性別関係なく着られる「ジェンダーレス水着」が話題になっている。これまでスクール水着と言えば、男性は競泳型やトランクス型、女性はワンピース型などが主流だった。ジェンダーレス水着は、身体の露出を減らし、成長による違いが表れる胸やお尻などの部分はゆったりとしたシルエットになるようデザインされている。すでに今年3校で導入され、今も10校以上が導入を検討中だという。一般販売は、来年を予定している。
【映像】「ワンピース型」「オールインワン型」「トランクス型」など学校水着の種類(画像あり)
ニュース番組「ABEMA Prime」では、水泳の授業を男女一緒に受けることの意味について考えた。
話題のジェンダーレス水着に、ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は「女性は好きな水着をプライベートで着ている。プライベートであんな水着(ジェンダーレス水着)を着ている人を僕は見たことがない」とコメント。その上で「水着というか、水泳をやめたらどうか?」と投げかけ、「特殊な学校でしか着ない、謎のものを作るみたいなものが、ブルマと一緒でなんか微妙だなと思う」と見解を示した。
教師や水泳指導者らの有志で作る「学校水泳研究会」代表で、鳴門教育大学教授の松井敦典氏は「この水着が出る前に、ラッシュガードを着て水泳の授業に出ることがずいぶん認められてきた」と説明する。
「紫外線対策の副次的な効果として、LGBTQの人が水泳の授業に参加しやすくなった。男であっても、なんとなく『胸を出すのが嫌だな』と思っている子が、水泳の授業に参加できるようになった。(ジェンダーレス水着は)ラッシュガードをわざわざ普通の水着の上に着るよりも、1枚で済むという面では便利かなという気はする」
松井氏は「私は大学で水泳を教えているが『男女別にやらないのか?』といった声はたまにある」として「ただ、ラッシュガードによって『これだったら大丈夫』と受け入れられるようになることもある。女性だけではなく、男性でもそうだ」と話す。
ここで、ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「何のための水泳の授業か。これをもう1回問い直してもいいと思う」と意見。
「結局(泳ぎが)速い方がいいは競争なわけだ。そもそも体育の授業に競争があるから、体育が嫌になる人がいる。体育が嫌いだったが、大人になって1人でジムに行ってランニングしたり、マシンをやったりして運動が好きになる人はいる。別に競争しなくていいのではないか」
その上で、佐々木氏は「日本は海も川も多いし、水害も多い」として「水に慣れることは、教育上すごく必要だと思う。それこそ3.11の震災のときに『浮いて待て!』というスローガンがあった。そういう意味で、水に慣れる教育を考えたら、その服(ジェンダーレス水着)でも全然問題ないのではないか。ただそうは言っても『あんなのは着たくない』という人もたくさんいるだろう。別にそんなに標準的な水着を決めなくても好きなものを着る。ただし、ジェンダーレス水着でもみんなが笑わない、そういう教育をした方が健全なのではないか」と述べた。
学校によっては、水泳だけでなく、体育の授業ごと男女別に分かれているケースもある。しかし、松井氏は「文科省が男女共修を推進している。男女共修にする方針で指導要領にも書かれている」という。
「実態としては、共修でやるところもあるし、別々にやるところもある。それぞれにメリットとデメリットがあるので、どれがいいというのは一概には言えない。地域の実態と学校で教員、生徒の判断に応じて、そのこと自体も自由にしている」
松井氏は、男女一緒にプールの授業を受ける意味があると話す。
「あまり抵抗を持っていると、なかなか物事が進まない。共同作業ができないと、将来、社会に出ていく上で、社会的にオープンな心を持って一緒にやっていこうと。そういった心の成長をもしかしたら別修にすることによって、妨げられてしまうのではないかという懸念がある」
松井氏の主張にひろゆき氏は「それはプールや水着でやらなくてもよくないか。工作の授業でも普通に手伝いをすればいいではないか。社会で赤の他人の異性に触れ合うこと自体が発生しないので、その練習はいらないのではないか」と指摘。
松井氏が「当然、いろいろな活動で異性と一緒にやるというのが必要だ。ルールでやってはいけないことはないと思う」と答えると、ひろゆき氏は「さっきの話でいうと、文科省が男女一緒にした方がいいと言っていたのが分からなかった。サッカーやバスケは、性別が分かれていないとつまらなくないか」と投げかけ。
これに松井氏は「競技としては、性やレベルを分けたりしないと危険であったり、あるいはプレーしていて面白くないので、カテゴリー分けをすることがある」と同意。
「ただ、学校の教育活動として行う上では、競技性は求めていない。別に学校の授業でタイムを計る必要はない。それよりも、プールの中で水の中での運動の行い方を学ぶことが目的なので、そういう観点から言ったら、男女一緒にやるのも別に不都合はない。ただ、抵抗感はあることも理解できる。そこらへんを完全に分けてしまうと、心がそのままで、大人になっても男女一緒にいるのが嫌だとなってしまう」
ここで、ひろゆき氏は「男女は準備の時間が全然違うではないか。男子の場合は、バーッと脱いで、バーッと着る。上がった時もタオルで拭いて終わりで、髪が短いから次の授業にすぐに行ける。女子の場合は20分前に終わらせてやらないとダメではないか」と質問。Business Insider Japan記者の西山里緒氏が「人によるが、一般的にはそうだ」と答えた。その上で、西山氏は「準備の話はともかくとして、男女一緒だから距離感が縮まるというのはちょっと違和感がある」と語った。
水難事故(死者・行方不明者)推移をみると、年々減っていることがわかる。松井氏は「水泳の授業は取り扱いが難しい面がある」とした上で「おっしゃる通り水泳の授業というのはパフォーマンスを求めているのではなくて、水の中での安全な運動の行い方、溺れて死なない能力を身につけることが目的。その目的が達成できるように、さまざまな障害があるが、学校の先生あるいは地域の保護者を含めて、子どもが学ぶ環境をしっかり作っていきたい」と述べた。(「ABEMA Prime」より)
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