いよいよ目前に迫った6・12さいたまスーパーアリーナで行われる『サイバーファイトフェスティバル2022』。DDTプロレスリング・ノア東京女子プロレス、ガンバレ☆プロレスという、サイバーファイト系列のプロレス団体が一堂に会す今大会。DDTのKO-D無差別級王者・遠藤哲哉は今回、タイトルマッチではなく、ノアとの対抗戦に出場することとなった(遠藤哲哉&秋山準&樋口和貞vs中嶋勝彦&小峠篤司&稲村愛輝)。

 ヒザの負傷で欠場する丸藤正道に代わって出場するノアの中嶋勝彦からは、DDTに対して「学芸会」「プロレスサークル」など侮蔑的な発言が飛ぶ中、遠藤は王者としてこの対抗戦をどう闘おうとしているのか。決戦直前の意気込みを聞いた。

――いよいよ6.12『サイバーファイトフェスティバル2022』が直前に迫ってきましたが、今回、プロレスリング・ノアとの6人タッグマッチでの対抗戦というカードが組まれたとき、DDTのKO-D無差別級王者としてどう感じましたか?

遠藤 『サイバーファイトフェス』は会社でいちばん大きな大会なので、当然タイトルマッチが組まれると思っていたし、僕自身、KO-D無差別級タイトルマッチが組まれれば、さいたまスーパーアリーナをいちばん盛り上げる自信があったので、ちょっと残念ではありましたけど。

 チャンピオンが対抗戦に出るということは、試合内容で他団体と間接的に勝負をするのではなく、看板を背負って直接勝負をするということなので、ある意味でタイトルマッチ以上のプレッシャーを感じていますし、気合いも入っていますね。ただ、もともと相手チームに丸藤(正道)選手が入っていたのが、ケガで出られなくなってしまったのは残念ではありますけど。

――もともとは丸藤選手をターゲットにしていたわけですよね。

遠藤 そうですね。丸藤選手はノアを象徴する選手だと思っていますし、相手3人の中では知名度も実績もずば抜けていますから。ただ、それだけでなく、個人的に丸藤さんから(ピンフォールを)取りたいと思った理由は、2019年にDDTの両国国技館大会でシングルマッチをやらせてもらってるんですよ。その時、僕の中ではまったく歯が立たなかった印象が残っているので。あれから3年くらい経過して、僕自身もいろいろ経験してるんで、今やったらどうなるのか試してみたいという思いがありましたね。

――KO-D王者として成長した自分の見せたかった、と。

遠藤 今、いちばん自信があるときなので、丸藤選手との対戦を楽しみにしていたんですけどね。ただ、考え方を変えれば、ケガをした手負いの丸藤選手に勝ってもしょうがない。向こうが完全な状態の時に勝たないと、胸を張って「丸藤選手に勝った」とは言えないと思うので。いつかまた、完璧な状態でリングに立った時に対戦してみたいですね。

――その丸藤選手に代わって、中嶋勝彦選手が対抗戦に名乗りを上げてきました。6月2日の記者会見は配信か何かでご覧になりましたか?

遠藤 もちろん観ました。あの会見は、小峠選手がかわいそうになってしまいましたね。僕だったら、プロレスラーとして同業者に「かわいそう」って思われたら、ちょっと立ち直れない。

――中嶋選手に「小峠、おまえしょっぱいよ。おまえらがだらしねえから、あんな“プロレスサークル”の奴らにナメられるんだよ!」って言われて、一瞬意識が飛ぶくらい強烈な張り手で倒されましたからね。

遠藤 中嶋選手の張り手は、小峠選手に気合を入れるためだったのかもしれないですけど、ちょっとやり方が古いなって思いましたね。時代に逆行してるなって。逆にあれで小峠選手は萎縮しちゃったと思うんですよ。

――小峠選手も足がもつれながらも中嶋選手の胸ぐらをつかんで「やってやるよ!」とは言ってましたけど、精神的にもダメージある感じでしたからね。

遠藤 あれで話題にはなりましたけど、向こうのチームは完全に中嶋選手の恐怖政治がはじまってますよね。ノアの(6・5)新潟大会の結果も見ましたけど、今度は稲村選手が中嶋選手の張り手で負けてるじゃないですか。そんなんでチームとして機能するのかなって思いますよね。

――中嶋勝彦選手について対戦相手として見るといかがですか?

遠藤 味方にとっても危険なくらいの選手なんで、もちろん警戒はしていますね。中嶋選手とは、僕がデビュー2年目くらいの時にダイヤモンドリング(健介オフィス)の道場マッチで一度だけ試合をしたことがあるんですよ。その時は垂直落下式ブレーンバスターで僕が取られたんですけど、印象としてはとにかく蹴りが強烈だった記憶があるくらい。試合もその一回だけで、会場で顔を合わせることもほとんどなかったので、新鮮な気持ちで当たれますね。

――会見を見る限り、自分とはプロレス観が違うなという感覚はありますか?

遠藤 そうですね。向こうの選手たちはDDTのプロレスを「学芸会」と言いますけど、中嶋選手は「これはプロレスじゃなくてケンカだ」と言ってましたよね。それってどうなのかなって。学芸会なのかケンカなのか、「プロレスはどこに行っちゃったの?」って。

 僕はべつに自分のプロレスを学芸会だとは思ってないし、胸を張って「プロレスです」とお客さんに見せて、お金をもらっている立場なので、サイバーファイトフェスでも最高のプロレスを見せるつもりですけど。だったら中嶋選手は、ケンカを見せてファンの人からお金を取ろうとしてるのかなって、聞きたいですね。

――単なるケンカはお金を取って見せるものではない。対抗戦であろうと、当然見せるべきものはプロレスだろうと。

遠藤 僕は道場でDDTのプロレスしか教わってないですし、ケンカの仕方もわからないですし、学芸会もやったことないですから。向こうはプライドが高いんだろうなとは思いますけど、「どこに向けてプロレスをやってるんだろう?」って思いますね。

 われわれプロレスラーが相手にするのはファンの人なわけじゃないですか。僕らはノアの人たちを認めさせるためにプロレスをやってるわけじゃない。ファンの人たちには「僕たちのプロレスは楽しいです」って、DDTの選手全員が胸を張って言える状況ですから。今、DDTはノアに比べて内部の状況がすごくいいと思うんですよ。道場も会場もムードが明るいし、活気がありますから。

――ポジティブで一致団結している、と。

遠藤 ノアのほうは、記者会見で同じチームの選手を張り倒したりしてますけど、あれを観てファンの人たちはそのチームを応援したくなるのかって思いましたね。僕だったら、一致団結してまとまって「相手を倒そう」となっているほうが見ていて面白いなって思います。

――DDT側は当初、樋口選手が遠藤選手や秋山選手と組むことに拒否反応をしてしていましたけど、「ノアを倒す」という共通の目標を確認したことで、いまは団結しているわけですよね。

遠藤 樋口もなかなかプライドが高くて頭が固いところがあるんですけど、坂口(征夫)さんが後押ししてくれたことで、溝が埋まった感じですね。DDT愛の強い坂口さんのおかげで団結できたと思います。

――今回、樋口選手は稲村選手というターゲットが生まれ、秋山選手は小峠選手からのアピールがあり、そうなると必然的に遠藤選手のターゲットは中嶋選手ということになりそうですか?

遠藤 丸藤選手がいない今、そうなりますね。正直、中嶋選手に対して思い入れはないですけど。必然的に向こうのリーダーが中嶋選手になったというか、チームを乗っ取ったような感じなんで。だったら中嶋選手から取る気持ちで闘いたいですね。DDTに対してさんざん言われたこともありますから。まあ、言ってくる内容はワンパターンですけどね。毎年、フェス前になるとなんか言ってくるという。風物詩かなと(笑)。

――その口を黙らせてやるという気持ちですか?

遠藤 黙らせるというか、闘いを前に相手を下げるような発言しか出てこないのは残念ですね。我々はその前まで、丸藤さんを狙っていたし、「天才の首を獲れば、我々の価値もあがる」ということを言ってきたわけですよ。でも、向こうからは「学芸会」とか「プロレスサークル」みたいな言葉しか出てこない。

 結局、相手を下げることによって、自分たちの首を絞めることにもなってると思うんですよ。これで我々DDTが勝ったら、ノアは「学芸会以下」になるわけですから。しかも、向こうがケンカを仕掛けてきて負けたら、DDTよりケンカが弱いってことになりますから。

――では、中嶋選手は「ケンカだ」と言ってますけど、遠藤選手はどんな闘いを見せたいですか?

遠藤 向こうがケンカを仕掛けてきても、僕はDDTで培ってきたプロレスを胸を張ってさいたまスーパーアリーナのリングで見せたいですね。その上で最終的に勝つことは当然として、「「DDTのほうが面白かった」とお客さんに言ってもらえれば、チャンピオンとしての責務を果たせたのかなと思います。

 そもそもこの大会がなぜ開かれるのか。サイバーファイトグループのプロレスの素晴らしさを多くのプロレスファン、そして世界のプロレスファンに見せるためのものじゃないですか。自分の団体の素晴らしさをアピールする場であり、相手の団体を下げる大会じゃない。僕は何を言われようが、DDTで育った自分のプロレスに自信があるので、それを見せるだけですね。それは他の選手もそうです。DDTの選手として胸を張って、好き勝手に自分の信じたプロレスをやってもらいたいです。

取材・文/堀江ガンツ

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