絶対王者は孤高の存在、というイメージがあるが、将棋界のヒーローの素顔は「フレンドリー」――。そう表したのは、藤井聡太棋聖(竜王、王位、叡王、王将、19)の年長の妹弟子・中澤沙耶女流二段(26)。藤井棋聖に永瀬拓矢王座(29)が挑戦するヒューリック杯棋聖戦五番勝負第1局のABEMA中継に出演し、藤井棋聖の優しい兄弟子としての一面を紹介した。
愛知県一宮市出身の中澤女流二段は、2015年4月に女流2級としてプロ入り。デビューをきっかけに杉本昌隆八段(53)門下に入門した。そのため、2012年に弟子入りしていた藤井棋聖は“兄弟子”となる。愛知県内外での将棋の普及活動はもちろん、2018年にはYAMADA女流チャレンジ杯で優勝するなど、プレーヤーとしてもファンが多い人気の女流棋士だ。この日は、大熱戦となった棋聖戦五番勝負第1局の中継に出演。解説を務めた斎藤明日斗五段(23)から「今日は兄弟子の応援ですか?」と問いかけられると、中澤女流二段は「フフフフ」と含み笑いで応じていた。
現在五冠を保持する多忙な藤井棋聖とあり、一門の拠点でもある杉本昌隆将棋研究室でも顔を合わす機会は激減しているという。そんな中でも今年の年始には一堂が会し、「藤井先生がご自分でパソコンを組んだ話になったのですが、途中から弟子たちもみんなついていけなくなってしまった」というエピソードを紹介した。
斎藤五段から「メディアで報道された藤井さんしか知らないのですが、どんな性格の方ですか?」と問われると、中澤女流二段は兄弟子を「フレンドリーな方」と表した。「一門の中で話していても、全員がその話ができるわけではないですよね。でも、その時に声をかけてくださって仲間に入れてくれるのが藤井先生」。さらに、藤井棋聖の周りにはいつも人が集まるが、「藤井先生は将棋が強いから人が集まるのではなく、人柄が良いので人が集まっているんだと思います」と続けた。
これには斎藤五段も「まだ19歳と若いのに、人間が完成されていますね…」と驚いた表情。視聴者からも「聡太先生やさしい」「いい一門だなー」「すばらしいな、強さより人柄って…」とコメントが多数寄せられていた。
兵庫県洲本市で行われた棋聖戦五番勝負第1局は、2度の千日手指し直しの末、永瀬王座が114手で勝利。藤井棋聖が3連覇に向けて巻き返しをはかるか、初の棋聖獲得を狙う永瀬王座が突き放すか。注目の第2局は6月15日に新潟市で行われる。
(ABEMA/将棋チャンネルより)