50日以上ロックダウンが続く中国・上海の当局は17日、「社会面ゼロコロナを達成した」と発表した。社会面ゼロコロナとは、当局が重点的に閉鎖管理している地区以外での新規感染者が3日連続でゼロになることを指す。
一方で、感染拡大への懸念が高まっている北京では、公共施設利用の際、陰性証明の提示が必要になるなどコロナ対策が一段と強化された。上海に続き北京でもロックダウンの可能性はあるのか。ANN中国総局の北里純一記者が伝える。
Q.現在の北京の感染状況は?
この3週間ほど、数百万人から北京市の全人口に2000万人規模のPCR検査を連日行っている。直近の1日あたりの感染者は50人前後、2桁台中盤で横ばい。人口2000万人に対して少ないと感じるかもしれないが、他の都市であればロックダウンになってもおかしくない水準で、規制はどんどん強化されている。
北京には万里の長城や故宮など7つの世界遺産があるが、すべて封鎖になったり入場規制が行われたりしている。また、スーパーやホテルなどに入る際には48時間以内に取得した陰性証明の提示や、飲食店では店内の飲食が禁止され宅配のみになった。広いエリアで在宅勤務も強く要請されていて、街中はがらんとしている。
Q.北京でのロックダウンの可能性はある?
今のところ、北京市全体のロックダウンということは行われていない。そして、全体のロックダウンはなんとしても避けたいという当局側の思いがある。その代わり、感染者が1人でも確認されたエリアでは、厳しい感染対策、封鎖が行われている。
地図アプリを見ると、オレンジ色や黄色で囲われたエリアがある。このエリアでは、家から1歩も出られない、もしくは家の敷地から出られないという封鎖が行われている。現在、北京で見つかっている感染者の大部分は封鎖管理が行われている地区で確認されているので、当局としては、新規感染者がこのエリア内でしか確認されない状況を当面の目標をしている。
私が住んでいるマンションでは、先月末に感染者が1人出てたためマンション全体が封鎖されてしまった。封鎖当日、私は外出中に「封鎖が始まる」との通知を受け取ったので、最後の買い出しをして帰宅した。このタイミングではいったい何日間封鎖されるかは明らかにされていなかった。当初は敷地内であれば外に出られたが、数日後には玄関の前にはフェンスが付けられ、部屋から一歩も出ることができなくなり不安を感じた。建物の前には棚が用意されて、宅配は頼める状況にあったため、食料や生活物資を確保できたというのは上海と違ってありがたかった。
我々は12日で解放された。のちに撤回されたが、当初は感染者と同じ階に住む人たちなどは家で隔離することすら許されず集中隔離施設に移送されるとの指示も出るなど、マンション全体に不安が広がった。
Q.市民生活への影響、市民からの反発は?
隔離措置が行われているエリアの住民は様々な不満、生活の不便さを感じるため、地元の当局関係者などと激しいやりとりもあるようだ。ただ、北京の人々は上海の状況を見ていて、我々が受けている今の対策で上海のようになることを避けれられるのであれば、外出できるし食料などの物資も一応あるという現状で納得しておこう、という市民も少なくない気がする。
一方で、私の周りでも留学経験などがあり海外の情報を入手できる若者からは、「この政策をいつまで続ける必要があるのか」という声をよく聞くようになった。そして、「あなたは今中国にいるけれども、この対策をどう思うか」という問いかけを受ける機会も急に増えてきた。ただ、習近平国家主席が今秋の党大会で3期目を目指すなか、続投が無事確定するまでは習主席が肝いりで進めてきたゼロコロナ政策に傷をつけるような行為や政策の変更はありえないよね、という話の流れになる。