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 人気ドラマシリーズの劇場版『映画 妖怪シェアハウスー白馬の王子様じゃないん怪―』(6月17日公開)で四谷伊和(お岩さん)をコミカルに好演しているのが、女優の松本まりか。ドラマシリーズから数えて3度目のお岩さん役で「白目変顔など、この作品の世界観に便乗して楽しんでしまおうと思い切り演じています」と振り切った表現を自任している。

【動画】『妖怪シェアハウス』シーズン1&2(全話配信中)

 主演の小柴風花からは「白目になると顎が飛び出ることを指摘されてみんなで大笑い。恥ずかしかったけれど、みんなが楽しんでくれたので、ちょっとオーバーになっていきました(笑)。自分の表現に対して反応を示してくれるのは大きな喜びで、小学校の学芸会で感じた新鮮な楽しさを思い出しました」と手応えを得ている。

“恐怖キャラ”から“愛されキャラ”に

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 歌舞伎狂言の作者・鶴屋南北による『東海道四谷怪談』で知られる岩は、貞子や佐伯伽椰子らJホラーを代表する女性ホラーキャラの先輩格的存在。ところが『妖怪シェアハウス』に登場する四谷伊和は、これまで描かれてきたおどろおどろしいお岩さん像とはかなり異なる。

 「お岩さんには怖い、恨み、執着などのネガティブなイメージがありますが、このドラマではお岩さんのそんな短所を長所に、ネガティブをポジティブに捉えることで、恐怖の象徴だったお岩さんの強烈な固定イメージがガラッと変化しました。見かたを変えるだけで“恐怖キャラ”から“愛されキャラ”に。この視点の変化は日ごろの対人関係にも生かすことができそう」と松本はいう。

松本まりか、休養を経て価値観に大きな変化「生活を一番に、自分自身を大事にすること」
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 長髪のかつら、着物、そして右目がただれたような特殊メイクもあることから、4時間もの準備を経て四谷伊和への変身が完了する。「右目はほとんど見えていないので、距離感がなかなか掴めず、ものにぶつかったりしてドッテンドッテンしましたが、それはそれでお岩さんというキャラクターの味の一つになったと思います」と魅惑的キャラクターの誕生秘話を教えてくれた。

初めて幸せをジワッと実感

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 久しぶりの“春休み”を経て仕事復帰した松本。その表情はまるでお風呂上がりのようにさっぱりしている。2018年放送の連続ドラマ『ホリデイラブ』出演を機に大ブレイク。そこから約4年間、無我夢中で走ってきた松本は、今年2022年2月下旬に突如休養を発表した。向かった先はスリランカ。多忙から解放された異国の地で見つけた幸せは、「ただ生活する」というシンプルなものの中にあったという。

 『映画 妖怪シェアハウスー白馬の王子様じゃないん怪―』撮影終了後、松本はスリランカで春休みを満喫。「心と体をデトックスしてくれる場所があるらしい」という噂を耳にしてから、いつか訪れたいと思っていた国。日本の雑踏から離れて、約2週間のアーユルヴェーダ体験を行った。

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 「朝起きてヨガをしてご飯を食べて、ドクターと会話してお昼を食べてちょっとだけ仕事をする。そして夜になってご飯を食べる。ただ生活をするということだけをやりました。お散歩をしたり、すれ違った人とコミュニケーションを取ったり、空が青いだけで『これを幸せというのか…』という実感がジワッと体中に染み入るのを初めて感じました。見える世界が一気に変わったというか、価値観がガラッと変わったおかげで、自分にとっての大切なものがわかりました」とスローライフでの体験を振り返る。

 15歳で女優デビューするも、下積みの時期は長かった。それが30代半ばにして映画やテレビドラマに引っ張りだこに。あまりにも目まぐるしく、嬉しい悲鳴はいつしか本物の悲鳴に変わってしまった。

 「ありがたいことにこの数年間でたくさんのお仕事をいただき、自分がやりたいと思っていた以上のことが起きて環境も状況もガラリと変化しました。でも自分の心はその変化に追いつかず、『これは幸せな状況なんだからやり切るのは当然だ』と言い聞かせてやってきたんだと思います」と打ち明ける。

価値観を180度転換することができた理由は

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 約1か月の休養を通して英気を養った松本が今年挑戦したいこと。それは「できないことはできないという」こと。ここ数年は仕事一筋でプライベートも無駄な時間だと捉えて極力削ってきたというが「今は生活を一番に考えて、自分自身を大事にする。自分を見失って表現が乏しくなるよりも、インプット時間を豊かにして仕事と向き合う方が誰にとってもプラスになるはず。仕事のスピードはこれまでに比べたら遅くなるかもしれませんが、その方が結果としてハッピーになる人が増えると思います」と“頑張る”を頑張らないのが目標だ。

 もちろん、自らのキャリアを高く押し上げてくれたこれまでの4年間には感謝しかない。「これからは今まで以上に出会っていく人たちと心を通わせていけることが喜び。しばらくはその喜びを感じながら生きていける気がします」と丁寧なコミュニケーションを優先していく構え。4年前のグラグラしていた不確かな自分はもういない。

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 『映画 妖怪シェアハウスー白馬の王子様じゃないん怪―』は6月17日より全国公開。なお、ドラマ『妖怪シェアハウス』(シーズン1)、『妖怪シェアハウス-帰ってきたん怪-』(シーズン2)はABEMAにて全話配信中。

取材、文:石井隼人 写真:Mayuko Yamaguchi

『映画 妖怪シェアハウスー白馬の王子様じゃないん怪―』

松本まりか、休養を経て価値観に大きな変化「生活を一番に、自分自身を大事にすること」
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【ストーリー】

澪は相変わらず妖怪たちと楽しく暮らしながら、作家になる夢を追いかけている。世間ではAI恋人アプリが大流行し、誰もがスマホを見てニヤニヤしていたが、出版社での仕事に追われている澪は恋愛とはご無沙汰だった。そんなある日、上司に無茶振りされた取材でイギリス育ちの天才数学者・AITOに出会い、恋に落ちる。理想の王子様との幸せな日々もつかの間、澪はその恋がシェアハウスだけでなく巷の妖怪たちを危険に晒していることを知る。その頃、人間社会にもある“現象”が起き、人間の未来は大きく変わろうとしていた。人間と妖怪の歴史の分岐点の鍵となる、澪の決断やいかに!?

出演:小芝風花 松本まりか 毎熊克哉 豊田裕大 池谷のぶえ 
佐津川愛美 長井短 井頭愛海 尾碕真花 小久保寿人 片桐仁 安井順平 
望月歩 池田成志 大倉孝二

監督:豊島圭介 脚本:西荻弓絵 音楽:井筒昭雄 主題歌:ayaho「アミ feat. 和ぬか」
制作プロダクション:角川大映スタジオ
配給:東映


 
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妖怪シェアハウス - ―帰ってきたん怪―
妖怪シェアハウス - ―帰ってきたん怪―
奪い愛、夏
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