「彼は自然と舞台を作り上げていく」「面倒くさい存在も必要かなって」 栗山監督が語る大谷翔平への“片思いと距離感”<独占インタビュー>
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 来年3月、野球の世界大会「ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が開催される。優勝に向けた強化試合のメンバーを4日に発表した日本代表の栗山英樹監督に、『ABEMAヒルズ』は独占インタビューを行うことに成功。栗山監督からは、メジャーリーグで「二刀流」での活躍を続けるエンゼルスの大谷翔平選手への思いも語られた。

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 日本ハムが日本一に輝いた2016年、残り2試合でM1という状況、大谷選手が1安打完封の1-0で勝利して見事リーグ優勝を決めたが、当時チームを率いていた栗山監督は次のように振り返る。

 「相手は(花巻東)高校の先輩の菊池雄星投手。みんなが優勝したい中で、どんな感じでマウンドに上がるのかなって心配だった。ピッチングコーチに『翔平大丈夫?』って聞いたら、翔平が『こんな舞台を用意してくれて本当にありがとうございます』って言った時に、こっちが涙出てきちゃって。ピッチングコーチに『監督、泣くの3時間早いです』って言われて(笑)。大好きな野球を最高の舞台で思いっきりやらせてもらえることに感謝がなければ結果は出ないし、それをあの若さで感じている。そういうピッチャーがあの状況でいるというのはすごくうれしかった。『野球やってて良かったな』って監督時代はあんまり思わないけど、本当にそういう瞬間は忘れない」

 WBCに向けて、夏にはアメリカに渡り各選手を視察する中、大谷選手の活躍を肌で感じられるエピソードがあったという。

 「アメリカの球場に行ってエレベーターでスタンドに行く時、たまたまエンゼルスの広報の方もいらっしゃって『あんた翔平君の監督だった人?』と。そうしたら、ボタンを押す係のおじいちゃんが『監督、ありがとうね』って。ああいう選手を早めにエンゼルスに渡してくれて、そういう場所を与えてくれたことに対して、本当にみんな翔平のことを喜んでいる。首脳や球団の人ではなく、エンゼルスが好きで働いている方が本当に喜んでくれてるんだというのが肌で感じられて、『ああ、よかったな。翔平頑張ったな』と」

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 栗山監督といえば、日本ハム時代に高卒1年目の大谷選手を「二刀流」で起用し、活躍の場を大きく広げた存在。インタビュアーを務めた旧知の仲である徳永有美アナウンサーから出た「信じ合い」という言葉には、次のように返す。

 「毎年、アメリカから帰ってきたら会っていろいろな話をするけど、ただ今年のシーズンがどうだったかを確認していくだけで、彼が何を思っているのかは正直わからない。何か疑問とか、“もしかしたら(投打)2つはできないのかもしれない”ということが浮かび始めたら前には進まないので、それは覚悟というか、僕が片思いしてそう思い続けている。だから、僕のことを“面倒くさいな”と思ってるだろうし、ただそういう存在も必要かなっていう。5年間、“できない可能性もあるのかな?”と思うことはなかった。一切疑問を持たせないぐらいの進み方をした彼のすごさというか頑張りは、本当に皆さん評価してあげてほしい」

 さらに、「栗山監督は選手を信じる、『野球の神様』という言葉を解説時代からよくおっしゃっていた。大谷選手が“野球の神様に守られている”と思ったことはあるか?」との問いには、「1000回くらいあるんじゃないか」と答えた。

 「この前、あと9イニング投げたら規定投球回数に達するという試合で、ノーヒットノーランで進むわけだ。本人もベンチも“あと2試合で9イニングを越える”と思っていたものが、ノーヒットノーランだったら最後まで投げちゃう。ああいうふうに、自然に“そこに行くようなかたち”に彼は作り上げていく。舞台を自分の力で。本人には言わないけど、試合を見ながら僕も『すごいな、やっぱり』って。

 正直、規定投球回数や規定打席というのは意味がないと思っていたところがある。選手はチームを優勝させるためにあるので、それができるのであれば打数と登板数が少なくてもいいわけだ。実際、2016年の日本一の時には、あと残り2イニング投げたら2年連続防御率1位というタイトルがかかっていた。なので、最後の試合の前、本人に聞いたけど、『記録にどういう意味があるんですか?』ぐらいの雰囲気。『そんなことより監督、僕に優勝させろって言ってきましたよね。以上」みたいな。彼の価値観が人に評価されるものではなくて、“自分の中でやりたいことができるかどうか”というものを持っている。そういうふうに考えると、彼らしいところはいっぱいある」

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 栗山監督から語られた大谷選手との関係。「これ以上詰めちゃいけない」という距離感も明かした。

 「去年あれだけホームラン打って、帰ってきて『翔平、ホームランの打ち方~』みたいな話をしたら、長い間いく。『それってこうじゃない?』『いやいや違う違う、こうなんですよ』みたいな。そういう話はもちろんするけど、何をどう考えているのかは彼が引退してからでいいかなって。相手がどう思うか僕には関係ないので、いつまで経っても嫌な存在でいる。面倒くさい存在や文句を言ってくれる人は必要だったりするので、これ以上距離感を詰めちゃいけないと今でも思っている。彼がどう思っているかはわからないが、そういう感覚はある」

(『ABEMAヒルズ』より)

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