「小児性愛障害は完全に消えるものではないが、子どもに対する欲求は明らかに低下している」 パートナーができ変化、“21年再犯なし”も衝動と向き合い続ける当事者
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※性被害のフラッシュバックのおそれがある方は閲覧せずにお戻りください

 「信頼される立場を利用し被害者らの性的知識の未熟さに付け込んだ悪質なもの」。20人の子どもに性的暴行やわいせつな行為をした罪に問われた、元ベビーシッターの男。8月末、東京地方裁判所は男に懲役20年の判決を言い渡した。起訴されたのは4年あまりで50件以上にのぼる。

【映像】前回放送から2年半…小児性愛者の変化と治療

 子どもへの性犯罪の問題点、それは常習性や再犯率の高さだ。性犯罪の前科が2回以上ある人の中で、小児わいせつの再犯率は84%を超える。

■「子どもに対する性的欲求は明らかに低下」、パートナーができ変化

 かつて12人の子どもに手をかけながらも、その後21年間、再犯を起こしていない人がいる。加藤孝さん(60)。2年半前に『ABEMA Prime』に出演し、加害経験者の立場からなぜ犯行に至ったのかを告白してくれた。

「小児性愛障害は完全に消えるものではないが、子どもに対する欲求は明らかに低下している」 パートナーができ変化、“21年再犯なし”も衝動と向き合い続ける当事者

 出演後は多くの反響があり、「脅迫のような電話がかかってきた。でも、中には『話を聞きたい』とおっしゃってくれる方もいて、そういう人には救われた」「それまでずっと匿名でインタビューに応じていて、非常にモヤモヤしていた状態から抜け出せたと感じた」という。

 子どもへの性加害行為の背景には、単なる性癖ではなく「ペドフィリア」という精神疾患があると考えられる。主に13歳以下の子どもを性の対象とし、少なくとも半年にわたって性的衝動や行動が継続する依存症の側面があると言われている。

 現在、加藤さんは治療の一環で、再犯に駆り立てる要素を洗い出し、自らにルールを課している。「小児性愛の妄想を使ったマスターベーションをしないとか、加害への衝動というのは抑制できている。ただ、子どもに対する妄想を使ってしまうというのは時々出てきてしまう」。

「小児性愛障害は完全に消えるものではないが、子どもに対する欲求は明らかに低下している」 パートナーができ変化、“21年再犯なし”も衝動と向き合い続ける当事者

 疲れやストレスがたまることで月に1回程度、自慰行為をすることがあるが、大事なのはそれを繰り返さないことだという。以前取材した際も、「僕が歩いていて子どもが列になって来ていたら、上を見たり目を背けたり」と、加藤さんは子どもを視界に入れないように歩いていた。

 現在も自分の欲求に対し刺激になることは避けている。「学校には近寄らないようにする。毎年、夏の時期は“また夏休みが来ちゃったか”と。(子どもに)出会ってしまう確率は上がってしまうが、その分注意して行動している」。

 そんな加藤さんの治療を支えてくれる存在がいる。「全てを知ってくれて、なおかつ交際してくれている、ありがたい理解者」と話すのは、パートナーである千野恵子さん。ある依存症の自助グループで出会い、加藤さんのアプローチで交際が始まった。

「小児性愛障害は完全に消えるものではないが、子どもに対する欲求は明らかに低下している」 パートナーができ変化、“21年再犯なし”も衝動と向き合い続ける当事者

 「“それも依存症の一つの表れ”という形で受け止めてくれたみたいだ。(気持ちの部分では)いなくても治療は取り組むが、いてくれることで何か背中を押してくれるのはあると思う。よく覚えているのは、誹謗中傷やデマがあった時に、本当に献身的に支えてくれた。彼女自身のつらい経験のことも話してくれて、とても助かった」

 また、パートナーができたことで、「小児性愛障害が完全に消えたということではないが、子どもに対する性的欲求は明らかに低下している」という。

■治療のポイント、「性加害行為に責任をとる」とは?

 加藤さんの様子を見てきた、精神保健福祉士・社会福祉士で加害者臨床が専門の斉藤章佳氏は「今まで加害当事者がメディアなどを通して自分の経験を語ることはなかったが、前回の出演をきっかけに、“なぜ加害者が加害行為をするのか”を知る方が増えてきた。いろいろな反響はあったが、それは大きな一歩だったと思う」と話す。

「小児性愛障害は完全に消えるものではないが、子どもに対する欲求は明らかに低下している」 パートナーができ変化、“21年再犯なし”も衝動と向き合い続ける当事者

 加藤さんは性依存症の自助グループの活動と、精神科への通院やカウンセリングを活用して、周りのサポートを得ることで再犯リスクを下げるよう努力している。これだけ注意が必要だということは、「依存症」と言えるのだろうか。

 斉藤氏は「さまざまな議論がある。依存症という側面だけで捉えてしまうと病気だという捉え方になり、“病気であれば加害行為は隠蔽されていいのか?”という問いが出てくる。反復する行為や脅迫性、衝動性、行為がエスカレートしていくなどの特徴は依存症としての側面があるが、一方で本人が行った行為責任、例えば交番の前ではやらないだろう。本人が選択的に行っている行為責任と、衝動を制御できない疾病の部分、つまり原因と責任を分けて治療の中で考えていく必要がある。そこはアルコールや薬物、ギャンブルの依存症と大きく違うところだ」と説明する。

 小児性愛障害者の治療のポイントとして、加藤さんも行っていた「認知行動療法」と、勃起不全などで性的欲求を抑制する「薬物療法」、再発防止責任・説明責任・謝罪と贖罪により「性加害行為に責任をとる」ことがある。最後の「責任をとる」というのはどういうことなのか。

 「再発防止責任は、再発させないためにあらゆる努力をするということ。説明責任は、加害者自身が自分の言葉で“なぜ今回このようなことをしてしまったのか”をしっかりと語る責任だ。そして、謝罪と贖罪。この3つの視点をプログラムで取り入れながら、一生をかけて取り組んでいくのが治療プログラムになる。メディアを通しての発信は、過去被害にあった方も見ている可能性があることを大前提とする必要があるが、やはり“なぜ加害者が加害行為を行うのか”というメカニズムは広く知られないといけない。被害当事者の中で“なぜ私が被害にあったんだろう?”とずっと考えている方も多いが、実はそこに答えられるのは加害者しかいない。このあたりのバランス、整合性をきちんと取りながら、加藤さん自身も発信していく必要があると思う」

「小児性愛障害は完全に消えるものではないが、子どもに対する欲求は明らかに低下している」 パートナーができ変化、“21年再犯なし”も衝動と向き合い続ける当事者

 加藤さんは最後、「僕自身が性加害をやめようと思ったきっかけの1つに、自分と同じような人が加害をやめて回復していく姿を、顔と名前を出して表してくれたことがある。アメリカのウェイン・バウワーさんという方の手記を読んで、“自分も変わっていけるんだ”と勇気をもらえた。今度は自分がそのような役割を社会で果たしていければと思っている」と語った。(『ABEMA Prime』より)

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