26日、日本維新の会の松井一郎代表は「所得の低い人が破産するような寄付を集めるのはおかしい」と述べ、宗教団体への寄付金規制について、所得に応じ、上限を設ける法案を秋の臨時国会に向けて準備する考えを明らかにした。
【映像】おみくじやお守りも? 宗教法人の非課税・優遇税率(画像あり)※2:55ごろ〜
きっかけとなったのは、今月8日、演説中の安倍元総理を襲った銃撃事件。逮捕された山上徹也容疑者は「統一教会に入会した母親が多額のお金を振り込んで破産し恨んでいた。本当は団体のトップを狙っていたができず、つながっている安倍元総理を撃った」と供述しており、捜査関係者によると、母親は親族の生命保険や土地など合わせて1億円近くを献金し、その後に破産していたとみられている。
この事件に、宗教法人を所轄する文部科学省の末松文部科学大臣は「(信教の自由から)所轄庁等による宗教活動への介入は基本的には認められていないという解釈である」とコメント。信教の自由もある中、何か対策が必要なのだろうか。ニュース番組「ABEMA Prime」では、宗教団体の規制方法と必要性について議論を行った。
ネット掲示板『2ちゃんねる』創設者のひろゆき氏は「人を脅して大金を取るタイプの宗教は、何らかの規制が必要だ。お金をたくさん持っている人が、自分でバカな行為だなと分かっていてやるなら、それはそれで自由だが、そうでない人は『そんなに出してはいけないよ』というバランスをどこで取るのか」と投げかけ。
日本維新の会の党内では、どのような議論があったのだろうか。同党の音喜多駿参議院議員は「宗教団体に限ったことではない」として、「吉村副代表が『トラブル団体と政治家との関係は見直さなければならない』と申し上げて、そこから議論が始まった。主に宗教団体で起きがちな多額の寄付について、一定の歯止めをかけることができないか。今の法律で“抜け道”が多すぎるのであれば、具体的な立法の検討に着手したい」と話す。
音喜多氏の説明に、ひろゆき氏は「ホストに大金を払ったとしても、何割かは税金に返ってくる。そういう意味では国としては、被害者がいない。しかし『すごい大金を払ったけど、非課税です』はビジネスのやり方として、さすがにおいしすぎる気がする。非課税枠を変えるのは難しいのか」と質問。
音喜多氏は「寄附控除を受けられる団体がたくさんあるが『なぜ宗教団体だけを規制するのか?』に対しては、立法事実が必要だ。宗教団体に限った話ではなく、農業団体などでも多額の寄付を要求してくるところはある。宗教だけの問題に矮小化してもいいのか。やっぱり立法側としては、いろいろと検討しないといけない。私は不可能ではないと思うが、論点は一つ一つ丁寧に解消していく」と回答した。
収益事業以外であれば「納税の義務が生じる場合があるので、チェックしやすい」と話す音喜多氏。その上で「やはり寄付が一番見えづらく、難しい」と話す。
「寄付は“お気持ち”の問題だ。『この壺は1億円です』と言われたら『この壺に?』と判断が働くが、寄付だけは外部から公平性や適正性が判断しづらい。何か線引きを設けてあげないと、非常に被害が拡大しやすい」
商品の売買に関しては、消費者関連の法案で取り締まりは可能だという。音喜多氏は「霊感商法の禁止など、購買は一定のルールがある。ただ、被害を受けていても、被害に気付かなければ、当然なかなか発覚しない。宗教団体、トラブル団体に対して、外部や世間の目が厳しくなれば、新しい法律ができて、寄付にも制限ができる。『あの人、最近様子がおかしいし、いろいろなものが増えているよね』と、周りが気付いてあげられる可能性もある」と述べる。
安倍元総理の事件をきっかけに、注目を集めている「宗教」と「金」の問題。「BlackDiamond」リーダーのあおちゃんぺが「宗教はなぜそんなにお金が必要なのか?」と質問すると、ひろゆき氏は「まともな宗教であれば必要ない」とコメント。あおちゃんぺは「仕事でもないのに、信じる人がいて、仲間という感じなのに、なぜそんなにお金がいるのか。何に使っているのかが、気になる」と疑問を浮かべた。
ここで、eスポーツチームαD代表の石田拳智氏が「実際に僕がニュースで見たのは、宗教の団体が『この政治家を応援してよ』みたいな構図だ。有名どころだと、創価学会さんと公明党さんがつながっている。自分が応援されている側なのに、活動しにくくなるような、賛成法案の賛成は取れるのか」と投げかけ。
石田氏の質問に、音喜多氏は「極めて難しい。宗教団体は選挙の手伝いなど、いろいろなところで支援をしてくれる。政治家も望ましいと思う人は少ないだろうが、要は自分がコントロールされなければいいと思って支援を受けている。当然、応援を受けたら、後ろ暗いところというか、恩返しをしないといけない部分がある」といい、「私たち日本維新の会は政党としても、そういう団体とは基本的にはつながりを持たないようにしている」とコメント。
「法案を出しても、採決まで行くことがなかなか難しい。審議に入るために、一定の与野党が合意しないといけない。法案にはイエス、ノーを取りたくない人がいる。態度を曖昧にしておきたい人たちがいて、全力で審議入りを拒否する。『日程が足りない』『先にこの法案をやらなきゃいけない』と言って、時間切れを狙っていく人がいる。我々は誰がこの法案の審議入りを拒んでいるのかどうかも含めて、しっかりお伝えしていきたい」
(「ABEMA Prime」より)
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