「オンライン時代には説明責任が問われる」「安倍元総理のインド視察が後の外交に繋がった」政治家の“視察”を“物見遊山”で終わらせないためには
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 立憲民主党の鈴木庸介衆院議員によるウクライナ渡航問題を機に、あらためて政治家による“視察”そのものの意義を問う声が上がっている。

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 国会議員の海外派遣の予算は、2022年度予算で5億3500万円が計上されている。また、山梨県では県議会議員の海外視察が単なる海外旅行だったとして市民団体から費用の返還を求める訴訟が提起され、これを認める判決も出ている。

■「オンライン時代には説明責任が問われる」

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 日本維新の会の政調会長・音喜多駿参議院議員は「国民や有権者に成果や情報を還元する。海外の要人に対する儀礼的な意味。官僚機構のチェックをするうえで海外視察は必要」との立場から、次のように訴える。

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 「政治家の視察に対する批判の声が大きいのは事実だし、私も都議会議員を含めて政治家を10年やってきたが、実際に無駄な視察があるのも事実だ。“なんだこの視察は。本当に物見遊山じゃないか”という経験もした。一方で我々は代表として問題点を見てきて、それらを還元する義務もあると思う。あるいは官僚や首長が正しくない方向へ進もうとしている時、“見てきたけど現実は違うよね”という視点は議員が行くことでしかもたらすことができないものだ。

 例えば私は都議会議員の時代、北欧に児童福祉の分野の視察に行ったことがある。高齢者福祉の分野で見に行く政治家が多い中で珍しいと注目を集めたし、“海外はできているのになぜ日本はできていないんだ”と論戦の中で説得力をもって説明できたことで政策が動いていった部分もあると思う。真剣な視察であれば、私はどんどんやるべきだと思う。

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 ただし今はオンラインも発達しているので、規模縮小の余地もあるし、現地に行くことの説明責任が問われてくることになる。そこの機能が今まで弱かった。例えば東京都議会の視察の場合、同行した事務方がレポートを書いてくれる。議員ひとりひとりが得たもの、見たものは違うわけだから、本来はそれぞれで書くべきだ。それを事務方がまとめて“これどうぞ”と提出するなら、官僚が1人で行ってくればいい。

 やはり監視の目が緩かったこともあり、さぼり、甘えてきたんだと思う。今はブログも書けるし、自分で動画も撮れる。Twitterだって現地から更新できるわけだから、そこは議員に厳しく要求し、やらないなら行くな、という声を有権者の方々が声を上げていくことも必要だと思う。

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 また、国会議員についても委員会の視察はやめるべきだ。“各会派から2名ずつ”などと機械的に割り当てられるので、“お前行ってこい”と言われて、興味がないのに参加し、ご飯を食べるだけ。無意味とは言わないが、委員長が決めたようなテーマを真剣に見たいという人は何人いるのか。仮に個人でアレンジするようにすれば、100%見たい人が視察に行くことになる。一旦コロナ禍でなくなったわけなので、もう復活させる必要はないんじゃないか」。

■「安倍元総理のインド視察が後の外交に繋がった」

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 日本テレビの政治部記者時代には政治家の海外視察にも数多く同行してきた青山和弘氏は「国民の側も、“育てていく”という意識を持たないといけない」と話す。

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 「企業が教育の観点から社員を留学させて見識を深めてもらったりするように、国の発展のためにも議員を他国に派遣し、その国の人たちやその考え方を実感として知る機会を設けるのは大切だと思う。若い議員の経験が後に活きてくることもあって、例えば私は2004年、当時は自民党の幹事長代理だった安倍元総理とインドへ行った。ほとんど私費だったと思うが、この時に会った人たちとの関係が、総理になってからの外交に間違いなく繋がっている。その意味では、ひとつの“投資”と言っていい。

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 あるいは私がワシントン支局にいた頃、“青山さん、アメリカの分断や格差の現状を見たいから、どこか紹介してくれないか”と真面目にオファーをしてきた議員もいた。一方で、本当に“これは遊びじゃないか”という視察があることも確かだ。音喜多さんが言われたように、委員会の視察の場合、筆頭理事の個性によって非常に真面目なものになることもあれば、お土産屋ばかり回ることもある。こうしたところを均一化させるためには、やはり“見える化”させる努力が必要なんだろう」。(『ABEMA Prime』より)

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