ヘビー級“最強”候補がボディへの一撃で悶絶。もがき苦しんで土下座のようにフリーズする予想外のKO決着に実況席が口を揃えて「アーッ!」と絶叫した。
6月2日にシンガポールで開催されたONE Championship「ONE 158:TAWANCHAI VS. LARSEN」でラーデ・オパチッチ(セルビア)とグート・イノセンテ(ブラジル)が対戦。試合は1ラウンド、イノセンテのワキ腹へのパンチにオパチッチが崩れ落ちてKO負け。連戦連勝を続けてきた重量級最強巨人のまさかの敗戦に、放送席が揃って絶叫。視聴者からも「あばらが折れた?」など悲痛なコメントが殺到した。
“速い、デカい、攻撃もエグい”と三拍子揃ったキックボクサー、オパチッチはデビュー戦でK-1のエロジマンこと、エロール・ジマーマンをハイキック一発で沈めて大ブレイク。その後も連戦連勝を重ね「ONEのヘビー級で頭一つ抜けた存在」と言われてきた。
対するイノセンテはMMA、キック、ムエタイの三刀流選手でONEキックでの実績は1戦1勝と未知数だ。ABEMAで解説を務めた大沢ケンジはイノセンテについて「ガードが低いので分が悪い」と話せば、ゲスト解説の岡見勇信も「オパチッチは、ガードの固さ、長いリーチからのワンツーとローで完全な戦闘派。正統派でこれだけのパワーがあるヤツしかできない強さがある。正直イノセンテは厳しい」と“オパチッチ優勢”の見立てだ。
この日もオパチッチはガードをきっちり固めローを飛ばしてミドル、一歩踏み込んでの速いストレートと静かに無双への伏線を張る落ち着いた立ち上がりを見せる。ラウンド中盤には下がり気味のイノセンテを追いながらパンチの猛攻を披露すると視聴者からは「効いた」「強い」「手加減しろよ」の声が聞かれ始める。
イノセンテ劣勢の空気の中、戦況を見守る岡見が「打ち合いはイノセンテ選手にとってチャンスですね」とつぶやいた直後だった。イノセンテはボディへのミドルから首相撲でオパチッチの右ワキ腹にパンチを数発。さらにブレイク後に軽く放ったボディを嫌がったオパチッチが下がるシーンもあった。
すると1ラウンド残り40秒。飛び込み気味にパンチを放つオパチッチに対して、イノセンテがカウンター気味に再び右ワキ腹へ拳を叩き込むと、難攻不落の巨人が土下座ポーズのまま悶絶。まさかのゴングが打ちなされると、ゴロリと天を仰いだ。
予想外の結末に実況の西達彦アナは「効いた、効いた、効いた!」と連呼。解説陣も「アーッ!」「えー? マジ」っと一様に驚いた様子で声を上げた。
試合前にはオパチッチ優先と語った岡見は「キックボクサーっぽい体じゃないし勝てないと思ったんだけど…凄いパワー」と予想を裏切る勝利に驚いた様子。大沢は「(最後のパンチの)その前にアバラが折れていたかも」と至近距離での打撃戦で負った負傷が原因ではないかと推測した。