渋いから渋谷?渡辺明名人(棋王、38)もダジャレ定跡を習得したかもしれない。将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」の予選Eリーグ第2試合、チーム渡辺とエントリーチームの対戦が7月16日に放送された。チーム渡辺は渡辺名人が同門の近藤誠也七段(25)、同性の渡辺和史五段(27)を指名して結成された3人組。今回が大会初出場となる渡辺五段の戦いぶりは、抜擢した渡辺名人からしても注目だったが、超早指し戦の中で渋い指し回しを見せたところで「渋い!渋谷の将棋指しだ」と表現。ファンの間で「楽しそうやなぁ」「豊川が移ったのかw」「なべさんがいちいちおもろい」と反響を呼ぶことになった。
渡辺名人といえば、藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)に次ぐ序列2位で、タイトル通算31期の実績を持つ名棋士。攻め・受けのバランスもよく、深い研究からそのまま勝ち切ってしまうこともある作戦巧者でもある。また盤外では歯に衣着せぬ、ざっくばらんな話しぶりでも人気だ。
ABEMAトーナメントでは、自身が対局する大会だけでなく、女流ABEMAトーナメントでは監督も務めた。控室や監督室で見守っていた時には「お茶飲め、お茶」「じっと我慢のボンカレー」といった珍ワードを展開し、白熱する対局に笑いも提供していた。
今大会はチーム名の「マンモス」からして話題を振りまいている。渡辺五段の師匠、豊川孝弘七段(55)の愛称でもあり、チーム動画で出演してもらった縁からもその名をつけたが、豊川七段の得意技といえばダジャレ、おやじギャグ。「飛車をキリマンジャロ」「両取りヘップバーン」「難解ホークス」あたりはよく知られるところだ。
このような経緯もある中で、渡辺五段はスコア3-3と試合の流れを大きく左右する第7局に登場。相手のリーダー折田翔吾四段(32)と熱戦を繰り広げた。すると序盤から中盤にかけたところで、渡辺五段がじっくりと受ける手を選択。これを見た瞬間、控室にいた渡辺名人が「渋い!渋谷の将棋指しだ。フィッシャーでこんな渋い人いる?」と、笑い混じりに驚きの声をあげた。この「渋谷の将棋指し」も豊川七段の“持ちネタ”の一つだ。ファンからも「楽しそうやなぁ」「将棋会館のある千駄ヶ谷は渋谷区」「この兄弟弟子言いたい放題やw」と反応が起こっていた。
なお試合後、渡辺名人は渡辺五段に向けて「なかなか攻めないからイライラしてました(笑)。フィッシャー史上、あんな渋い人は初めてです」と、笑いながらも率直な感想を述べていた。
◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
(ABEMA/将棋チャンネルより)