況を変えている」と説明した。

 ひろゆき氏は「防衛省がドローンにもお金かけないこともそうだが、何をするべきかが、防衛側の自衛隊の人たちも分かっていないのかな。たとえばイスラエルのアイアンドームは、ミサイルが飛んできても、これのおかげで無事に市民が生きられる。だから『防御のため』と言えば『それは必要だ』となる。でも実態は、アイアンドームはレーダーがついていて、ミサイルを撃つ装置。なぜか今の日本の政治家は、それを『敵基地攻撃能力だ』とか言い出してしまう。『北朝鮮からミサイルが飛んで来ても、自動的にレーダーが打ち落とすドームを作りますよ。これは安全のためです』という言い方で通ると思うのに。自衛隊や政治家はバカなのかな。不思議だ」と苦言。

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 今年の夏は、与野党にとって最大の政治決戦となる参議院選挙が控えている。堀氏は「参院選を控えた今、ウクライナの情勢を踏まえて、安全保障を切り口にしっかりとした議論をするべきだ」と意見を述べる。

「防衛白書など、すごく分かりやすく公開されている資料をちゃんと私たちは読むべきだと思う。今、どういうものに何が使われて、何が最新で、どういう対抗勢力がいて、それにどれくらいの物が必要なのか。それを知らずして語るのは、かえって危うい政治家を生み出すだけだと思う」

 反対意見もある軍事研究。ウクライナ侵攻を受けて、今後どのように変わっていくのか、転換が求められているのかもしれない。(「ABEMA Prime」より)

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