相手の口元から何かボソボソと、聞こえないレベルの声がする。将棋の藤井聡太竜王(王位、叡王、王将、棋聖、20)には、対局中いろいろと特徴的なクセがあるが、対局者にしか聞こえないのが、この“ささやき”だ。聞こえるといっても、言葉として認識できず、音としてなんとか聞こえるような音量。ただ、それを体験した棋士からすると「読みのリズムを取っている。その読みのスピードがめちゃくちゃ早い」と、プレッシャーを感じるようだ。
藤井竜王は、王位としてお~いお茶杯王位戦七番勝負で豊島将之九段(32)を迎えての防衛戦の真っ最中。20、21日には1勝1敗の五分から第3局を戦った。どちらも愛知が生んだ天才棋士で、対戦する機会も多い。昨期は3つのタイトル戦(王位、叡王、竜王)でぶつかり、藤井竜王が全て勝利。後の五冠達成につなげた。今回のシリーズでは第1局で豊島九段が快勝、第2局は逆に藤井竜王が快勝と、見ごたえたっぷりの戦いを繰り広げている。
この第3局を中継していたABEMAで解説を務めたのが上村亘五段(35)。藤井竜王とは過去2局の対戦経験があり、先手番で負け知らずだった藤井竜王(当時四段)に初めて土をつけた棋士としても知られている。
藤井竜王は自身の1手目を指す前にお茶を飲む(初手お茶)、勝利がほぼ見えた時に前傾姿勢をやめて静かに座る「すーん」、扇子をくるくる回す、深く読みを入れる際にタオルなどで目元を覆い脇息に突っ伏すなど、様々な仕草がある。ただ複数の棋士から指摘されるのが“ささやき”だ。「(藤井竜王と)対局した時に、少し口元で何かをボソボソと聞こえないような感じで、何かをつぶやいているのがあった」と、体験を思い出すと「対局している時に『こうやって、こうやって』と読みのリズムを取っている」と、読み筋を確認していると明かした。
もちろん実際に指す符号をささやくことはないが、驚くのがこのスピード。「読みのスピードがめちゃくちゃ早い」ことが、相手には脅威に感じるのだという。このエピソードにファンからは「呪文詠唱」「やっぱり呟いてるんだ」「将棋星と交信」「めっちゃ気になる」「ラップか!」と様々な感想が寄せられていた。
(ABEMA/将棋チャンネルより)