そんな素朴で不可解、かつ単刀直入な質問に宗教学者の島田裕巳氏が宗教団体と献金の驚くべき実態を明かした。
「統一教会に限らず、色々な団体で高額なお金を出す例はある。私の知り合いで創価学会に一家で8000万円献金したという方もいるので、そういう例はあると思う」
日本中に驚きと悲しみが広がった安倍元総理が凶弾に倒れた事件について、逮捕された山上容疑者は動機に関して、自身の母親が破産してもなお旧統一教会に対して献金をしていたことで、一家離散に至ったことなどを動機の一つに挙げている。
山上容疑者の伯父によれば、山上容疑者が4歳の時に父親が自殺。母親は相続した不動産の売却金や生命保険金など総額約1億円を教会に献金したという。しかし、母親は2002年に破産。これを受け、教団は5000万円を返金したというが、伯父によると、母親は破産後も献金を続けていたという。
このように、にわかに信じ難いことに対する千原ジュニアが発した冒頭の素朴な疑問に対して、17日にABEMA『ABEMA的ニュースショー』に出演した島田氏は「彼らは信じていますから。その宗教というものが、伸びていくことに対して非常にポジティブに考えている。自分が出したお金が教団を大きくすることに役立つことに誇りを感じるし、それを目的にもできる」などと説明した。
一方、1981年に東京大学入学とほぼ同時に旧統一教会に入信した元信者である金沢大学の仲正昌樹教授は、11年半もの長きにわたってさまざまな経験をし、自らの意志で脱会した。そんな仲正教授が経験したものの一つに“珍味売り”という訪問販売があった。
この商品販売は教団では“万物復帰”とされ、サタンに奪われた万物を取り戻すための行為だと教えられていたというが、この教えは建前で、実際には信者同士を競わせていた側面もあるのでは、と仲正教授は指摘。
「統一教会と言っているが、お互いかなり仲が悪い。ライバル心が結構ある。自分こそが一番信仰を持っていると競おうとする」
実際に仲正教授は大きなバッグに500グラムの珍味を20袋くらい詰め込んで、走りながら家々を回ったという。別に監視されていたわけではなかったというが『信仰があるなら走れ』と教えられていたとのことだ。
「自分が出したお金が教団を大きくすることに役立つことに誇りを感じるし、それを目的にもできる」と話した島田氏は“目的が重要”とも話す。そのうえで「仲正教授のいう競争に結びついて、献金の額を競うという構造がどの教団でも出来上がってしまう」と懸念も述べる。
また献金の使途については「おそらく統一教会の場合には、勝共連合とか、勝共連合系の平和運動と称している政治運動の方に使われているのでは。大学については世界平和教授アカデミーという組織があり、ここが色々なイベントを開いたり、学者にお金を出して留学させるなどしている。そういうところの資金の源が統一教会になったと考えた方がいい」とも。
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体には政治活動を主とする国際勝共連合、経済活動を主とする統一グループ、言論・報道における世界日報やワシントン・タイムズ、学術分野では世界平和教授アカデミーなどがある。これらについて島田氏は「お金を稼ぐ組織ではないから、資金が必要。そういうのを経済活動の統一グループと言われるところが担っている」とお金の流れや使途について補足した。
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