これぞ「百折不撓」木村一基九段、まさかの敗戦吹き飛ばす快勝でチームの連敗ストップ 修羅場を知るベテランの精神力/将棋・ABEMAトーナメント
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 将棋界の早指し団体戦「第5回ABEMAトーナメント」の本戦トーナメント2回戦第3試合、チーム糸谷とチーム斎藤の対戦が8月27日に生放送された。チーム糸谷の3連勝で迎えた第4局は、第1局で痛恨の反則負けとなっていた木村一基九段(49)が相手のリーダー糸谷哲郎八段(33)に快勝。汚名返上し、チームメイトやファン、そして自身の笑顔を取り戻した。

【中継】チーム糸谷 対 チーム斎藤 個性豊かな棋士が集結

 これが修羅場をくぐり抜けてきたベテラン「将棋の強いおじさん」の底力か。第1局、黒沢怜生六段(30)を相手に終盤まで優勢に進めながら、最終盤にまさかの二歩で敗戦。対局後にはうなだれ、プロとして恥ずかしいというコメントも残していた。

 それでも間にチームメイトが2局戦い、気持ちを立て直す時間があったのが功を奏したか、第4局では公式戦でも相性がいい糸谷八段との対戦で、勢いよく攻めた。後手番から角換わり腰掛け銀に進むと、お互い受けの棋風ではあるが「千駄ヶ谷の受け師」という異名のままではなく、この一局に関しては木村九段が積極的に前に出た。序盤から早々にリードを奪うと解説を務めた遠山雄亮六段(42)も「桂得も大きいですし、端も破れている」と、はっきり優勢だと指摘するほどのリードだった。

 最終盤では糸谷八段の猛烈な粘りによって、決め切るまでに手数・時間を費やしたもの、この一局だけは絶対に勝つという落ち着きと決意が見える力のこもった指し手が続き、最後まで逆転を許さなかった。終局後は「放送前にリーダー(斎藤慎太郎八段)と佐々木(勇気七段)さんに、これがいいんじゃないかと教わった戦法でした。1局目、迷惑をかけて、戦法も教わりました」と、団体戦らしいコメントに終始。数々の苦難にも心折れることなくまた立ち上がる「百折不撓」を実践する戦いぶりにチームの雰囲気もパッと明るくなると、ファンからも「やったぜ!おじさん」「かっこよすぎて草」「さすが修羅場潜ってきてるからね」と、祝福の声が止まらなかった。

◆第5回ABEMAトーナメント 第1、2回は個人戦、第3回からは3人1組の団体戦として開催。ドラフト会議で14人のリーダー棋士が2人ずつ指名。残り1チームは、指名を漏れた棋士がトーナメントを実施、上位3人がチームとなり全15チームで戦う。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで行われる。チームの対戦は予選リーグ、本戦トーナメント通じて5本先取の9本勝負。予選は3チームずつ5リーグに分かれて実施。上位2チーム、計10チームが本戦トーナメントに進む。優勝賞金は1000万円。
ABEMA/将棋チャンネルより)

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