YouTubeやTikTokでよく目にするようになった、カップルや夫婦による動画。その関係が永遠に続く保証がない分、トラブルも懸念されている。今まさに順調な生活を送っている夫婦YouTuberに、万が一の事態が訪れたときの考えを聞いた。
今やYouTubeの一大コンテンツとなっているカップルや夫婦のチャンネル。タレントではない“普通の夫婦”が日常を公開し、数万人の登録者を獲得するのも珍しくない。
普段の食事の様子から旅行、ドッキリ企画などの様々なコンテンツで人気を集める2組の夫婦YouTuberに、動画投稿のきっかけや気になる将来の話について聞いた。
「最初は全然YouTubeを始めると思っていなかった。当時TikTokで流行っていたカップルで遊ぶちょっとしたゲームのショート動画を作って、Instagramのストーリーズに投稿した。すると、『面白いね、2人』みたいな感じで結構いろいろな方からメッセージをもらった。こうして僕らが動画を投稿したら喜んでくれる人がいるのだとわかり、それがうれしくなって『もうちょっと動画を投稿してみようか』という形になった。きっかけは本当に小さなところから始まった」（ゆみみンゴTV・けんご）
一方、思い出として撮影した海外旅行の動画がバズったことをきっかけに、YouTubeを始めた「せやぷろはうす【幼なじみ夫婦】」の2人。動画を見た人からの反応に楽しさを感じているものの、専業YouTuberとなった今、苦労を感じることもあるという。
「内容や何を撮るかを考えることが苦しい。常に、24時間考えている」（せやぷろはうす【幼なじみ夫婦】・こうへい）
見る側からすれば、他の夫婦の生活情報や幸せのお裾分けをもらえるようなチャンネルだが、それと同時に脳裏をよぎるのが「万が一、その夫婦が離れ離れになってしまったときのこと」だ。動画を残す場合は元夫と元妻の映像が公開され続けるが、消すことになればそれまでに積み重ねた登録者数と収益がゼロになる。
実際にカップルYouTuberからの相談を受けたこともあるモノリス法律相談事務所の河瀬弁護士に、“起こりうるトラブル”について聞いた。
「『過去の動画の収益をどう分配するか』『破局前にアップした動画をどうするか』という2点。最初からビジネス的な関係であれば、そういうことも当然話し合うことはできる」
河瀬弁護士によると、夫婦で運営されているYouTubeチャンネルでも仕組み上はどちらか1人が代表者となっていることから、存続させるか消去するかは原則として代表者が判断できるという。またチャンネルを存続させた場合、収益の振込先は代表者が指定した口座であることから、代表でないほうが分配を求めていかなければならない。
今回話を聞いた2組は、起こりうるトラブルに備えているのだろうか。
「破局したらどうするか、そのときにチャンネルをどうするかという話は今まで一度もしたことがなかった」（ゆみみンゴTV・けんご）
「それ（離婚）を考えてやっているわけではないので、続く前提で今もやっているのであまり考えていない」（せやぷろはうす【幼なじみ夫婦】・あいちゃん）
仲が良いからこそ始められる夫婦チャンネルのため、そもそもそうした発想にはならない様子。トラブルを回避するためにも「事前の決め事が大事」だと河瀬弁護士は話す。
「カップルが破局した場合に備えて相談するのは心理的なハードルがあると思うが、発想としては結婚するときの『婚前契約』に近い。本当はあらかじめ決めておいた方が絶対に良い。契約は契約書がなくても有効なので、箇条書きで取り決めをLINEで打っておく。ちゃんと文章にしておくところが大事」
それでは、2組の夫婦YouTuberは今後どうしていくのだろうか。
＜せやぷろはうす【幼なじみ夫婦】＞
こうへい 「今決めるけど、別れたらその瞬間に消そう」
あいちゃん「えっ、残すんじゃないの？」
こうへい 「消そう」
あいちゃん「消すの？」
動画を削除するということは、収益もなくなってしまうということ。少しもったいない気もする。この問題について、こうへいは「それ（もったいなさ）はめちゃくちゃ感じる。だから辞めたくはないし、離婚なんかしたくない」と強く主張した。
ゆみみンゴTVの2人は、YouTuberである以前に「夫婦であること」が前提のため、2人の関係が崩れそうになった段階で活動はすぐにやめるようだ。
【ゆみみンゴTV】
ゆみたん「自分たちが楽しめなくなったら続ける必要はない」
けんご 「僕も妻がいないと1人では生きていけない人間なので、そのときはYouTuberを捨てる」
（『ABEMAヒルズ』より）
