軍事侵攻後も3度の現地入り…渡部陽一氏が写真で届ける“ウクライナの魅力”
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 5月から7月にかけて、ウクライナへ3度現地入りした戦場カメラマンの渡部陽一氏。ニュース番組『ABEMAヒルズ』は、その現状を撮影した写真について話を聞いた。

【映像】渡部氏がウクライナで撮影した写真(複数)

「2014年から2022年の7月まで、8回にわたってウクライナ内戦・戦争を現地で取材してきた」

 渡部氏は、2014年からウクライナを取材。2月24日から始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻以降も3度現地入りし、写真を撮り続けていた。今回、そのときの写真を見せてもらった。

軍事侵攻後も3度の現地入り…渡部陽一氏が写真で届ける“ウクライナの魅力”

「これはウクライナの首都・キーウ北西部、約30km地点にある『ホストメリ』という町で、ロシア軍の攻撃を受けた食堂の様子。破壊されるだけではなく、高熱の兵器を使ったことによって、店内が溶かされたような状況に陥っていた」

 まず、5月に首都・キーウ北西部の「ホストメリ」「イルピン」「ブチャ」の町の様子を撮影した渡部氏。ゼレンスキー大統領をはじめ、世界各国のメディアが大量虐殺犯罪を意味する“ジェノサイド”が行われたとしたのがこのエリアだ。その写真に人の姿は写っていない。

「残虐なジェノサイドが発生した地域では住民が一部戻ってきているが、現場となった場所にはまだまだむき出しの状況が残されている。住民がそこにタッチしていくという光景は少なかった。車両や破壊された場所が一部片づけられてはいるが、ロシア軍による傷跡は強く残されていた」

 焼け跡からは、子ども用と思われる自転車も写っていた。

「自転車やスケートボードのようなもの、ぬいぐるみ、学校に通うためのかばん、教科書、ノート、ペン……こうしたものが、焼けただれた状態で残されていた。この傷痕から、ロシア軍がイルピンの町へ進攻を始めたときに、市民が逃げようとしていることを確認できたにもかかわらず攻撃していたことがわかる。動くものが全て砲撃・銃撃の的になっていた。住居や軍事車両だけではなく、市民が逃げるために移動していたものが攻撃されている。こうしたものが、そのままむき出しで残されていた状況を繰り返し記録に残してきた」

――小さな子どもたちが被害に遭う様子を見て、どう思いましたか?

「ウクライナの戦争だけではなく、全ての戦争で変わらないこと。それは、どの戦争でも犠牲者がいつも子どもたち(であること)。悲しい現実がウクライナの戦争の中でも再び繰り返されていた」

軍事侵攻後も3度の現地入り…渡部陽一氏が写真で届ける“ウクライナの魅力”

 6月には首都・キーウを訪れた渡部氏。そこには平和な光景が戻りつつあったという。

 美しい街並みと戦車が一緒に写っている写真。これは、ウクライナ軍が回収したロシア軍の戦車をあえて市民に公開しているものだ。そこには、軍事侵攻を直接肌で感じ取ることができない人たちにも知ってもらいたいというウクライナ軍の思いが込められている。

 また、高さ8mほどの土嚢には次のようなメッセージもあった。

「世界中の人々へのメッセージとして、『世界の皆さん、ウクライナを忘れずに、私たちが置かれている状況を知ってほしい。そして、どんな形でもいい。手を差し伸べてほしい』と英語で書かれていた」

軍事侵攻後も3度の現地入り…渡部陽一氏が写真で届ける“ウクライナの魅力”

 激しい最前線の戦闘、そして都市部の日常。このギャップがあることは「ウクライナ情勢を見ておく上で大切な1つの温度差」だと渡部氏は話す。そして、フィルムにはウクライナとロシアの衝突が起きる前は平和だったことがわかる雄大な自然も収められていた。

「ひまわり油はウクライナの穀物産業の1つの柱であり、今たくさんの場所から収穫されている。ウクライナの国民性である優しさ、美しい大自然、そして歴史ある建造物と街並み……何度もウクライナに足を運び、魅せられた渡部陽一としてはたくさんの方々にウクライナの魅力に触れてほしい」

 現地の人にインタビューをしたり、同じ状況で時間を共にした記録として自身の写真も撮ったりしている渡部氏。ロシアのウクライナへの軍事侵攻から5カ月、今後も「日本人がウクライナについて知ることができる環境を作っていきたい」と話している。

「苦しい状況に寄り添ってあげたい、少しでも悲しみを和らげてあげたい。ウクライナの戦場の家族も日本の家族も、みんな感じていることは一緒。そんな状況に気付いてほしいという思いで、ウクライナの日常を写真で記録に残してきた。カメラマンとして、渡部陽一個人として、ウクライナと日本の方々の懸け橋になれたらと思う」

(『ABEMAヒルズ』より)

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渡部氏がウクライナで撮影した写真(複数)
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