黒田尭之五段、溢れる下克上魂 同学年棋士を撃破の絶妙手 渡辺明名人も感心「恐るべし粘り」/将棋・ABEMAトーナメント
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 この場所で勝って名を上げる。それこそが下克上だ。将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」の予選Eリーグ第2試合、チーム渡辺とエントリーチームの対戦が7月16日に放送された。エントリーチームの黒田尭之五段(25)は、チーム渡辺のメンバー全員と1局ずつ指し、渡辺明名人(棋王、38)にこそ敗れたものの、近藤誠也七段(25)と渡辺和史五段(27)に勝ち、2勝1敗と活躍した。同世代の棋士にプロ入りで先を越される中「ずっとこの舞台に立ちたいと思っていました。ここで満足しているようなダメ」と強い気持ちを隠さず、気迫と粘りの将棋を貫くと、対戦相手ながら渡辺名人に「恐るべし粘り」と感心された。

【動画】黒田尭之五段、迫力ある指し回し

 黒田五段は2019年4月に四段昇段しプロデビュー。畠山鎮八段(53)の門下で、兄弟子にはタイトル経験もあり2期連続で名人挑戦者にもなった斎藤慎太郎八段(29)がいる。ABEMAトーナメントは昨年も予選から本大会出場を目指したものの、あと1勝のところで敗退し出場ならず。今回は晴れて予選を勝ち抜き、ついに晴れ舞台に立つ権利を得た。

 大会での初対局は第3局。相手は近藤七段だ。黒田五段と近藤七段は同じ1996年生まれの同学年。当然意識はするところだが、近藤七段は2015年10月に四段昇段、黒田五段より3年半も早くプロになると、高い勝率を誇り現在は順位戦でB級1組までランクアップ。近い将来、タイトル挑戦者になるのではと期待されるところまで来ている。活躍ぶりを目の当たりにしてきた黒田五段からすれば、どうしても勝ちたい相手の一人だったことだろう。

 黒田五段の先手番で始まった一局は、黒田五段の三間飛車、近藤七段の居飛車という対抗形でスタート。早くも序盤から作戦勝ちの雰囲気を漂わせると、中盤に入っても譲らず力強い指しっぷり。さらに終盤に▲6四銀と銀をただで捨てる一手を放つと、解説担当の高野智史六段(28)、伊藤沙恵女流名人(28)からそろって「うおー」と声が出るほど。すぐさま伊藤女流名人は「すごい一手が飛び出しました」、さらに控室で見ていたチームメイトの折田翔吾四段(32)、冨田誠也四段(26)からも「おー!」「かっこええなー」と歓声が飛んだ。勢いに乗った黒田五段は、さらに攻めの手を緩めることなく大駒を切り飛ばして一気の寄せ。近藤七段に粘る時間を与えないような完勝譜を作り上げた。

 対局後、黒田五段は「ここで勝つことができたというのは、すごく感慨深いです」と納得の表情。敗れた近藤七段は「正直、貫禄を見せたかったところではありますが、残念です」と悔やんでいた。

 すると黒田五段は続く第4局にも連投で出場し、渡辺五段に「大作戦負けだった」という序盤から盛り返して、驚異的な粘りでひっくり返す逆転勝利。冨田四段が「これで勝つのか!?すげー!」と興奮すると、渡辺名人も「恐るべし粘りでしたね。黒田恐るべし。あれを粘るんだもんなあ」と感心しきりだった。

 今回のチーム渡辺、さらに次戦は藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、19)が率いるチーム藤井と対戦するエントリーチーム。一旗揚げると息巻く黒田五段の頼もしさ、粘り強さこそがチーム「下克上」の象徴だ。

◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

【動画】控室で盛り上がる渡辺明名人
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