栃木県下野市議会でのある発言が物議を醸している。石川信夫市議(65、幸福実現党)は6月10日の定例会で、県が9月1日から導入するLGBTQのパートナーシップ制度について、「私は差別主義者ではないが、制度を設けて社会に認めさせるのがはたしていいことなのか大変疑問」「静かに隠して生きていただきたい。そのほうが美しいし、社会に混乱が起きない」などの持論を展開した。
また、定例会の中では、「旧約聖書の“ソドムとゴモラ”という創世記の時代は性的に乱れていて、今と同じような混乱があった。一瞬でその町は灰になった」「人権の上に神権があることを忘れてはいけない」「間違った生き方をすれば報いが来る。あの世に帰ってから反省してください」などと宗教的な発言もしている。
これらについて、ジャーナリストの堀潤氏は「議会で議員がどういう発言をしようがいいと思う。言論には言論で対抗するというのが表現の自由の基本原則だからだ。こうした発言に“おかしい”と思う人が一緒になって声をあげて、それを広げていくのがものすごく重要。“そんなこと言うもんじゃない”で解決するかというと、その人も意固地になって前進がないわけで、対話の機会を作るためには言論の総量を増やすしかない」との見方を示す。
パックンは「“怪しい者ではない”と誰でも言えるように、“差別主義ではない”と言う差別主義者も世の中には多い。LGBTQの権利や社会進出、見える化に反対する皆さんは何を考えているのか、伝えてくれることでわかる部分もあるので、それで真摯に議論を深めたい。ただ、この方は国民・有権者の代表である政治家なので、有権者の人権を守って、神権は教会に任せてほしいと思う」とコメント。
NPO法人「あなたのいばしょ」代表の大空幸星氏は「政治家の一発言ではなく、所属している教団の教義に基づいている可能性もある。カトリックは同性婚にものすごく否定的だったけれども、時代の変化によって少しずつ柔軟になってきている。自分たちの教義が正しいと思っていたとしても、その時代についていくということをやらなくてはいけなくて、“ちょっと遅れている”と言っていくアプローチもあると思う」と話した。
堀氏は「LGBTQ支援をしているNPOの方と話をすると、都市部はまだつながりがあるけれども、地域の学校やコミュニティでは自分の思いが誰にも理解されずに苦しんでいる子たちがいると聞く。そういう子たちがいる地域の議員の発言によって、否定的な空気が広がってしまうのが一番よくないことだ。この市議を生んだ市民の皆さんは、“隣にいる誰かが悩んでいるかもしれない”と思って、おかしいという声をもっとたくさん上げてほしい」と訴えた。
なお、『ABEMA Prime』は石川市議に取材を申し込んだが、「しばらくスケジュールが空いていない」との回答だった。(『ABEMA Prime』より)
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