政党や候補者だけを選ぶ今の選挙制度では、有権者は“政策”を選ぶことができない? 橋下氏と成田悠輔氏が議論
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 総務省の発表によると、今回の参議院選挙での10代の投票率は34.49%で、前回の参院選よりは増えたものの、全体の投票率52.05%と比べると10代の投票率は今回も大幅に低い結果だった。一方、昨年の衆院選のデータでは、10代、20代の総数は約1427万人。対して70代は2490万人となっているため、仮に投票率が高まったとしても、やはり政治に反映されやすいのは高齢者層の意見ではないか、との見方が出ている。

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 16日のABEMANewsBAR橋下』にゲスト出演した経済学者で米イェール大学助教授の成田悠輔氏も「選挙を通じて若者の声を国政に反映させるというのはもう無理なのではないかなと思う」と話す。

 「主権者教育をやったりして若者の意識を高め、選挙に行ってもらおう、ということでは焼石に水なのかなと思う。仮に若者の投票率が50%に増えたとしても、たかがしれている。地域ごとに選挙区があるとか、政党や政治家といった単位にしか投票できないという選挙の仕組み自体が大きく代わっていないので、例えば世代ごとの選挙区みたいなものを作るって、立候補も投票も20代しかできない選挙区を作るなど、今の仕組みを一旦忘れ、今の技術や環境をもとにゼロベースで作り直すことを考えることが必要ではないか」。

 これに橋下氏は「未成年者にも一票を与えて親が行使するというドメイン制には賛成だが、いざというときに政治家の首を飛ばす仕組みというのは、基本的には一人一票という単純な仕組みじゃないといけないと思っている。やっぱり投票の仕組みを操作しようとすると、自分の地位を守るために権力者の方も色々なことをしてくると思うから」。

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 さらに成田氏は「最近では、平均的にどれくらい余命がありそうかとういうところに応じて票に重み付けるような余命投票という仕組みが議論されている。若者の方が高齢者よりも将来の政治からより大きな影響を受けると考えると、若者の方がより一票の重みがあるのではないか、という仕組みだ。

 ただ、もっと長い視点で民意を汲み取るということを考えると、投票所に行って投票用紙に書くという選挙の仕組み自体を全く違ったものに変えるという方向性もあると思う。民意や世論みたいなのものを汲み取るチャネルが増えているのが現代の特徴だ。例えばSNSで橋下さんが暴言を吐いているのも一つの民意なわけだし(笑)、街中のカフェで人々が政治家や政策について話をしているのも民意だ。それらは監視カメラやスマホなどを通じてデータとして溜めることができる。

 そうしたデータを活用し、全体を使って意思決定をしていくみたいな仕組みは将来的にどんどん出てくると思う。それによって選挙というやり方が民意を汲み取るための唯一無二の方法ではなくて、むしろ色々あるチャネルの一つになっていくと思う。そういう中で、成果指標みのようなものを決めておいて、それが一定以下になってしまった場合は権力者の首がすげ替えられるみたいな仕組みも考えられる」。

 橋下氏は「政策は山ほどあるし、それぞれが政党でクロスしている。にも関わらず、選挙は個人の名前を書かなければいけない。権力者選びと政策選びは違うのに、ごっちゃにされているところがある。政治家は全て政策の知っているわけではないし、民意を汲み取り、色々な専門家の意見を聞いて判断する能力があって、権力者として決定権を行使するのに相応しい者を選ぶのが選挙なのに、政策を汲み取る仕組みとして選挙が使われているところに矛盾が出てきているのではないか」と指摘した。

 成田氏も「権力の象徴としての政治家を選ぶ儀式であるはずの選挙が、政策パッケージを選ぶ装置としても使われてしまっている。それによって細かい意見が反映されにくくなっている。その象徴がマイノリティの人権問題のように、はっきりとした当事者がいるにも関わらず、大多数の人たちのノイズのような意見が全てを支配してしまう。今後は個々の政策に対してどうすべきかを決めるチャネルは別に用意し、成果指標に対して何が効果的なのかを見極めながら決めていく仕組みに政治と行政が変わっていくのかなと思う」と話していた。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)
 

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