6月19日、RISE世界フェザー級(-57.15kg)王者・那須川天心とK-1 WORLD GPスーパー・フェザー級(-60kg)王者の武尊がメインイベントで激突する『THE MATCH 2022』。東京ドームで開催される注目のイベントについて、きょう、フジテレビが公式HPで「主催者側との契約に至らず、フジテレビで放送しないことが決まりましたので、ここにお知らせいたします」とする発表を行った。那須川や武尊がそれぞれのSNSでこの発表に反応するなど、格闘界に波紋が広がっている。

 この事態を受け、都内で先ほど、大会実行委員でRIZIN運営会社のドリームファクトリーワールドワイドの榊原信行氏、K-1プロデューサーの中村拓己氏、RISE代表の伊藤隆氏ら3人が登壇して記者会見が行われた。

「明るいニュースを届けていければと思っていた矢先の話」と切り出した榊原氏は、一連の経緯について「とても残念。突然のことに頭が真っ白になっている」などと述べた。

 また榊原氏は「放送がないということが、すごく楽しみにされていたファンの皆様。フジテレビさんで言えば視聴者の皆さん。この試合を通じて子供たち。PPVで有料で見ていただくファンの皆さんとは別に、未来の天心、武尊。そしてその他、格闘家たちに憧れて志してくれるであろう未来の子どもたちへのメッセージを届けたいという思いが両選手にあった。その思いがこういう形で叶わなくなってしまったことに、私の交渉不足も含めてお詫びしたい」と続けた。

 一方、契約成立に至らなかった理由については「正直、何が最終的な原因になったのか。明確なものはない」とも述べた榊原氏は、自らに関する疑惑の記事が週刊誌に出たことについても言及。「フジテレビさんにとって非常に由々しき問題」との認識を示し、その前後に行われた周辺のスタッフも含む様々な身辺調査を経て「フジテレビさんは引き続き放送をすることに変更はないと広報されている」との受け止めについて説明した。

 他方で「フジテレビさんの社内の中で当然色々な意見がある。格闘技に対してすごく前向きな意見を持って、コンテンツを取り上げてくれる役員の方もいれば、やっぱり止めようという方もいる。好き嫌いの問題なので何とも言えないが、色々な意見が社内にあったのだろう」とも述べた榊原氏は「徹底的な調査で反社会勢力との交際がないと認めても、かつ社内的なコンセンサスがフジテレビさんの中で取れないのであれば、僕は退任することも、僕がいることでさらにネガティブなネタにされるのであれば、本当に汚点をつけたくないし、汚したくない。私なり、ドリームファクトリーが抜けて、K-1さん、RISEさん両団体に引き続き主催してやっていただく。そうすればTHE MATCHに関して放送しない理由ってないのではないか」とも主張。

 そのうえで、改めて反社とのつながりを明確に否定した榊原氏は「どいた上に、K-1さん、RISEさん含めて格闘技界に信頼が無いのであれば、信頼がおける企業さんに参画していただいて、新しく実行委員会を蘇生する。もともと系列局のさらに子会社みたいなところで、フジテレビさん、地上波に対する特別な思いがある。何とか、フジで放送して欲しかったし、放送するべきだと今でも思っている」と悔しさをにじませた。

 また榊原氏は「昨今、力のあるコンテンツがどんどんネットの世界の中に地上波と配信局とのパワーバランスというか、流れもそうなんだろう。ボクシングもどんどん地上波で見られなくなっている。そういうのも含めて、経済的な条件でフジテレビさんが折り合わなかったわけではない。放映権料で折り合わなかったのではない」と放映権料が障壁になったことは否定すると、これまでのフジテレビとの様々な関係を振り返りつつ「100歩譲って放送を止めると決断されたのは理解する。でも、選手にも関係者にも僕らだってきちんとご案内するための時間を頂きたいとお伝えした。問答無用でそこから15分、20分後にツイッター、ホームページに上がる。あまりにひどすぎないですか、それは。これだけのことを一回一緒にやると言って、CMの枠も売って、放送枠も確保された。社長の定例会見で媒体価値が上がるとまで言ったイベントから撤退するのであれば、もう少し丁寧な作業をしていただきたい」と憤りも露わにした。

 なお、フジテレビの発表を受けて那須川は「お金の為じゃねえんだよ 未来の為にやってんだよ 子供達はどうすんだよ」とツイートし、武尊も「この試合の意味を分かって欲しい。まだ諦めません」などと自らのツイッターで反応を示していた。

【視聴詳細】那須川天心VS武尊「THE MATCH 2022」6.19 ABEMAで完全生中継
【視聴詳細】那須川天心VS武尊「THE MATCH 2022」6.19 ABEMAで完全生中継
『THE MATCH 2022』で“RISE vs K-1”対抗戦が実現