ガッチリと決まった堀口恭司の肩固めに耐え続けるも、次第に顔面蒼白。堀口が見せた圧巻のフィニッシュもさることながら、金太郎の危険を察し、「He’s out!(落ちてるぞ)」とレフェリーに英語で連呼。ストップを要求する堀口のフェアプレイにも注目が集まった。
9月25日にさいたまスーパーアリーナで開催された『RIZIN.38』で、堀口恭司(アメリカン・トップチーム)と金太郎(パンクラス大阪稲垣組)が対戦。2ラウンド、堀口がテイクダウンから肩固めで金太郎を締め上げて一本勝ちを収めた。
アメリカ・Bellatorへの参戦以降、内容ある戦いを見せつつも2連敗。勝ち星から1年9カ月ほど見放されている堀口。復帰戦の相手「THE OUTSIDER」出身の喧嘩屋・金太郎は、試合前日に「2つほど秘策がある」と堀口攻略を匂わせていた。
1ラウンド序盤には、あわや「堀口超え」の場面も見られた。開始2分、足を使い遠い距離から金太郎が飛び込んで左を当てると、一瞬グラつく堀口。すぐにリカバーするも、同じような遠距離からミドルを放つと、金太郎がそこに完璧なカウンターを合わせ堀口からダウンを奪う。
しかし、堀口はすぐに立ち上がるとダメージを感じさせない。飛びヒザをキャッチしテイクダウンに持ち込んでコントロールし、再度のスタンドの攻防でも、カウンターに臆することなく飛び込んで左ストレート、さらに右インローを放ち、自分の距離とリズムを保って1ラウンドを終えた。
2ラウンドに入ると堀口は完全に復調する。前ラウンドと同じく遠めのスタンスからインロー、金太郎も再びカウンターを狙うもスウェイぎみにかわし、タックルで簡単にテイクダウンに成功。
ここからが圧巻の堀口劇場。ハーフからパウンドで相手のガードを崩しながら首固め、さらに肩固めに移行してガッチリとロック。みるみるうちに金太郎の顔が真っ青になると堀口はレフェリーに対して、再三「He’s out!」と叫んでゴングを要求。グッタリと動かなくなった金太郎を確認し、レフェリーも堀口の訴えに応じた。
見事に一本を決めた堀口に「やはり寝技はナンバーワンだな」「レベルが違う」といった声が殺到。それと同時に大きな注目を集めたのが、フィニッシュ場面で見せた冷静さと、相手を気遣う堀口らしいスポーツマンシップが垣間見える振る舞い「He’s out!」だった。
極めた手応えから素早くレフェリーへアラートを出し、相手の安全を確保する姿勢に「落ちそうな金太郎がタップできないのを察した行動にスポーツマンシップを感じた」「レフェリーに確認する姿が優しいし、真の格闘家」「金太郎も意地でタップしなかったんだろう。レフェリーのアピールに格闘技愛を感じた」「とっさに英語が出るんだな」など、勝者に対する称賛の声が並んだ。
一方、序盤の打撃戦で“あわや”の場面を見せた金太郎にも「見せ場を作った」「まだまだ強くなりそう」など、今後に期待する声が。最後までタップしなかったシーンには「賛否両論あると思うが、タップしなかった姿勢を称えたい」など、“世界”に挑んだ金太郎の戦いぶりを称える好意的なコメントが並んだ。