史上初の“女性棋士”誕生へ 里見女流五冠の挑戦に集まる期待の声 ライバルが考える「強さの秘密」
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 史上初の女性棋士誕生―。こうした期待を寄せられているのは里見香奈女流五冠。プロ棋士になるため棋士編入試験に挑戦する。

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里見女流五冠「純粋にやっぱり将棋が大好きなので、少しでも自分の棋力向上を目指して強い方々と対局したいなという思い、ただそれだけです」

 女流棋士のタイトルは8つあり、里見女流五冠はそのうち「清麗」など5つを持っている、正に女流棋士の頂点に立つ強豪だ。島根県出雲市出身で、終盤の攻めの鋭さから「出雲のイナズマ」の異名を取っている。

 里見さんの強さの秘密について、女流四段の上田初美さんはこう話す。

上田女流四段「里見さんは、ひと言でいうと『本当に将棋がすごく好きな方』です。好きだからこそたくさん努力できるし、負けても『次、もっと頑張ろう』という風に思えるし、強くなりたいと思える。そういう純粋な思いというのが恐らく女流棋士の中で1、2を争うレベルで持っている方だと思います。(もし、初めての女性棋士が生まれたら)長年、女流棋士が少しずつ上を目指してやってきた結果が花開くということなのかなと思います」

史上初の“女性棋士”誕生へ 里見女流五冠の挑戦に集まる期待の声 ライバルが考える「強さの秘密」

 そもそも女流棋士とプロ棋士は、何が違うのだろうか。実は、将棋界のプロは「棋士」と「女流棋士」の2つの制度に分かれている。ただし、通常「プロ棋士」と呼ばれるのは棋士のことで、藤井聡太五冠や渡辺明名人、羽生善治九段はみな「棋士」だ。

 棋士たちは日々、8大タイトル戦などの公式戦に参加しており、彼らの戦いの場が今の将棋界の中心となっている。現在まで棋士は全て男性で、女性の棋士はいない。

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 「棋士」になる通常のルートは、棋士養成機関「奨励会」で好成績を上げることであり、具体的には「奨励会」の三段リーグで上位2位に入れば「棋士」になれる。里見さんもかつてこの三段リーグに参加していたものの、残念ながら上位に入ることはできなかった。

 棋士が戦う公式戦の中には女流棋士が参加できるものもある。15日、里見さんは棋士の阿久津主税八段と棋王戦の挑戦者決定トーナメントで対戦。惜しくも敗れたものの、大善戦しその力量を見せつけた。

里見女流五冠「自分の力は出し切れたんですけど、課題も見つかったんで、そのあたり修正できるように頑張りたいと思います」

史上初の“女性棋士”誕生へ 里見女流五冠の挑戦に集まる期待の声 ライバルが考える「強さの秘密」

 「棋士」になるもう1つのルートが、アマチュアや女流棋士が棋士との公式戦で好成績を上げると資格が得られる「棋士編入試験」だ。里見女流五冠も棋士を相手に14局戦って10勝の成績を上げ、編入試験を受ける資格を得た。

 ただ、ここからも大変で、編入試験に合格するためには、5人の棋士と対局して3勝するのが条件。相手は、プロになって間もない若手5人だ。現在、編入試験制度を経てプロ棋士になったのは2人だけ。里見さんは3人目を目指す。

 棋士になるための制度に男女の区別はなく、スポーツのように男女の体力差が大きく影響するわけでもない。にもかかわらず、なぜ、女性のプロ棋士はこれまで生まれなかったのだろうか。上田女流四段は「棋士を目指す女性の人口が圧倒的に少なかったから」だと考えを述べる。

上田女流四段「女性の棋士がいまだに生まれていないというのはただ単純に確率の問題だと思っていて、現状として奨励会という世界の中では女性の比率は1%にも恐らく満たない数字だと思います。才能のある人が出てくる頻度も分母が大きいほうが出てくる確率っていうのは上がりますので…」

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 上田女流四段によると、江戸時代から女性がたしなむものと考えられていた「囲碁」に比べて、女性が将棋を指す歴史はそもそも非常に浅く、歴史の長さは人口に直接関係してくるものだという。さらには、将棋というゲームの持つ“特質”も「将棋人口の差に関係があるのでは」と上田女流四段は言う。

上田女流四段「将棋を好きになりやすい子っていうのは戦いや競争好きな子が多いのではないかと思います。将棋は、王様が詰まされたらそれまでどれだけ良くても負けという、100か0の戦いという側面が強いボードゲームなのかなと思います」

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 それでも女性の将棋人口は確実に増えているという上田女流四段。里見女流五冠の活躍が、そうした流れをさらに加速させるのでは、と期待している。

上田女流四段「こういう生き方もあるんだよという実例として見せられるというのは、それを目指す子どもたちにとって非常に夢や希望を与える戦いなのかなと思います。女流棋士全体の実力が上がれば、さらに上を挑戦される方も増えていくのかなと思う」

 あくまで目の前の1局1局に全力を尽くすという里見女流五冠。それでも、その先にある“史上初の女性棋士誕生”という快挙を期待せざるを得ないだろう。

里見女流五冠「これだけ多くの方々に注目していただけるということは、大変嬉しく思います。ただ、私自身は自分のことで精いっぱいなこともありますので、ひとつひとつ目の前のことに全力で取り組めたら、と思っております」

 棋士編入試験第1局は8月18日、徳田拳士四段との一戦だ。

(『ABEMAヒルズ』より)

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【映像】 初の「女性棋士」へ!里見香奈女流五冠の挑戦
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【中継】 8月18日 09:50~ 棋士編入試験五番勝負第1局 里見香奈女流五冠 対 徳田拳士四段
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