「初めて湯船に浸かって、心地良さに漏らしてしまう子もいると聞いた」ゴルゴ松本が語った少年院での“命の授業”
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 お笑いコンビ「TIM」のゴルゴ松本が6日のABEMANewsBAR橋下』に出演、ライフワークとして知られる少年院での“命の授業”について思いを語った。

【映像】ゴルゴ松本が少年院での“命の授業”を実演

■「みんなには心がある」「味を見つけろ」

「初めて湯船に浸かって、心地良さに漏らしてしまう子もいると聞いた」ゴルゴ松本が語った少年院での“命の授業”

 ゴルゴが“命の授業”をスタートさせたのは2011年。きっかけは東日本大震災で「絆」という言葉が注目を集めたことだったという。

 「それまでも知り合いのおじさんから、“少年院で何かしゃべって欲しい”という話は来ていたが、“なぜ俺なのかな?”という感覚があって返事をしなかった。ただ、“絆”という漢字が世界に伝播していくのを見て、“何かできることはないかな”という思いはあったし、40歳を過ぎたし、という時に、また講演の話が来た。

 そこで話を伺ってみると、“未来の犯罪を0.1%でも減らしたい”という思いから就労支援をやられている方だった。芸人でも歌手の皆さんでも、楽しく盛り上げる“慰問”で行くが、僕の場合は授業の一環みたいな感じの“講義”だ。今までは成功した社長さんなどを連れて行って講義をさせていたらしいのだが、話が難しすぎて、子どもたちはポカンとしていると。これじゃいかんなという時に、僕が浮かんだみたいだった。

 そして実際に行って見ると、高校生くらいの雰囲気の普通の少年たちだった。声をかけながら行進して、整列する。しっかり挨拶もしていて、俺の高校時代の野球部と変わらない世界だな、やりやすいなという感覚になった」。

 そこで使ったのが、得意の漢字を使ったトークだ。

「初めて湯船に浸かって、心地良さに漏らしてしまう子もいると聞いた」ゴルゴ松本が語った少年院での“命の授業”

 「埼玉県の田舎で生まれて、高校時代は甲子園を目指して野球をやった。そしてテレビでとんねるずを見て芸能界に憧れて、10年かかったが何とか食えるようになった。考え方、心が人間の行動に変わるし、そこから色々な出会いが生まれて、助けてもらいながら。そうやって一歩一歩前に進めるという話を、漢字を交えながら、分かりやすく。

 たとえば、“みんなには心がある。心には音が存在している。意識の『意』だ。ただ、思い描くだけで行動に移さないとダメ。そこで、『思』という漢字の横と上と横を消すと、『志』になる。そうやって目標を作ると人間はそっちの方向に行くんだよ”とか。“ラーメンは何味が好き?”と聞いて、“みんなはまだ未完成、未来の『未』。上がまだ育ちきっていない。そこに『口』を付けると、みんなが言った塩味、豚骨味、カレー味、になる。人生というのは味付け。まず、興味という味を見つける。そしてやってみる。それが走って取りに行きたくなるような趣味になるといいな。これが醍醐味という味になっていく。でも醍醐味になるには酒偏、だから酒を飲めるようになるまでダメだぞ。これが人生の心の音の意味に繋がっていく。それが将来の味方になる。だから味を見つけろ”と。

 もちろん、漢字の話だけをしているわけではなくて、“原因があって必ず結果がある。真面目にやってきても、どこかで踏み違えるとこれは悪い結果になる。おいしい甘い果実になるには天気も大地の栄養も良なければならないし、その年に限って水不足になったりしたらおいしい果実にはならない。君たちも生まれた時には普通に産声を上げた赤ちゃん。でも出会った大人たち、環境、教育の中でボタンを掛け違えただけ”と」。

■手紙には「料理人を目指していて頑張っています」…「少しは実を結んだのかな」

「初めて湯船に浸かって、心地良さに漏らしてしまう子もいると聞いた」ゴルゴ松本が語った少年院での“命の授業”

 話は、少年院入院者たちが育った家庭環境の問題にも及んだ。

 弁護士として少年事件にも関わった橋下氏は「“付き添い人”という形での1対1の関係だけど、本当に大変だった。まず話を聞いてくれない。犯罪をした少年に、大人が“教えてあげるぞ”という姿勢だと本当にバリアが解けない。でも、バイクに乗る時の格好のままで行った時、雰囲気で“どのバイクに乗っていたの”と、話ができた。僕が茶髪にしていたのも、普通にネクタイをして行っても、“また変なオヤジが来やがって”としかならないから。ゴルゴさんもあの話し方で行くから、少年たちのバリアを崩す、乗り越えられんだと思う」と回想。

 ゴルゴは「テレビで見ていた子たちには覚えてもらってはいたが、今まで出会ってきた大人とは違う大人だよ、親戚のおじさんだと思って聞いてくれと。そして世間話から入る。“この間富士山に登ったんだよ、登ったことある人手をあげて!”と。“いつ登ったの?”“何メートルか知ってる?”と。そこで“5000メートル!”と答えが出たら、“それはキリマンジャロだよ”と。すると周りが笑い始める。和ませて、和ませて。

 やっぱり難しい、政治的な言葉なんかではなく、分かりやすいところから行く。“みんな、お母さんから生まれてきたでしょう?いいか、日本語も、お母さんから生まれている。母の音と書いて母音。50音の最初は“あいうえお”、あい=愛からだぞ、この国は”と。そして、“愛という漢字の上には、受ける、授けるという漢字に付いている、手という記号がある。手伝う。手助けする。手を差し伸べる。手当てをしてあげる。痛いの痛いの飛んでいけ、やってもらったことあるでしょう?」と話した。

 橋下氏は「僕は被害者のことを考えて、少年であったとしても一定のラインを超えた犯罪については責任を取れという派だ。ただ、家庭環境はすごい影響をするから、非行少年になってしまった場合、かわいそうだな、不運だなというところはある。ニューヨークのハーレムに視察に行った時に、前日に小学校5、6年生くらいの子が、中学生のお兄ちゃんを撃ってしまう事件が起きた。自転車を貸して、嫌だ、というやりとりの中で、バーンと撃ってしまったという。衝撃を受けた。ガイドをしていた人が言うには、彼らは“嫌だからといって銃で撃つのはダメだよ”ということを教えられていないんだと。親、周囲、環境から何も教えられていないんだと」と振り返る。

 ゴルゴは「劣悪な環境にいる動物の場合、保護しようとした人に心を開かず、噛みついたり、引っ掻いたり、逃げたりすることがある。でも接点を持って徐々に心をほぐしていくと、1カ月、2カ月と経つうちに少しずつ変化が出てくる。僕が少年院で会った子たちの中には、学校も行かせてもらえない、食事も満足に与えてもらえないから、栄養失調で中学生なのに小学校2、3年生くらいの体型の子もいた。少年院に来て、3食を食べるところから始める。少年院で初めて湯船に浸かって、あまりにも心地がいいから、うんちをしちゃったという話もある。ちっちゃな子がお風呂入った時と一緒だ」と応じた。

 その上でゴルゴは「いつも1時間半〜2時間くらい喋って、それっきりだが、公演先にお母さんが息子さんを連れて来て、“少年院から帰ってきたら、お母さんありがとう、と今までに聞いたこともないような言葉を言う”と。聞いてみると、僕が女の人、お母さんを大切にしなさいという話をしていたらしい。

 “あいうえお”の話、それから、“女偏の漢字は257あるが、全部は知らないだろう。男という字は田んぼに力、働けという意味。みんなで力を合わせる“協”にも力が付く。それができないと、権力、暴力を繰り返す。バカな男たちが作ってきた歴史だ。女の人を守らなければいけない。産んでくれたお母さんにも迷惑をかけていないで、守るんだ”と。

 息子さんの手紙には、拙い字だったが、“ゴルゴさんの話を聞いて、自分はありがとうと言えるようになった。一番迷惑をかけていたお母さんにも、ありがとうと言ってもらいたい。だから今、料理人を目指していて頑張っています”と書いてあった。コツコツやってきたことが少しは実を結んだのかなと、感じた」と感慨深げに話していた。(ABEMA『NewsBAR橋下』より)
 

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