ボディに突き刺さるバックスピンキック、直後にアゴを捉えたバックブローの衝撃コンボが炸裂し、試合前から生意気な挑発を続けたチャレンジャーが“時間差”で腰砕けのダウン。一連のド派手なKO防衛に場内が騒然となった。
7月30日に後楽園ホールで開催された「Krush.139」。Krushバンタム級のタイトルマッチで王者・池田幸司(ReBORN経堂)と挑戦者・野田蒼(月心会チーム侍)が対戦。試合は2ラウンド、バックスピンキックとバックブローのコンビネーション、さらに右ストレートなどで2度のダウンを奪った池田が完全KOで初防衛に成功。試合前に受けた挑戦者の挑発を一蹴する見事で文句なしの勝利を収めた。
K-1カレッジ王者の池田とK-1甲子園王者である野田の対戦。試合前、近年意識している「倒せるスタイル」に手応えを感じて自信満々の野田は「憧れられる選手がチャンピオンじゃないとKrushは終わる。池田選手は誰にでもなれそうな感じの選手」などと王者を挑発。一方、初防衛戦に臨む池田は「かわいいと言いたくなる年頃の19歳。お腹でウッと悶絶させる。ボディでKOしたい」と涼しい顔でKO宣言まで飛び出した。
リング上でも両者は対照的だった。野田は大胆不敵で、コーナーポストに座りコールを受け観客に「もっと盛り上げろ」と煽る余裕も。対する野田は落ち着いた様子で、主張は少ないが表情には自信がみなぎっている。
1ラウンド、一気に距離を縮めプレッシャーをかける池田に対してローとパンチを合わせる野田にはスピードがある。跳びヒザを繰り出すなど挑戦者の大胆な立ち上がりにも、王者はじっくりとローなどで追い込む作戦か。ラウンド終了間際には、双方が打ち合いを演じる一幕も見られた。
2ラウンド、池田は再びプレッシャーを掛ける。コーナーに追い詰めてヒザ、さらに近い距離での荒々しい攻防では静かな闘志を感じさせる厳しい目つきも。
ラウンド中盤、池田が放ったボディへのミドルで「バキッ」と鈍い音が響くと、これを嫌ってコーナーに下がった野田を追うようにスピンキック。一度は何も無かったかのように動き出した野田だったが、直後、後方にガクガクと腰が砕けるようにダウンを喫した。明らかにダメージはあるが表情は変えずにファイティングポーズを取った野田。意地を見せて立ち上がると再開後に反撃の連打を放つ。しかし、ここで王者・池田が「打ってこい」と余裕の挑発。最後はカウンターの攻防から冷静に右ストレートを打ち抜いて野田を沈めた。
宣言通りボディへの蹴りで倒したシーン。スローで確認すると、池田はスピンキックの直後にダメ押しでバックブローをアゴに的中させていた。これには試合を中継したABEMAの視聴者からも「バックブローか…」「アゴが効いたな」とワザありコンボに驚嘆の声が漏れ、野田が宣言した「お腹で倒す」も実行、さらには「この王者は地味」という挑戦者の挑発を見事に払拭するド派手な勝利には称賛の声も寄せられた。一方、敗れた野田には「口だけだった」といった辛辣なコメントが殺到していた。
批判は試合前のビックマウスの代償とも言えるが、解説の石川直生は「野田選手が噛みついて、“絶対倒せるんだ”という勢いできた。(その相手に勝った)池田選手の価値も高まった」と大会メインを盛り上げた敗者を讃えた。