師匠が弟子に「真似するな」と言うほどの将棋とはどんなものか。将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」の予選Cリーグ第2試合、チーム山崎とチーム広瀬の対戦が6月4日に放送された。チーム山崎のリーダー山崎隆之八段(41)はタイトル経験こそないが棋戦優勝8回を誇る実力者。独特の世界観を持つ将棋で、相手を翻弄するような戦い方が特徴的だ。第2試合の大盤解説を務めた杉本和陽五段(30)は、自由気ままな指し回しについて「僕も修行時代に山崎先生の将棋だけは真似するなと言われたことがある」と明かし、視聴者の笑いを誘うことになった。
【動画】山崎隆之八段の自由な発想に仲間まで「ぐぇ!?」と驚き
山崎八段は、相掛かりを得意とする居飛車党で、早指し力にも定評がある。大盤解説やイベントの際には、優しい人柄がにじみ出るトークと、度々入れ込む自虐ネタ、ネガティブ発言がファンを爆笑へと誘うことも珍しくない。話し上手の棋士は他にもいるが、山崎八段の最大の特徴は、自由奔放・奇想天外の指し回しにある。第2試合の第2局、相手のリーダー広瀬章人八段(35)との対局が始まるや否や、解説の杉本五段は山崎将棋について「もうなんて言うか、よく言えば独創的で素晴らしい。真似できないですね」と見たこともない進行に驚くと、これまでの経験談として修行時代に言われた「真似するな」というワードを紹介した。聞き手の加藤桃子清麗(27)も期待通り(?)のエピソードに「ははははは。真似するな。ははははは」と笑いが止まらなくなった。
山崎八段はこの第2局で快勝を収めると、第6局で今大会絶好調の青嶋未来六段(27)、第7局でも三枚堂達也七段(28)を撃破し、個人としては無傷の3連勝。チームはスコア3-5で敗れたものの、3勝分を1人で稼ぎ出す大活躍で、まさに山崎ワールド全開だった。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)