ハイキックを縫うように打ち抜いた左フックをまともに被弾して一撃失神。相手が痙攣して失神するという衝撃KO結末に解説が「終わりだ、一発」とあ然。ロン毛、長身、我流ファイトと全てが規格外なファイターのイカつい風貌とは裏腹の可愛らしい声、さらに勝利ボーナスに大喜びでリングアナをハグしてブン回すなど、ギャップ萌えのキャラにもファンの注目が集まった。
7月22日にシンガポールで開催されたONE Championship「ONE 159」。シンサムット・クリンミー(タイ)と リアム・ノーラン(イギリス)が対戦し、試合は2ラウンド開始早々、ハイキックを縫うように振り抜いたクリンミーの左フックがノーランを捉え見事なKO勝利を飾った。前回のデビュー戦でキックのレジェンドを打ち抜いたブーメランフックを見事に再演した2連続KOで注目選手に名乗りをあげた。
前回レジェンド・ニキー・ホルツケンに打ち勝つアップセットを演じたクリンミーと、同じく戦慄のヒザ一閃で派手なKO勝利を収めたノーランによるライト級ムエタイ戦。
1ラウンドは遠距離攻撃を得意とするクリンミーと、近い距離で相手を潰すノーランが譲らない展開。時折クリンミーが変則的な右ヒジやアッパーなど、独特の戦い方を見せるも静かな立ち上がりだ。
しかし、2ラウンド開始直後に衝撃のエンディングが待っていた。ノーランが前蹴りから、鋭い右のハイキックを放つ。と次の瞬間、“グシャッ”と両者の打撃が交錯する音が響く。クリンミーの頭部を捉えたかに見えたハイだが、倒れ込んだのはノーランだった。立ちあがろうとするも体はピクピクと痙攣し力が入らず失神。ここでレフェリーが試合をストップした。
一瞬の結末に試合を中継したABEMAの視聴者からは「見逃した」「見えなかった」と驚きの声が。実況席も「何が起きたか分かりません」というノックアウトシーン。別角度のスローリプレイでは、ノーランの右足が上がったタイミングに合わせてクリンミーが降り抜いたコンパクトな左フックが確認できた。
蹴りの初動に合わせて視覚の外からノーランのアゴをシャープにガツんと捉えた技ありの一撃に「すげーカウンター」「突き刺した」「狙っているようにしかみえない、凄い」「やっべーな、こいつ」と、前回のホルツケン戦では”ラッキーパンチ”かと思わせたショート・ブーメランフックの再演に視聴者の興奮は頂点に達した。
タイ人らしからぬロン毛、長身、我流のファイトスタイルと濃いキャラ全開のクリンミー。試合後のインタビューでは顔に似合わず甲高い声に「優しそうな声」「可愛い声だな」「思っていた声と違う」と再びザワザワ。さらにファイトボーナス5万ドル(680万円)のゲットが発表されると、満面の笑みを浮かべてリングアナをお姫様抱っこ。さらに振り回して終始ご満悦だった。