猛暑の夏。薄着になり、肌の露出が多くなることで“ムダ毛”が気になってくる人も多いのではないか。近年では美容脱毛の施設が急増し、性別・年代を問わず浸透してきている体毛の処理。こうした中、「ボディーヘア・ポジティブ」という言葉が注目されている。
【映像】脇毛を生やしたままポーズを決めるHIBARIさん(撮影カット)
「ボディーへア・ポジティブ」とは、ライフスタイルやファッションなどと同じように、自分自身の体毛の処理を自由に選択するという考えのこと。個人の価値観や多様性が重視される現代社会において、「ボディー・ポジティブ」に続く新たなキーワードになっている。
ニュース番組『ABEMAヒルズ』では、そんな「ボディーへア・ポジティブ」を体現するモデルのHIBARIさんを取材した。“リアルサイズモデル”として活動しているHIBARIさんは脇毛を剃っていないことを公表していて、仕事や気分に合わせて剃ったり伸ばしたりしている。
「おいらの中では、自分が一番楽な毛のスタイルでいられたらいいかなというのがボディーヘア・ポジティブ。『剃った方がいい』『剃らなくてもいい』という気持ちがないくらい、自分が好きな毛で過ごしたらいいと思っている」(モデル・HIBARIさん)
しかし、モデルという仕事柄、難しさを感じることもあると語る。
「脇毛に関しては、例えば下着の撮影だと『剃っていった方がいいのかな』と思う。現場に行って迷惑をかけたくないと思って、勝手に剃って行くときもあるし、逆に現場で『剃ろうか』というときもある。『剃った方が良い』と言われて剃るのは全然いいが、“ここまでは剃ってほしくて、ここまでは伸びてて良いよ”という基準が分からないので難しい」
またHIBARIさんは、女性の知り合いから“あるエピソード”を聞き、衝撃を受けたそうだ。
「(女性の知り合いが、)恋人に『デリケートゾーンの毛を永久脱毛して』と言われた。でも、めっちゃお金がかかるし、痛いらしい。だから、『なぜ、恋人が恋人の体のことを勝手に決めるのだろう』と思った。つるつる(な状態であることが)が当たり前だと思ったのかな」
「毛がない方がキレイ」という価値観の押しつけ。HIBARIさんは“あくまで価値観は人それぞれ”としながらも、「周りの誰かがわざわざしんどい思いをしてまでチョイスする必要はない」と訴える。
回答した男女の約9割が『体毛を自分自身で自由に決めたい』という調査結果もあるなど、男女問わず、多くの人が抱えるボディーヘアの悩み。伸ばすか剃るかは自分次第――HIBARIさんは「自分が好きな自分でいることが大事だ」と話す。
「メディアが『腕毛がないほうがキレイだ』というふうに見せてきたから、そういった概念があるのは理解できる。でも、生えるものは生える。もちろん汚いとも思わないし、両方(の考えが)理解できる。もっと毛を(剃るかどうかを)自分で選択できたら、みんなが楽になるかもしれない。ありのままだけど、自分が好きな自分でいる。自分が楽な自分でいるという意味で、ありのままでいられたらいいなと思う」
このニュースを受けて、番組コメンテーターで振付師の竹中夏海氏は「本当にHIBARIさんの言う通りだなと思う。“剃るも剃らないも自由”というところが抜け落ちていて、意見が偏りすぎていることに違和感を覚えた」と共感した。
「私の周りでは、異性や同性より『恋愛対象の相手の目が気になる』という話をよく聞く。『デートの前だから毛の処理をしなきゃ』みたいな話もよく聞くし、なんとなくみんなの中で『女性は肌がスベスベな方がいい』という認識があるのかなと思う」
職業柄、アイドルとの関わりがある竹中氏。体毛について相談を受けることもあるという。
「特に女性アイドルは毛の悩みが多くて、特にこの季節は脇が出るような衣装もある。カメラが入ったときに剃り残しがあったり、剃り残しでなくてもちょっと影になってそう見えたりするだけでも、その部分だけを切り取られて罪を犯したみたいに祭り上げられてしまうことも過去にはよくあった。本当に根深いと思う」
これを受けて、元SKE48でフリーアナウンサーの柴田阿弥は「私も現役のときに、本当に酷いなと思っていた」と同調しつつ、次のように語った。
「セクシャルな目線で書かれることは絶対に許されないことだと思う。アイドルはそれが全てではないけれど、容姿が必須の職業になるので、ある程度髪を整えなければならない。例えば男性アナウンサーやアイドルでも、鼻毛が出ていたらそこに注目されてしまうと思う。気をつけていてもある程度は仕方がないのかな」
最近では「メンズ脱毛」が増えているが、「毛がない方がいい」という価値観はこの先も強くなっていくのだろうか。竹中氏は意見の偏りを踏まえ、こう訴える。
「メンズエステなども、“本当は毛の処理をしたいのに、男性だから毛の処理がしづらい”という人たちが脱毛できるようになるのは素晴らしいこと。ただ、『男性もした方がいいよ』ではなくて、『男性もしてもいいし、しなくてもしてもいい。女性もしてもいいし、しなくてもいい』というふうに、同じ数だけメッセージがあるといい」
(『ABEMAヒルズ』より)
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