序盤の劣勢を一発で“ひっくり返す”強烈な右カウンターが炸裂。インパクトの瞬間、顔が大きく振られ、ダメージの大きさによろよろと後退りしてロープにもたれ掛かったまま、レフェリーがスタンディングダウンを宣告。再開直後、セコンドからタオルが投入される劇的なTKO決着に選手は「何で止めたんだ!」と猛アピール。しかし、視聴者からは「選手の将来を考えたら正しい判断」と絶妙なストップのタイミングに“セコンド支持”の声が多数上がった。
8月27日に後楽園ホールで開催された「Krush.140」。新太(K-1ジム心斎橋チームレパード)と河北光生(K-1ジム五反田チームキングス)の試合は、2ラウンド、スタンディングダウンから続行不可能と判断した新太陣営がタオルを投げ込みTKO決着。試合後、まだ戦いたいと直訴する選手の姿が印象的だったが「セコンドのファインプレイ」とする指摘が相次いで寄せられた。
激戦区ライト級、6戦目の河北と関連大会からKrush本大会初昇格の新太の一戦。序盤相手の強いプレッシャーに対して、負けじとパンチの連打で応戦する新太。河北の腰が一瞬ガクリと落ちる場面も見られたが、ここは何とかダウンを免れた。その後も猛攻を見せる新太。止まらない左右の連打にボディ、さらに強烈な右を貰った河北は左目尻をカット、さらにカーフキックでニアダウンを奪うなど勢いづいたまま1ラウンドを終えた。
しかし、2ラウンドに入ると河北が劣勢を打開。至近距離でのコンパクトなパンチとローを散らしながら持ち前のパワフルな打撃を繰り出して新太を押し返していく。すると、強引にボディ、アッパーと叩き込んで一気に形成逆転。手数で返す新太だが、河北の緩急織り交ぜた威力あるパンチに動きが止まり始めると、2ラウンド後半、衝撃の瞬間が訪れた。
河北の重い右ストレートのカウンターが炸裂。ロープにもたれ掛かるように崩れた新太はスタンディングダウンを奪われてしまう。コーナーにつかまりながらレフェリーのカウントに虚ろな表情の新太。大きく息をして試合再開に臨むが、棒立ちのまま河北の攻撃を一方的に貰う危険な状況だ。すると、ヨロヨロとよろめく新太の動きを見た新太の陣営からタオルが投げ込まれ、レフェリーが試合を即座にストップした。
タオル投入による強制終了に「どうして止めたんだ」とセコンドに詰め寄った新太。悔しさを滲ませたが、解説陣も「いいタイミングでタオルを投げた。新太選手はまだやれると思っているけど、相当ダメージがあった」とコメント。視聴者からも「止めて正解」「ナイスセコンド」などセコンドの判断を支持する声が多数。「選手にも将来がある。いよいよ危険と判断したらタオルを投げる判断は正しい」など、選手を守った咄嗟の判断に称賛の声も相次いだ。