郷田真隆九段強し!全局立候補で気鋭の若手を退ける 個人3連勝に「100点です」/将棋・ABEMAトーナメント
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  プロ将棋界唯一の団体戦「第5回ABEMAトーナメント」予選Dリーグ第1試合、チーム康光とチーム天彦の対戦が6月18日に放送された。チーム康光のメンバーとして出場した郷田真隆九段(51)が個人で3戦全勝。相手チームの若手に勝ち切り「早指し棋戦は若手有利」という定跡を自らの手で打ち破って見せた。

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 郷田九段は1990年4月に四段昇段。獲得タイトルは王将2連覇をはじめ通算6期、将棋日本シリーズ3連覇など一般棋戦優勝歴は7回。プロをも見惚れさせる本格派の居飛車党で、羽生世代の一角を担う一流棋士だ。ABEMAトーナメントは2年連続2度目の出場。今期は佐藤康光九段(52)の指名を受け、先崎学九段(51)と修行時代からともに切磋琢磨した40年来の棋士仲間3人でチームを結成した。

 「良い手は指が覚えている」――。郷田語録の中でもファンに最も知られた美言だ。瞬時に取捨選択が求められる早指し戦においてはひらめきやスピードはもちろんのこと、それを上回る研究量と経験値の重要性を身をもって示した。先発として第1局に登板。「伸び盛りの若手」と評する梶浦宏孝七段(26)との一局は相掛かりとなった。序盤から△8五飛と工夫の一手を見せるもペースは先手の梶浦七段ペースに。しかし終盤まで先手を楽にさせず、持ち駒を温存しながらプレッシャーをかける指し回しで116手で逆転勝ち。郷田九段の詰みの力が光った一局となった。
 
 続く第2局にも「行きます!」と郷田九段はアクセル全開。若手有望の一角を担う佐々木大地七段(27)との激突は矢倉となった。序盤から中盤の入り口までトップスピードで指し進め、解説の長岡裕也六段(36)を「このあたりをスラスラと指せるのは、普段からの研究範囲でないとなかなか難しい」とうならせた。白熱の終盤戦では、自玉を盾に戦う勝負術を展開。圧巻の指し回しで123手で勝利を掴んだ。チームに大きな成果をもたらした郷田九段は、「強い若手に2つ勝てたので100点じゃないですかね」と満足気にうなずいた。

 3度目の登場ももちろん立候補。第5局は再び梶浦七段と相対し、再び相掛かりとなった。控室の佐藤康九段が「4五桂、6五桂は気持ち良すぎるよね」と話した通り、中盤に優位を築くと一気に押し切って鮮やかに勝利。立候補した全局で勝利を勝ち取る有言実行力にファンからは感嘆の声が上がり、仲間からも「あやかりたい」と言わしめるほどの存在感を示した。

 また、郷田九段の勝利のたびにある棋士の名が同時にコメント欄に多数寄せられていた。その名は菅井竜也八段(30)。郷田九段同様、チーム豊島のメンバーとして予選突破をけん引したベテランの深浦康市九段(50)の両名が前回大会でチーム菅井のメンバーとして出場しており、「菅井リーダーの先見の明がすごい」と話題になった。前回大会ではベスト4に進出。「また3人でのチームが見たいなー」「フィッシャー大覚醒は菅井八段の功績では…?」「菅井先生のスピリットを継承されたんですね」と他チームのリーダーを務めた菅井八段の名前がコメント欄に多数寄せられる現象も起きた。

 チームは4-5とフルセットの大接戦の末に惜しくも敗れる結果となったが、郷田九段を擁するチーム康光の次戦、チーム稲葉との予選第3試合には大きな注目が集まることは必至だ。

 ◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
ABEMA/将棋チャンネルより)

【動画】激戦を振り返る郷田真隆九段
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【動画】先崎学九段と郷田真隆九段の心温まる談笑