電気の力で塩味を調整…箸型デバイスが食生活改善の切り札に 開発元を取材
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 しょっぱいものがと~っても大好きな日本人。厚労省のデータによると、日本人の1日の塩分摂取量はWHOが推奨する量の約2倍で、“塩分の取りすぎ”が指摘されている。しかし、一度染みついた食生活は中々変えられないもの。こうした中、この課題をテクノロジーの力で解決しようと、飲料メーカーのキリンが“ある食器”を開発した。

【映像】箸型デバイスを使用する様子

 キリンと明治大学の宮下研究室が共同で開発した箸型デバイスは、薄味な減塩食でも美味しく食べることを可能にした。そのカギとなるのが“電気の力”だ。

 そもそも人間が「しょっぱい」と感じるのは、食べ物に含まれるナトリウムイオンが舌に触れることで、特定の細胞が反応するからだ。神経伝達物質が放出され、それを味覚神経が捉えて脳に伝えることで塩味を感じる。そこで、この箸型デバイスは微弱な電気を流し、舌に触れるナトリウムイオンの働きを調整。疑似的に食べ物の味の濃さを変えるという。

「日本人は全体的に食塩を取りすぎているので、食習慣を変えるきっかけになればと考えている」(キリンHDヘルスサイエンス事業部・佐藤愛さん)

電気の力で塩味を調整…箸型デバイスが食生活改善の切り札に 開発元を取材

 さっそく、ニュース番組『ABEMA NEWS』の辻キャスターが箸型デバイスを体験。まずは普通の箸で、塩分がカットされた味噌汁を飲んでみる。

「減塩だと分かる。おばあちゃんの家で出されるくらいの(味の)薄さ。塩分が好きな自分からすると、もうちょっと欲しいなという感じ」(ABEMA NEWS・辻歩キャスター)

 続いて、箸型デバイスに交換。腕時計のようなデバイスを装着し、コードを箸に接続する。

「ん!塩を感じる。明らかに先ほどとは味が違う。この箸を味噌汁に漬けていると塩を感じる」

 なんと、味の薄かった味噌汁が濃く感じられるようになったというのだ。キリンが行った実証実験でも、31人中29人が「塩味が濃くなった」と回答した。

電気の力で塩味を調整…箸型デバイスが食生活改善の切り札に 開発元を取材

 新たな事業の柱として、ヘルスサイエンス部門を立ち上げたキリン。この技術を使った食生活の改善を目標に掲げ、「2023年ごろまでに商品化したい」としている。

「生活習慣病のお客様から『日常の食生活で塩味に慣れていたところから、一気に我慢しなくてはいけなくなって辛い』という声を聞いていた。美味しく食べつつ、健康な内容にしていくことが重要だと考えている。調味料と同じような感覚で、電気の刺激を使ったツールが食卓の中で自然に使われることを想定している」

 電気の力を使って、味覚に劇的な変化をもたらすこの技術。キリンと共同で研究を行った明治大学の宮下教授は「この技術で人類の食生活が変わるかもしれない」と期待を寄せている。

「今まで我々人類は『しょっぱいものを摂りすぎると高血圧になる』『酒を飲みすぎるとヤバイ』といった感じで、常に我慢と隣り合わせだった。しかし、この技術の開発によって、病気の人だけではなく人類全体の食生活が変わると思う。好きな食べ物を思いっきり味わえる未来がやってくる」

電気の力で塩味を調整…箸型デバイスが食生活改善の切り札に 開発元を取材

 ニュース番組『ABEMAヒルズ』コメンテーターの琉球大学工学部教授・玉城絵美氏はこうした試みについて「私も(この箸を)体験させていただいたが、塩味に近いが“バーチャルな塩味”というように、食べ物の塩味を増強させる感じ。人間の感覚を電気刺激で調整するという新しい試みの1つで、味覚に関しては塩味だけではなく、辛味や酸っぱさについても研究が進んでいる。甘みと脂身についてはまだまだ難しい」と解説した。

 箸型デバイスは病気の人に限らず、さまざまな人の食生活を変えるかもしれない。今後、どこまで進化するのだろうか。玉城氏は「研究・開発されて箸の中に組み込むなど、そのくらいの回路の小ささにはなると予想される。みんな同じ完全栄養食などを食べているけど、VRやメタバース空間上では視覚的・味覚的に全然違うものを食べているといったことが実現することも考えられる」と推察する。(『ABEMAヒルズ』より)

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