超薄型の太陽電池を装着し、リモート操作できる「サイボーグ昆虫」が開発された。開発に携わった研究所のグループが将来の展望を明かしている。
【映像】救命活動に役立つ? 「サイボーグ昆虫」※ゴキブリが出てきます
理化学研究所らで構成される国際研究グループが、再充電が可能な「サイボーグ昆虫」を開発したことを明らかにした。薄いフィルムに小さなデバイスが取り付けられた体長6センチほどの「マダガスカルゴキブリ」だ。
この昆虫の使用用途について、理化学研究所・福田憲二郎専任研究員は「災害現場などに複数個体を置いて、適切に移動制御することによって、人命探索の迅速化に繋がる。そういったことに貢献できるのではないかと考えております」と述べている。
これまでも、災害時での人命探索や人間が立ち入ることができない場所のデータ収集などに「サイボーグ昆虫」を派遣する研究・開発は度々行われてきた。
しかし、無線通信に必要な電力供給や昆虫の基本的な運動能力の維持が困難だったことから実用化まで至っていなかった。そんな中、研究グループが白羽の矢を立てたのが。太陽光で充電し続ける、超薄型の有機太陽電池だ。
研究グループはまず、昆虫の3Dデータを作製。その後、腹部の背中側に厚さ4マイクロメートルという超薄型の有機太陽電池を装着。胸部には、無線を受信して体の動きを制御する装置やバッテリーも着けている。
そして、サイボーグ昆虫の実現に欠かせないのが“動きの自由度”だ。太陽電池は接着剤と非接着剤を交互に配置する「飛び石構造」を採用しており、これによって屈折といった昆虫の動きの自由度を実現した。
動きの自由度について、理化学研究所の福田氏は「電池を装着していない昆虫との比較実験においてもほぼ同じ動きであることが証明された」と説明している。
また、サイボーグ昆虫の「制御」も実証済みだそうで、疑似太陽光で30分間充電したサイボーグ昆虫に無線通信を使って信号を送ったところ、右方向へと移動を制御することができたとしている。
福田氏「超薄い太陽電池という研究を進めていた中でこのような10ミリワットを超えるような発電ができるようになりましたので、今回昆虫の背中に乗せて、充分な量を発電して実際に通信ができることを実証することができるようになりました」
理化学研究所は、将来的に人間では入れないがれきの下などにサイボーグ昆虫を使って入り込み、救命活動に役立てたい思いがあるという。
「色んな昆虫種にも適用可能であるという風に考えております。将来的には電池切れの心配をすることなく昆虫の寿命が続く限り、長時間かつ長距離における活動が可能となって、サイボーグ昆虫の用途を拡大させることに貢献すると期待しております」
(『ABEMAヒルズ』より)