「親の不調を誰かに相談しちゃいけないのでは」 “親のうつ”に孤立する子ども・ヤングケアラーへの支援は
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 晩婚化が進む現代の日本。育児・子育て真っ最中だという中高年も少なくない。しかし、そんな子育て中高年がもしうつ病になってしまったら――。

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 影響が大きいのは子どもたちだ。Twitterにはうつ病を患った親を持つ子どもたちの悲痛な声があがる。

「父がうつで引きこもってる代わりに私がバイトを頑張らなきゃいけなくなり疲れた」
「母のうつ、私は何をすればいいんだろうか。こういうことって身近な人にも相談しづらい」
「私の母はうつで自死した。まだまだ癒えない。ううん、一生この傷は癒えることはないだろう」

 精神疾患のある親に育てられた子どもの自助グループ「こどもぴあ」代表の坂本拓氏。母親がうつ病で自身も苦しんだという。

 「なんとなく自分の親の不調を外に相談しちゃいけないとか、そういうのは子どもなりに気を遣う部分だと思う。その中で孤立感だったり、抱えている悩みを誰かに相談できないことが、子どもとしては苦しかった」

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 “親がうつ”、そのサインはどこに現れるのだろうか? 精神科医の熊代亨氏は次のように説明する。

 「初期症状の半分ぐらいは眠れない、食べられないなどだ。気持ちの面だけではなく、身体にも痛みを含めた色々な症状が出るというところに着眼するのがいいと思う。このことをもっと多くの方に知っていただきたい」

■大変でも「相談できない」子どもが8、9割

 「精神疾患のある親をもつ子どもの体験と学校での相談状況:成人後の実態調査」によると、親のことで「大変だった」(「どちらかと言えば大変だった」を含む)と答えたのは、小学生が78.9%、中学生が87.1%、高校生が83.8%。学校へ「相談しなかった」と答えたのは、小学生が91.7%、中学生が84.5%、高校生が78.6%となっている。

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 こうしたデータから、大阪大学教授の蔭山正子氏は子どもが置かれている状況について次のように説明する。

 「精神疾患は治療に繋がりにくいという特性がある。病状が不安定になったり、治療が切れたり、介護や訪問看護を使っていなかったりといろいろな状況があると、子どもや家族は大変になってくる。精神疾患は偏見が強いということも大きな特徴だ。先ほど坂本さんが言われていたように、それを言ったことで世間がどういうふうに見るのかということを大人がすごく心配するから、子どもが相談できないということもある」

 では、子どもは親にどう接したらいいのか。「話し相手として子どもが全てを引き受けるのは辛いと思う」とする蔭山氏は、周囲のサポートの必要性を訴える。

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 「訪問介護やヘルパーなど専門家が、家の中に入れるのであればやって頂きたいが、それは難しいだろう。まずは学校で、保健室や担任の先生に話してみるとかができればいいが、やはり子どもの側から発信するのは難しい。周囲が気にかけてあげることが第一歩だと思う」

 一方で、パックンが「親が動かないとどうにもならないのでは?」「本人が受診する気がない時はどうすれば?」と疑問を投げかけると、熊代氏は次のように答えた。

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 「保健所や地域の福祉課の方などが動いて、受診につながるように行政は動いてはいる。ただ、全ての患者をすくい取れているかというと、そうではない。また、受診につながっても、そこでお子さんが大変なことになっているとわかってから援助の手を回すまでには少しタイムラグが生じることもあるというのを、現場の1人として感じる」

■安藤美姫「ずっと母親でいる必要はないと思う」

 プロフィギュアスケーターの安藤美姫氏は、9歳の娘を持つ母親として産後うつへの対策を呼びかける。

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 「私の周りでも産後うつになった方がいる。理由を聞くと、やはり赤ちゃんがいることで周りとの接点が減ったとか、自分の自由時間がなくなったと。なんでそうなるのかを聞くと、“母だから”と言う方が多い。でも、ずっと母親でいる必要はないと私は思う。赤ちゃんが寝ている時は自分の時間だし、赤ちゃんがいても私なんかは外に遊びに行ったり、友達と交流があったりとかで、産後うつはやり方によっては減らしていけると思う」

 また、近畿大学情報学研究所所長の夏野剛氏は専門家に相談するハードルを下げる必要があると呼びかけた。

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 「病気なので、早く専門家にアクセスして適切な処置をすることが大事だ。つまり心療内科へアクセスするハードルを下げた方がいい。今はメンタルヘルスというのは全く恥ずかしい話ではない。一昔前とは変わって、表に出していい話になっているんだということを、社会のコンセンサスにした方がいい」

(『ABEMA Prime』より)

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