「受けなくても加点…入試としての公平性に疑問」「学校の英語教育が変わるきっかけになる」東京都が11月に実施予定の「スピーキングテスト」に不安と期待
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 来年春の高校進学を予定している中学3年生を対象として、11月27日に東京都が初めて行う英語の“スピーキングテスト”、「ESAT-J」。その実施をめぐり、教育関係者などから反対の声が上がっている。

【映像】「非常に杜撰な制度」11月に都立高入試で導入スピーキングテストとは?

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 22日の『ABEMA Prime』に出演した、導入に反対する「入試改革を考える会」の大内裕和代表(武蔵大学教授)は「入学試験に最も大事な公平性、公正性が破壊されてしまう可能性がある」と訴える。

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 「近年いわれている英語4技能、つまり読む、書く、聞く、話すの4つの能力をバランス良く見るために入試にも話す能力を、ということだろうが、入試というのは合格と不合格とを分けるもの。線引きがあいまいになってしまえば、受験生への被害は大きい。果たして配点は適切なのか、果たして採点が公平・正確に行われるのか、ということだ」。

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 都立高校の入試は、調査書点(いわゆる内申書)と試験当日の学力検査の得点を合わせた合計1000満点で判定される。スピーキングテストは、そこに20点満点が加算されることになっている。

 「今まで英語・国語・数学・理科・社会は全て同じ配点だったのに、なぜ英語だけ20点多くするのかと。4技能の一つというのであれば、従来の英語の配点の中で入れればいいはずだ。ここに関する説明がない。また、採点が行われるフィリピンに教育委員会は一度も行っておらず、現地の体制の把握もまだのようだ。都議会でも何度も問題になっていることだが、採点者がどんな人たちなのかが分からない。研修を受け、能力もあるとは言うが、他の学力検査と異なり開示請求に応じない以上、信頼性も問われる」。

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 さらに大内氏は「スピーキングを受けなくても点数が入るという、非常にずさんな制度を実行していいのか」と指摘する。どういうことだろうか。

 「11月27日の結果が返ってくるのは1月中旬なので、都立高校の推薦入試、全体の定員の30%以上の人はスピーキングテストの結果は願書の提出に間に合わない。また、分割後期第二募集、全体の約7%強の人も関係ない。つまり分割前期第一募集の人のみが用いるということだ。一方で、これは公立中の生徒向けの試験なので、国立、私立、他道府県の生徒については学力試験の点数から、スピーキングテストの点数を推定して加算することになっている。

 本当に話す能力を大切に考えているのであれば、そんなことはしてはいけないはずだ。スピーキングテストに抵抗しているように思われるかもしれないが、導入すると言っているにも関わらず、ちゃんとやらないのか、と言っているだけだ」。

■「ベネッセさんにも情報公開を期待したい」

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 実際に例題(記事冒頭の画像)を見てみよう。イラストに描かれた情報をベースに店員に英語で質問することを想定、タブレットに音声を吹き込むという問題。タレントの青木さやかが戸惑いながら「…This eraser…how much?」と答えると、パックンは「意味は十分通じると思う」とコメント。

 「多くの日本人に英語の基礎があるのは間違いないと思っている。全国各地で英語に関する講演会をやっているが、壇上に上げてみると、“喋れない”と言っていた人でも、それなりに喋れる。場数を踏んでいるか、いざという時に勇気が出るか、というだけの話だと思う」。

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 東進ハイスクールの“カリスマ英語講師”の安河内哲也氏は「“SALE”とあるので、“How much discount to get?”、あるいは“Can I use a credit card?”などの情報を聞き出してほしい。ただしネイティブのような高いレベルを求めているわけではないので、パックンのおっしゃるとおりだ」と話し、次のように語った。

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 「英語教育にはインプットとアウトプットの両方が必要なのに、日本では基礎固めが長すぎる。小学校3年生から始まり、高校生になっても基礎固めをしている、一体いつになったら喋る時が来るのか。そこで最近の学習指導要領でも、4技能をバランス良く教えようということになっているし、先生方もそうしなければと思っている。しかし、できない。

 理由は明白で、入試に出てこないからだ。やはり学校の授業も受験を意識するので、出てこないことはどうしても省かれてしまう。つまりスピーキングテストがなければ、学校の先生が大手を振ってスピーキングを教えることはできないということだ。私は千葉県民だが、新小岩より北と市川より南で差が出てきてしまうのが心配だ。千葉県教委にも頑張っていただきたいと思っている。

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 もちろん、大内先生が挙げられているような問題はある。できる限り公平にしていくことが大事だし、アメリカやイギリスのテスト機関のような情報公開をベネッセさんにも期待したい。それでもスピーキングが入試に入ってくること自体には大きな意味があるし、学校現場も変わっていくと思う」。

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 オンラインサロン『田端大学』の田端信太郎塾長は「僕は地方の公立校出身だが、頑張って勉強し、海外でのプレゼンも経験した。やはり日本の英語教育はクソだと思う。先生を全員クビにして、NHKの『ラジオ英会話』とか、オンライン英会話で学んだ方がいいのではないかというくらいだ。一時期、真剣に留学を考えて、TOEFLを受けたこともあった。リアクションの無いコンピューターに向かって吹き込むという、心が折れそうになるテストだし、問題が難しいことも確かだ。

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 それでもIELTSなどと合わせて業界標準になっているのだから、ブラックボックスになっていようが採用してもいいと思う。もちろん、今回のスピーキングテストに関しては大人も含め色んな人が受けて、こういう結果が返ってきたということを公開すべきだし、その上で批判や改善をしていくべきだ。そのようにしてインプットとアウトプットを見せて行かないと、納得感はない」。(『ABEMA Prime』より)

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