安倍元総理に対する殺人未遂事件で逮捕された山上徹也容疑者(41歳)が、特定の宗教団体について「家を破産させられた」「もともとトップを殺そうとした」という趣旨の供述をしていることがわかった。また、安倍元総理の態度に不満を持っていたという供述をしているという。
山上容疑者が凶行に及んだ理由をどのように考えるか。ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した、武蔵野美術大学教授で憲法学者の志田陽子氏は「どのような事情があったにしても、どこからどう考えても許容できない」とコメント。
「法的にももちろん許容できないので、もちろん法律が適用されることになる。どのような事情があったにしても、社会もその行動自体は許容できないものだと思う。ただ社会の側が、なぜこれが起きたんだろうという考えはもっともっと広げて深めるべき。どっちもどっち論に行くのではなく、『言論で戦おう』といった空気が社会に蔓延していたか。法的責任とは別に、社会問題を私たちが考えなければいけない」
2021年10月には、これも衆院選の投開票日に、京王線の車内で男が刃物を振り回すなどして乗客17人が重軽傷を負った。また、2021年8月には小田急線の車内で男が刃物を振り回し乗客10人が重軽傷を負った。
多くの人に危害を加える、無差別な犯行。ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「結局、言論で言うべきであって暴力はよくないよねと、当たり前でどうでもいいことを言ってもしょうがないと思う」と話す。
「与党の人が『野党の言うことは一切聞きません』と演説で言ってしまうのが現実の政治だ。そうすると『じゃあ少数派の人って何を言ったって聞かれないじゃん』と。それを政治家が言っても、悪いことを言ったふうになっていない。だから『少数派や弱者はどれだけ声をあげても聞かないよ』と政権中枢の人が言っているわけで『言論じゃ変えられないよね』と考えてくる人が一部出てくるのは当然だ。だからそこで『暴力だからよくないよね』とか『言論でなんとかすべき』ときれいごとで言いたければ言えばいいと思う。でも、それで社会は元には戻らないんじゃないかな」
その上で、ひろゆき氏は「結局、弱者の人たち、世間的な弱者ってすごく分かりやすい。日本の場合は公園にホームレスがいたら、ホームレスを排除するために警察が来て排除するのが当たり前だと思っている。それは何もおかしなことが起きていないようにみんな見ているが、ホームレスを排除しても別の場所に行くだけで、ホームレスは変わらない。それが全然問題ないよねと思っている人って、単に自分の目の前からいなくなって、どっかで野垂れ死にすればいいよねと思っているわけじゃないか。それがおそらく、日本人の多数派だ」とコメント。続けて「そうなってしまうと社会に対して希望が持てない。日本では生きるのがつらくなって、年間に自殺する人が2万人ぐらいいる。その2万人の中から社会に対して『一発やり返してから死のう』『死刑とか刑罰って怖くないよね』という人が出てきちゃう。それが最近起きているテロ的な事件なのかなと思う」と持論を語った。
お笑い芸人のカンニング竹山は「その通りだと思う」と、ひろゆき氏に同意。「そうだと思うが、今回の容疑者も含めて、こういう人たちがなぜこうなったか。それを我々も知りたい。なぜ、どういう環境でこうなったのか、どういう考えでこうなったのか。ただ、表現の自由で、それをどこまで世間に発表していいのか。それがいつもすごく引っかかっているところだ」と述べた。
ひろゆき氏は「だいたいそういう(テロ的な)思想に染まる人ってまず友達が少ない」とした上で「話し相手が少なくて孤独な人が、自分の妄想をこり固めていって『きっとこういうことなんだ』と決めつけて、それをなんとか変えなきゃというので、相模原の事件を起こした人なども自分の妄想が真実だと思い込んじゃった。京都アニメーションを襲った人も自分の妄想が真実だと思い込んで行動に移しちゃった。誰か相談相手とか社会との接点があると『こう考えるんだけど』と話したときに『いや、それは違うよ』という人がいたはずだ。秋葉原で刺殺事件を起こした人も、相談相手が最初はいたが、友達がだんだんと減っていったといっている。社会の人とのつながりをなるべく、赤の他人でもつながりを持つようにする、金を配って食えない状態をなくすことが、事件を減らす上では早いんじゃないかなと思う」と話した。(「ABEMA Prime」より)
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