セクハラや痴漢の疑いを恐れ女性への使用の躊躇も…AEDに命を救われた男性「しっかりとした手順を踏むことが必要」
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 日本AED財団によれば、倒れる瞬間が目撃された心停止のうち、AED(自動体外式除細動器)が使われたのはわずか4.2%に留まっているという。その理由の一つに挙げられているのが、男性による女性への利用の躊躇だ。

【映像】理解している?AEDの使用法を解説(7分5秒〜)

 日本AED財団によれば、倒れる瞬間が目撃された心停止のうち、AED(自動体外式除細動器)が使われたのはわずか4.2%に留まっているという。その理由の一つに挙げられているのが、男性による女性への利用の躊躇だ。

 AEDを扱う旭化成ゾールメディカル株式会社の調査では「服を脱がせることに抵抗がある」または「できない」「したくない」と答えた人が半数以上となっており、女性を助けようとAEDを取りに行った経験のある男性の「駅名でエゴサしたら、当人が“危うくAEDやられそうになった”って言ってて、気分悪かった。私は二度と同じ状況でAEDを取りに行ったりはしないだろう」というツイートも話題となっている。

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 4年前、マラソン中に心停止しAEDによって蘇生した経験から救命指導の専門家に転身したAEDアドライフ代表の小山立人氏は「ハーフマラソンの大会だったこともあり、AEDが用意されていた。周りの方に素早く助けていただいたので、3日後には意識が戻った。お医者さんに言わせると“奇跡的に生き返った”。あと数分遅れていたら、私は今ここにいないかもしれない」と話す。

 「男性の中にも胸をはだけるのは嫌だという人もいると思うし、男性だから、女性だから、ということで区別するのではなく、誰もが必要に応じてAEDを使うことができるという意識を持ってもらうのが大事だと思う。私自身はセクハラだと思ったことは一切ないし、感謝の気持ちしかないので、そこは伝えていきたいと思っている」

 また、使用を躊躇する男性の意見もあることを踏まえ、次のように語った。

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 「私は“倒れた人を見つけた。じゃあAEDだ”となることはむしろ危険だと考えている。実際、倒れた人の胸をすぐにはだけようとするから実際、倒れた人の胸をすぐはだけようとするからセクハラだと疑われるわけだ。まずは反応や呼吸の確認をし、胸骨圧迫という、胸を約5cm強く押すという動作をすることになるが、これは肋骨が折れることもあるし、睡眠中の人であればすぐに起きて腕を払いのけるくらい痛みを伴うものだ。それでもぐったりしたままの人にこそ、AEDを取り出してパットを貼る。その段階で痴漢だとかセクハラだとか言う人がいれば、その人がおかしいということになる。つまり、しっかりとした手順を踏むことが必要だ。

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 その際、ネックレスやブラジャーなどの金属製のものが挟まると火傷を起こすことがあるので、パッドは素肌に直接貼っていただく必要がある。ただ、基本的に貼れさえすれば着衣を全て脱がせる必要はない。そしてAEDが心電図を解析し、ショックが必要であればボタンを押すよう指示が出るし、必要なければ"不要"の音声が流れるので、胸骨圧迫(心臓マッサージ)に戻っていただく形になる。ただ、AEDを必要としている場合、すぐに使えば助かる確率が非常に高くなるし、心停止から約10分が経過しても、53.2%の方が救えるというデータもある」。

■「ベースを理解してもらえれば、男性も堂々と人助けができる」

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 テレビ朝日田中萌アナウンサーは「私がもし心停止してしまったとしたら、何のためらいもなく助けて欲しい」、タレントのryuchellも「“男性に触られるのは嫌だ”と話した女性も生きているからこそ、ツイートできるわけだし、“女性だから躊躇してしまった”と説明されたら、ご遺族は“はあ?”となるだろう」と話す。

 一方、元経産官僚の宇佐美典也氏は「言いづらいことだが…」としつつ、次のように胸の内を語った。

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 「てんかんの発作を起こした女性の介抱をした経験があるが、周囲が私を見た時に、“これで大丈夫か?”という抵抗感があった。また、比較すべきではないかもしれないが、駅で歩いているときに前にいた女性が急に立ち止まったので、僕の手がお尻に当たってしまったことがある。女性は叫び、痴漢に遭ったかのような扱いをされた。周りにいた人たちが“違いますよ”と言ってくれたからその場は収まったが、そうでなければアウトだったと思う。

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 やはり男性の立場から言わせてもらうと、女性に触る時点で何かが起きる可能性があると感じてしまうし、自分の人生の方が大事だと思ってしまうものだと思う。周りに自分しかいなければAEDを使おうかと考えるだろうが、その場に女性がいれば、まずは女性にやってほしいと思って様子を見てしまうと思う。本人が何も思わなかったとしても、周囲はそうとは限らない。女性がいるのに男性が駆け寄っていくと、“変なことをしている”と思う人もいるだろう」。

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 テレビ朝日の平石直之アナウンサーも「本当に言いにくいことだが、人の命を救うための行動である一方、セクハラや痴漢の疑いを持たれた時点で、逆に社会的な命を絶たれてしまうリスクがあることも理解して欲しいと思う」とコメント。その上で、「突然死は年8万人、7分に1人のペースという、ごく身近に起きていることで、そこにAEDはものすごく効果があること、そして時間との勝負だというベースを理解してもらえていれば、こんな議論をしなくてもいいし、男性も堂々と人助けができると思う」と指摘した。

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 ジャーナリストの堀潤氏は「AEDが素晴らしいのは心電図などのデータを記録してくれていること。だからお医者さんが後で検証することができるし、トラブルになりそうだという時にも、“あなたが息を吹き返すまでの記録なんだ”と提示することもできる。必ずしもブラジャーを外す必要はない、という話も含め、具体的な知識が共有されることで不安を打ち消すこともできる。また、街中にはメンテナンスが行われていないAEDもあるし、パッドが自費だというケースもあるので、そこは公費でしっかりと手厚くしていく必要もある」と訴えていた。(『ABEMA Prime』より)

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