運転免許を持つ若者が激減、「昔は他の業種よりも稼げたが…」 物流の“2024年問題”への対応は?
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 都内でも当たり前のように自分の車を乗り回していた、バブル期の日本。しかし、時代は大きく変わり、若者の運転免許保有者数は激減。10代、20代で約1087万人と、20年前から約655万人も減っている。

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 もう1つ気になる調査がある。厚労省によると、去年の上半期、運輸業・郵便業の入職者数が前年同期と比べ約7万8000人減少。他の産業を比べて最も減少幅が大きかった。

 さらに問題視されているのが、物流の「2024年問題」。2年後に施行される働き方改革関連法で、トラックドライバーの時間外労働にメスが入るのだ。

 若者の人材不足が叫ばれる物流業界の今後はどうなるのか。5日の『ABEMA Prime』は専門家とともに考えた。

■“若者の免許離れ”、費用面もネックに?

 “若者の免許離れ”について、元トラックドライバーで物流ジャーナリストの坂田良平氏は「車に対して、楽しいとか面白い、欲しいと思わなくなってきているのが直結していると思う」と話す。

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 トラック運転手特化型20代限定求人サイトを運営し、創業40年弱の運送会社経営者である鳥海祐二氏は「会社が静岡の浜松にあって、車がないと生活ができないものだから、あるのが普通」としつつ、「トラックドライバーのなり手が減ってきた」と実感しているという。

 パックンは「人口減少と都市化が一番わかりやすい。地方から都会に引っ越すと、公共交通手段が充実しているので車はいらない。その上、インドア化がこの20年続いていて、週末にすることといえばこれ(パソコン)で十分になっている」との見方を示す。

 自動車免許取得にかかる費用は、都内の自動車教習所A校の場合、ATで約31万円、MTで約32万円。関東圏の合宿免許自動車学校B校の場合、24万2000円~36万8500円がかかる(いずれも税込)。

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 費用面がネックになっているのか。鳥海氏は「会社には『免許を取らせてくれるんだったらドライバーになりたい』という、応募というか問い合わせがまれにくる。しかし、中小企業の体力として(は難しい)」と明かす。

 パックンは「アメリカの免許は基本的に30分、20ドルあれば取れる。僕の世代は20歳の段階で80%が運転免許を持っていたが、今は60%に減っている。あんな車社会のアメリカでさえドライバーが減っているから、日本も費用どうこうの問題ではないと思う」とした。

■労働環境の改善は志望者の増加につながらない?

 トラックドライバーの労働環境として、年間労働時間は大型が2532時間、中・小型が2484時間(全産業平均が2100時間)。年収は、大型が454万円、中・小型が419万円(全産業平均が487万円)。残業時間はなしが20.8%、1時間未満が12.7%、1~4時間が48.1%、4~7時間が14.0%、7時間超が4.3%となっている(厚労省より)。

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 “残業は多いけど給料は低い”という実情に、鳥海氏は「物流業界がこういう状況にあるので、国はけっこう後押ししてくれていて、トラック業界もお客さんに配るチラシやパンフレットを作成してくれたりしている。しかし、実際には(労働環境の改善に)動いてない同業者が多いのではないか」との見方を示す。

 2024年4月1日以降に年間時間外労働時間の上限が960時間に制限され、労働環境の改善が図られる一方、1日に運べる荷物量が減ることによる運送・物流業者の収益減少、それが労働者に収入に波及して離職につながることが懸念されている。

 鳥海氏は「僕らの会社は工場間輸送をメインとしているので、お客さんとセットで考えていかないといけない。今取引している大手の自動車関係の会社さんなどはそういうことをわかってくれているので、ある程度こちらの条件も飲んでくれるし、時間やコストのことも心配してくれる。ただ、AmazonさんのようなBtoCの宅配ドライバーだと、一人ひとりに対応していかないといけない。そこで時間をコントロールするのは会社の差配になる」と指摘。

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 労働環境の改善は志望者の増加につながらないのか。坂田氏は「物流業界もそういう打ち出し方が必要だと思う。僕がトラックドライバーをしていた25年前は他の業種よりも稼げたわけで、それこそ渡邉美樹さんが佐川急便で働いてワタミの設立資金を貯めたのは有名な話だ。しかし、今は安全を優先するので、そういうふうに働きたくても働けない。余暇を大事にしたい、プライベートを大切にしたいという人のために、“休ませてあげられる業界だ”とアピールすることが大切だと思うが、悲しいかな、なかなかそれをアピールする経営者が少ない」と話した。

■自動運転技術は救世主?

 自動運転技術が実現すればドライバー不足は解消されるのか。坂田氏はその時期が現時点で見えていないことをあげた上で、「東京近郊でいえば、圏央道の外側だけは自動運転・無人運転をオッケーにして、そこから先は人が運ぶ、みたいなかたちでは実現するかもしれない。高速道路上は追突事故がすごく多いが、衝突被害軽減ブレーキの義務化にあたり、先行してトラックにつけた運送会社はそれが激減している。あと高速道路上で起きるのは、進路変更の時にぶつかる事故。こういった部分は人よりも事故が起きないかもしれない」との見方を示す。

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 鳥海氏は「会社によっては、配達先で荷物を棚に入れるというような細かい作業もあって、それは人が介在しないとできない部分。高速道路や一級国道と言われる1号線や2号線などでは自動運転ができるかもしれないが、そこから脇に入るところはやはり人が介在しないと危ないと思っている」と述べた。

 経産省は2040年を実現目標にする物流革命「フィジカルインターネット」として、「ガバナンス」「物流・商流データプラットフォーム」「水平連携」「垂直統合」「物流拠点」「輸送機器」の6項目において業界が横断的に取り組むことを掲げている。

 堀氏は「なぜ長距離を運ばないといけないかというと、港と生産拠点が離れていたりするからだ。国づくり、街づくりの中で産業に適したインフラを整備していけば、ある程度コンパクトな中で物を回すことができる。成長戦略として描くならば、港のこと、空港のこと、ターミナルのことを全部セットにして考えて、もっとドラスティックに打ち出す国であってほしい」と訴えた。(『ABEMA Prime』より)

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