令和のニッポン。人工知能(=AI)など、テクノロジーの進化により、業務の効率化や生産性の向上などが叫ばれる中、時代の流れに逆行していると、「神エクセル」が話題になっている。
表計算ソフトの代表格「Microsoft Excel」。日々の仕事で扱うデータの管理や、数字の計算など今や、ビジネスシーンにおいてなくてはならないツールに。そんな中あげられる、この「神エクセル」。名前の響きから、ものすごく優れたものにも思えるが、一体、どのようなものなのだろうか。
実際に、行政機関のデータを元に「神エクセル」を作成した。一見、見やすく使いやすいようにも見えるが、入力してみると文字が消えてしまった……。
「神エクセル」とは、“紙に印刷すること”を前提に、見栄えを優先して作ったExcelファイルのこと。「神」という文字はこの「紙」から派生したと言われている。
省庁や市役所など、行政機関で多く使われてきたが文字の入力場所がわかりづらかったり、Excelで「禁断の技」とも言われるセル結合の多用によって、「データの抽出や再利用が出来なくなる」など、「効率が悪すぎる」と度々問題視されてきた。
「神エクセル」をめぐって、かつて行政改革担当大臣を務めた河野太郎現デジタル担当大臣が2016年に自身のTwitterで、「行革推進本部で文科省をよんで、こういう神エクセルを至急、全廃することにしました」と発言したことが話題になった。
しかし、いまだに一部の行政機関で蔓延っているという「神エクセル」。ネットでは「お役所の申請書類作成終了。あいかわらずの神エクセルでげんなり」「仕事上のストレス上位。神エクセル」「神エクセルを見ると、『もうそれワードでよくない?』と思いませんか」といった声が上がっている。
真面目で勤勉な日本人を体現しているような「神エクセル」。果たして、効率重視の現代社会に即しているのか。それとも、何か使わなければいけない理由があるのか。ニュース番組『ABEMAヒルズ』では「神エクセル」の誕生を知る人物だという、元地方公務員で株式会社フィラメントCEOの角勝氏に話を聞いた。
「(神エクセルは)基本的にはなくなっていくべきだが、現場の人たちがいくら努力をしても変えられない事情がある。行政の仕事というのは、文書で意思決定してそのエビデンスを残しながら決めていく“文書主義”が基本で、その法体系は今も根付いている。この文書主義をうまくデジタルに変えていくのが今のデジタル庁などに求められている部分だと思う」
しかし、デジタル化を進めようとする上でなかなか進まない分野もある。デジタル化を阻害する“真のモノ”とはなんだろうか。
「僕がすごく疑問に思うのは、昔に作ったフォーマットやそのやり方が今でもずっと続いているということ。作り直しすることはみんな面倒だと思うが、面倒臭いからといって前のものを使い続けるというのは、良く言えば“もったいない精神”だが、悪く言えば“使い回し根性”。この使い回し根性の部分をどうにかしていく、過去の習慣にとらわれている自分の気持ちを解放して、新しい方向に向けていくことが大事。
また、行政の人たちが仕事を変えないことを“やり過ごすインセンティブ”といっている。それは、自分の次の異動が来るまで耐えたら後の人が何かするだろうというもの。そのやり過ごすインセンティブから目を凝らして、未来の思考に自分たちはどうやって気持ちを誘っていくかと考えることも大事だと思う」
(『ABEMAヒルズ』より)
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