一進一退の削り合いが続いた激戦の試合終了1分前、解説の魔裟斗が「ハイがくる」と指摘した次の瞬間に相手をなぎ倒す衝撃の「左ハイ」で劇的KO決着。よもやの展開に実況も「まるで魔裟斗のような左ハイ」と興奮気味に叫んだ。
6月25日、国立代々木競技場の第二体育館で開催された初の女子大会「K-1 WORLD GP 2022 JAPAN ~RING OF VENUS~」で、KANA(K-1ジム三軒茶屋シルバーウルフ)がスーリ・マンフレディ(フランス)を3ラウンド終了間際に左ハイで衝撃KO。メインイベンターの重責を果たした豪快なKO劇に「別格」「見事」と絶賛コメントが並んだ。
K-1 WORLD GP女子フライ級のタイトル防衛戦。Krush /K-1を牽引してきたKANAにとって待望となる初の女子K-1大会。結果のみならず内容も問われるメインに抜擢されたKANAの相手はMMA、立ち技と幅広く参戦経験があり33勝のうち20KOのレコードを持つマンフレディだ。
1ラウンド、試合開始とともに両者ローやミドルの激しい蹴りの攻防。するとラウンド中盤、KANAが放った強烈な右のオーバーフックがマンフレディの顎を捉え、早々とダウンを奪う。目の覚めるような一撃に試合を中継したABEMAの視聴者からは「女子選手のパンチじゃない」「女版の武尊」「レベルが違うブーメランフック」と驚きの声が上がる。
その後も、連打をまとめ右のストレートを打ち抜きスタンディングダウンを奪ったKANAだが、マンフレディも猛攻を凌いでカウンターで反撃。KANAが倒れ込むシーンも見られた。楽勝ムードが一転、高いKO率を誇るマンフレディの攻撃に緊張感が走る。
しかし、1ラウンド後半の危ない場面を乗り切ったKANAは、2ラウンドに入るとダメージを感じさせない復調ぶりを発揮。右ハイでニアダウンに持ち込むと、ワンツーでフックを叩き込み相手を後退させ、その後もミドルで相手をグラつかせる。やや追い込まれた形のマンフレディだが、劣勢の局面を一発で打開するパワーがあり、侮れない。2ラウンド後半には、KANAの右ハイが直撃するも顔色を変えずに前進するなど、タフな一面も見せた。
最終3ラウンド、マンフレディが積極的な仕掛けで足を使いながら牽制していく。打ち合いに応じ、やや危ない場面も見られたKANAだが、前へとプレッシャーを強めて真っ向勝負を挑むなど、気持ちの強さが感じられる。マンフレディもこれまで蓄積してきたカーフキックのダメージが影響したか、ピタリと動きが止まった。
残り1分、足を止めての壮絶な打ち合い。ボディに連打を叩き込んで最後の追い込みをかけるKANA。すると、ここでゲスト解説の魔裟斗が「KANAこっからハイキック…」と口にした次の瞬間、目の覚めるような左ハイがマンフレディを襲う。“バキッ”とアゴをとらえ、なぎ倒した衝撃KOに魔裟斗は「ほら、来た!」と漏らした。
試合終了間際の一撃に魔裟斗は「ずっと下を出していたからハイが来るんじゃないかと思ったんですよね」と解説。すると実況も「まるで魔裟斗が乗り移ったような左のハイキック、そのとおりでした!」と予言的中に大盛り上がりだった。