絶対王者が締め上げて相手が完全失神。直後、セコンドが「ストップが遅い」と相手選手やレフェリーに対して激高して視聴者が騒然となり「妥当」「止めるのが遅かった」「パンチで抵抗しているように見えた」など、賛否が巻き起こる一幕があった。
7月22日にシンガポールで開催されたONE Championship「ONE 158: DE RIDDER VS. BIGDASH」。メインのONEミドル級タイトルマッチでライニアー・デ・リダー(オランダ)とビタリー・ビグダシュ(ロシア)が対戦し、1ラウンド、デ・リダーが横三角締めでビグダシュを締め落として完全勝利を挙げた。
試合直後には失神に追い込まれたビグダシュ陣営が猛然と抗議。一時、視聴者が騒然となる場面が見られたが、問題のシーンに対しては「ストップが遅すぎる」「判断は妥当だった」など賛否、さらにレフェリーの判断を擁護する飛び交った。
ミドル級とライト級の2階級王者、グラップリングを武器に15戦無敗とONEで無双状態が続く柔術ファイター、デ・リダーに元ミドル級王者・ビグダシュが挑む試合。「もはや敵なし」の呼び声が高いデ・リダーだが、“あわや一本”という危険なシーンで幕を開けた。
試合開始30秒、組んだビグダシュはギロチンチョークに引き込むことに成功。締め上げると視聴者からも「きまった」「完全に入ってる」の声。しかしデ・リダーは効く素振りを見せず、徐々に中腰から有利なポジションへ移行、気が付くと上の態勢からパウンドでジワジワと相手を削りに行く。
デ・リダーはコツコツと相手を殴り続け、ハーフガードから右手を取って腕十字狙い。これを嫌って上をとったビグダシュだったが、デ・リダーが長い両足を絡ませ横三角に移行し首をガッチリとフック。ビグダシュは真っ赤な顔で抵抗を試みるが、手の力がガクりと抜けて勝敗が決した。
気がつけば絶対王者の完勝に終わった試合。「凄みが増してるな」「あの角度で三角とは…」「発想が凄い」とデ・リダーへの称賛が並ぶ中、ビグダシュが完全失神するまで試合を止めなかったレフェリーの判断が賛否の的になる。
試合終了直後、両選手は健闘を称え合ったが、ビグダシュ陣営の怒りは収まらずにデ・リダーやレフェリーのモハメド・スレイマンに食って掛かる場面も見られ「怒ってるな」「レフェリー責められてる」「怒るのもわかる(止めるの)遅すぎる」とセコンドの激怒ぶりに同調する意見が並んだ。
その一方で横三角からの攻防について「タップしているよりパンチで抵抗しているように見える」とタップが明確ではないとの意見や「今日のレフェリー全然遅くないだろ」といった声も多く聞かれた。
「ストップの判断が遅い」との指摘が度々聞かれるスレイマン・レフェリーだが、この日は素早い判断を見せた。スロー映像でも、もがきながらパンチで抵抗を試みるもビグダシュの力が抜けた瞬間に、意識を確認して即ストップ。見事なレフェリングが映し出されると「あっという間に落ちたな」「審判の確認は早くて問題はなかった」といった冷静な意見も多く聞かれた。敗者となったビグダシュもまた、怒りの収まらないセコンド陣を落ち着いてなだめるなど、グッドルーザーぶりを見せていた。