里見香奈女流五冠、歴史的勝利はわずかに届かず タイトル戦・本戦初出場も阿久津主税八段に惜敗/将棋・棋王戦挑決T
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 将棋の棋王戦コナミグループ杯挑戦者決定トーナメント2回戦が8月15日に行われ、里見香奈女流五冠(30)が阿久津主税八段(40)に142手で敗れた。里見女流五冠は、女流棋士として初めて、タイトル戦の本戦に出場を果たし、本局では女流初の本戦初勝利を目指していたが、順位戦A級の経験もある阿久津八段に最終盤まで食らいつく大善戦。惜しくも快挙達成はならなかったが、3日後の18日から行われる棋士編入試験に向けて、改めて十分「棋士」として通用する実力を示した。

【中継】里見香奈女流五冠、強豪・阿久津主税八段に善戦した一局

 8つある女流タイトルのうち5つを占め、歴代最多のタイトル49期を獲得している里見女流五冠は、今期の棋王戦では予選で5人の棋士を下して初の本戦出場。ここでの連勝が、棋士編入試験の受験資格を得ることにもつながる大きな要因となっていた。

 A級2期、棋戦優勝も2回の実績がある阿久津八段との対局は、先手番から得意の中飛車を採用。阿久津八段が居飛車で迎え撃つ対抗形からスタートした。序盤から中盤にかけては、じりじりと阿久津八段がポイントを稼いだが、中盤からお互い自の耐久度を高めるべく序盤に戻ったような進行に。再び阿久津八段がリードを奪って終盤に向かったものの、じっくりと負けない将棋を目指した阿久津八段に対して、里見女流五冠も覚悟を決めた反撃の連続。両者の持ち時間も残り少なくなったところでは、阿久津八段にもわずかなミスが許されない痺れる局面を迎えることになった。

 最終盤では意地と地力で阿久津八段が抜け出してなんとか勝利を収めたものの、解説を務めた棋士やファンからは、その善戦ぶりを評価する声が続出。18日から始まる棋士編入試験では五番勝負で3勝すれば晴れて棋士になれるが、現時点でも十分に戦えることを、持ち時間4時間という長丁場でも示してみせた。

 対局後、里見女流五冠はうつむく時間が長かったが、インタビューに対しては「よくなったと思った局面もあったと思うんですが、そこで焦りすぎました。実力不足かなと思います。自分の力は出し切れたんですが課題も見つかったので、そのあたりを修正できればと思います」と答えた。また阿久津八段も「(里見女流五冠は)我慢するところをしっかり時間を使って我慢していたので、女性と指しているという感じもなくて、何度も負けたと思った局面もありました」と語っていた。
ABEMA/将棋チャンネルより)

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